やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

蜷川新著 『國際聯盟と我南洋の委任統治地』

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著を再読し、読んでみたい論文書籍がいくつかあった。その一つである。蜷川新は足利家の末裔。東京の連盟事務所に委任等治領先住民の改善を委任統治委員会に対し訴えにきたそうである。多分パラオやサイパンにも行っ…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(7)リスト

6章 外務省を中心として 同志社の図書館で偶然見つけた『日本の国際法学を築いた人々』。斜め読みした後気になって再読したいと思っていた。今回はメモを取りながら読んできた。 最後の章である。 国際法は外務省の条約局が担当する。実務家と専攻学者が協…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(6)

5章日本国際法学の推進者 織田萬 安達峰一郎と同期。昭和20年5月25日の東京空襲で死亡。昭和15年西園寺等に推薦され枢密顧問官の補欠になったが、近衞首相が織田の天皇機関説が祟って反対。 信夫淳平 ご子息の清三郎氏が後藤新平伝を書いているので、多少知…

サンフランシスコ条約三条の形成背景

今月開催する「再び やしの実大学in与那国」に講師でお呼びする松田良孝氏と「八重山ジャーナリズム」についてお話する機会があった。 友寄英正氏、上地義男氏、そして三木健氏。 三木氏には2000年に西表島で開催した「やしの実大学」にご参加いただき、西表…

自由連合協定(COFA)予算可決(3)ブリンケン長官山田大使のコメント

On the Enactment of Compact-Related Legislation - United States Department of State 先週可決された米国とミクロネシア3カ国の協定、自由連合に関するブリンケン長官のコメント。パラオのウィップス大統領がこのブリンケン長官を震え上がらせて予算が2…

自由連合協定(COFA)予算可決(2)Diplomat: Patricia O’Brien論稿

Diplomatに掲載されたPatricia O’Brienの記事も興味深く、良質の記事であるのでご紹介する。 Is This the End of the COFA Saga? – The Diplomat そう、自由連合協定の問題は終わっていないのだ。 今回の議会可決に至る、ここ数年の交渉を詳細に見ていた立場…

自由連合協定(COFA)予算可決(1)ファイナンシャルタイムズ

私はここ数年、いや20年以上に渡って米国がミクロネシア3カ国と締結する自由連合協定に関する動きを見てきた。米国は冷戦終結後ずっと後ろ向きだったのだが、その流れを変えたのが中国の進出と安倍政権の明確な態度であった。 安倍政権の自由で開かれたイン…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(5)

4章 国際法学会の創立と育成 一節 山田三郎と立作太郎と山川端夫 山田三郎は1869年生まれ。早大の前身東京専門学校に18歳で入学。鳩山和夫に認められ帝大法科大学全科専科生となる。しかし中学を卒業していないため錦城中学校から開始。すごい努力の人である…

米国とマーシャル諸島の危機!🇺🇸議会予算承認せず(2)

一本のブログにまとめられなかった、というか米国の核実験の告発の記事はそのまま掲載したかったので、残りの二本をこちらに書きます。 2024年1月から大統領に返り咲いたHilda Heine博士の意見です。 Marshall Islands wants nuclear weapons ban pact amend…

米国とマーシャル諸島の危機!🇺🇸議会予算承認せず

ミクロネシア地域は、ドイツ領から、パリ講和条約の下、日本の委任統治になり、戦後は国連の下米国の信託統治となり、国連決議植民地独立付与宣言を受けて米国との自由連合、という流れである。 スペイン時代があるだろう、というがそれは同地域の歴史を知ら…

歯欠け駒、ミャンマーで活躍

‘Broken Tooth’: The Face of Chinese Investment in Myanmar 中国マフィア、三合会の親分でパラオにもやってきた「歯っ欠け駒」尹國駒が、2020年12月に米国政府の制裁を受けながらも、中国国内で大活躍しているというのはタイのインテリジェンスから聞いて…

ツバル新首相台湾関係維持を明示

台湾相当選挙直後に西側が安堵した時、人口12,000のナウルが台湾から中国に外交関係を変更との発表があった。 そしてまたツバルが、新たな国会議員が選出され、親中派がその動きを見せているとのニュースが駆け巡った。 https://www.reuters.com/world/asia-…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(4)

先に3節を読んでブログに書いてしまったが、2節に戻る。 「黎明期の時代的背景と先覚者」 日本が国際法を学んでいった背景は、開国によってそれまでは全く経験のない外交問題に取り組む必要があったからである。その最たる条約改正で、国際法を学んだ多くの…

やしの実大学in与那国Flyer作成しました!

やしの実大学in与那国、いよいよ今月末です。 石垣島でも小規模でやります。こちらは夕食込みで5千円。まだ席がありますので希望者はDMください。 Flyerを3つ作成しました。 広報ご協力お願いします。

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ(3)

勘違いをして2節を飛ばして3節を先に読んでしまった。 3節は専攻国際法学者の誕生 千賀鶴太郎、有賀長雄、寺尾亨、高橋作衛、中村進午の5名が紹介されている。中でも、有賀、中村に夫々十ページ以上をさき、他3名は2−3ページと少ない。 千賀鶴太郎はベルリ…

『日本の国際法学を築いた人々』一又正雄著読書メモ 寄り道「国際法学の移入と性法論」

一又正雄著『日本の国際法学を築いた人々』をメモをとりながら再読し始めた。一又氏が引用している大平善梧の「国際法学の移入と性法論」が気になってウェブ検索をしたら出てきた。しかも20ページで1日を潰す量でもなさそうだ。内容はお宝発見だった。 まず…