やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本・1945年の視点」三輪公忠著ー読書メモ

波多野氏の下記の論文に以前新渡戸関連で手に取った「日本・1945年の視点」からの引用があった。重光の大東亜共同宣言についてだ。戦後のNIEO(新国際経済秩序)にもつながる内容だという。(164頁)そうであれば大東亜共同宣言、日本の戦争目的が今の国際秩…

立命館大学フナキ氏と佐藤教授の第8回島サミット批判

ニュージーランド、マッセイ大学のAnna Powles博士が昨年開催した安倍政権の島サミットを巡って「日本は太平洋島嶼国との信頼関係を築くつもりがない」とツイートしていたので慌てて記事を見たらよく存じ上げている立命館大学の佐藤洋一郎教授と佐藤先生の生…

ISはパラオの目の前にいる

www.bbc.com フィリピン南部で爆破テロ。 日曜日の教会を襲った。20名が死亡。ISが犯行声明。 このニュース、パラオのニュースに流れていた。パラオの人口2万人の内半分近くがフィリピン人。フィリピンのニュースはパラオのニュースでもある。 即ちISはパラ…

パラオ海洋保護区を日本が反故に?

islandtimes.us パラオ海洋保護区 はパラオ全EEZを商業漁業禁止にし、20%だけ地元の漁業を許可するという国連海洋法条約に疑義のある内容。海洋音痴の日本の国交省、海保は耳をかさないどころか「小国の決定を支援するんです」と目を潤ませ、何十億円も支援…

重光葵と大東亜共同宣言ー戦時外交と戦後構想ー 波多野澄雄

安倍政権のインド太平洋構想。 これで思い出すのは「大東亜共栄圏」構想だ。そして「アジア主義」 どこか違ってどこか同じか?「大東亜共栄圏」も「アジア主義」自体を知らない。手探りで後藤新平、玄洋社、辺りを読んでみたがわからない。ここにドイツの地…

「東亜の解放」が招いた西パプア虐殺

www.israelnationalnews.com 「東亜の解放」 インドネシア独立を支援したと言う日本の保守は知らないであろう。しかし、知らないでは済まされない。 日本人が独立支援したインドネシアは隣のパプアで未だに虐殺、搾取を続けている。 上記のニュースはインド…

パラオの海洋保護区と日本叩き

islandtimes.us 日本政府は、水産庁の太田審議官はパラオ政府にはっきりと、同国の海洋保護区制度は国連海洋法条約上疑義がある、と伝えた方が良い。 国際法、海洋法、水産資源、その他専門家がいないパラオ。そのEEZ全てを商業漁業禁止とする法案を制定。海…

新渡戸の植民政策と日本の植民地研究

新渡戸の植民政策論を弟子の矢内原が1942年9月に発行した事を(書籍の発行は1943年のようである)、年末に敢行した英国訪問直前に知ってこのブログに「東京帝国大学植民政策講義」の項目を立た。新渡戸の植民政策を少しづつ紹介して行きたい。 yashinominews…

ハワイの意味がわからない外務省官僚ーインテリジェンス講座その3

日本外交、 ハワイが重要。 思い出したのが外務官僚の石川薫さん(元大使)。 橋下政権で1997年に島サミットを始めた方だ。島サミットはプルトニウム輸送に反対の声をあげていた太平洋島嶼国対策として始まった。2011年まではある意味電事連の事業だったので…

「ネコノミクス宣言」読書メモ

元山口組系組織の幹部、猫組長のツイッターをフォローしたのは、パラオ柔道キッズの柔道着支援をしていただいた高須克弥院長がフォローされていたからだった。 「ヤクザ」 ー 2つの知りたい事があった。 まずは田岡組長と飲み友達だったという笹川良一さん…

外務省の情報管理能力 - インテリジェンス講座その2

<日本政府のインテリジェンス音痴> 衆議院議員、薗浦健太郎内閣総理大臣補佐官が7省庁を引き連れてミクロネシア3国を訪ねられた。7省庁がほとんどミクロネシアの事を知らないのは手に取るようにわかる。知らないだけではない。情報の扱い、すなわちイン…

仏領ポリネシアに進出する中国

amp.rnz.co.nz 君はハオ環礁を知っているか? 仏領ポリネシアの環礁で核実験の軍事基地だった場所だ。ここを中国が投資して水産養殖場を作るという話がここ数年話題になっている。 本当に養殖場なの? 中国企業は1万人を雇用するとのふれこみで、地元市長は…

政府機関の方々へ - インテリジェンス講座その1

このブログを継続するインセンティブは在外日本大使始め外務省、水産庁多くの省庁の方々から太平洋島嶼国の情報はこのサイトでしか得られません、と言っていただいたことが大きい。 よって政府機関への情報提供も今までしてきた。 知人からの紹介の場合はそ…

安倍総理蘭英訪問〜「東亜の解放」とはなんだったのか?

安倍総理の地球儀外交、インド太平洋構想が止まる所を知らない。 1月9−11日の日程でオランダと英国を訪問。両国のインド太平洋構想への参加を確認した。その他にも多くの協力が合意されている。 オランダと英国。インド太平洋に植民地を持っていた国である。…

「樋口レポート」のリベンジと江崎節

www.youtube.com 2008年に私が立ち上げたミクロネシア海上保安事業。 きっかけは、中国人民解放軍が太平洋分割を意識していることを太平洋司令軍キーティング司令官が公聴会で述べたことに、日本財団の笹川陽平氏が反応し、正論の記事を書いたことであった。…

清瀬弁護人が弁護した<東亜の解放>の真実

前のブログで、矢内原、蠟山の植民地議論を若干知っている当方としては、東京裁判での清瀬弁護人による<東亜の解放>の弁護がかなり厳しいものであと書いた。 矢内原と同じ新渡戸の生徒である芦田均の『第二次世界大戦外交史』に「第35章大東亜共栄圏の構…

<東亜の解放>『東京裁判日本の弁明』「却下未提出弁護側資料」抜粋 小堀桂一郎編

小堀桂一郎編『東京裁判日本の弁明』「却下未提出弁護側資料」抜粋 (講談社、1995年)の清瀬弁護人の陳述に<東亜の解放>についても弁明されているのでメモだけしておきたい。手元にあるのは文庫本だ。 72頁 ぺリーの来訪で日本の国家主権、自主権が侵犯さ…

あけましておめでとうございます。

大晦日の平安神宮 明けましておめでとうございます。 2018年は30年近く太平洋島嶼国やってきて良かったと思った年でした。 1988年から太平洋島嶼国を渡り歩いて30年。2017年4月に海洋議連に呼ばれて講演した際に衛藤晟一議員から安倍政権の「ダイヤモンドセ…

『東京裁判日本の弁明』「却下未提出弁護側資料」抜粋 小堀桂一郎編

パラオのマリリンから「戦争犯罪国家日本はつべこべ言わずにパラオにどんどん金出してりゃいいのよ」と年末に言われ、急に東京裁判の本が読みたくなった。以前江崎先生からいただいた本を読んだ時は「え、そうなの」と言う感想でそれほど印象に残っていない…

「東京裁判のレーリング判事のこと」小田滋

パラオのマリリンに「戦犯国家の日本はつべこべ言わずにパラオにどんどん金を出せ」と言われれ、急に東京裁判の事を知りたくなった。まずは上手に反論できなかった自分を反省したのだ。 以前から気になっていた小堀桂一郎教授の『東京裁判日本の弁明』を図書…

日本は戦争犯罪に向き合え!つべこべ言わずにパラオに金を出せ!

イギリス、ドイツと訪問した欧州記を写真と共にブログに書いておこうと思った年末の木曜日の朝。海洋保護区法案施行が延期になったパラオのFBに、衝撃的なコメントがあった。 海洋保護区が国連海洋法条約上疑義があることを再度私が指摘した事に対する、感情…