やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

偶夜偶冊

『評伝 笹川良一』伊藤隆著

『評伝 笹川良一』伊藤隆著 年末、『評伝 笹川良一』、『くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80』を続けて読んだ。 「笹川」の看板を背負って仕事をするということは、「笹川良一」が何者であるのかある程度説明できないといけない。 20代の頃はよ…

アマルティア・センかアダム・スミスか。ハタマタ、沖縄のオバアか。

アマルティア・センかアダム・スミスか。ハタマタ、沖縄のオバアか。 アマルティア・センの『自由と経済開発』を読了した。 日本語の本は博士課程を始めてから何度も読んでいてボロボロになっている。 いよいよセンのCapability Approachを展開する決心をし…

天皇メッセージと『海上の道』

天皇メッセージと『海上の道』 ロバート・エルドリッジ博士著『沖縄問題の起源』(名古屋大学出版2003)を読んだ。 戦後の沖縄について天皇が米軍の軍事占領継続を希望するメッセージを出していた事がここに詳しく書かれていると、琉球大学のある先生から伺っ…

『逆説の政治哲学』ー正義が人を殺すとき  岩田温

『逆説の政治哲学』ー正義が人を殺すとき 岩田温著、KKベストセラーズ、2011年 著者の岩田温氏は若干28歳である。私の息子の年齢である。 現在秀明大学助教授。 世の中がだめになると人間が輝き出す、と言うのは本当かもしれない、と思った本である。個人的…

原稿執筆

5月に突然舞い込んだ執筆依頼。 急ぎ、との事だったので6月の出張中にドラフトをどうにか書き上げた。 監修者からの指示は、 「歯切れが良過ぎる、もっとねっとりした文章にして、もっと削れ」 というものだった。ここ数日、ねっとりし、且つ簡潔な文章を…

『文明の生態史観はいま』

『文明の生態史観はいま』 梅棹忠夫編、中央公論新社、2001 昨年2010年7月3日に国立民族学博物館の梅棹忠夫先生が亡くなられ、ブログにも書かせていただいた。 うろ覚えで引用した『文明の生態史観はいま』にある太平洋国家連合のことが気になっていたが、…

『突破者』

『突破者』 宮崎学著 南風社、1996年 「ゲイシャ」と「ヤクザ」。外国人が興味を示す日本文化だが、説明できない。 数ヶ月前もNZのグリーン党に勤める隣のルーシーから呼ばれ、日本の漁業とヤクザの関係について聞かれた。勿論わからない。服装や行動様式に…

『「普天間」交渉秘録』

年末年始にかけて下記の3冊を一気に読んだ。 『「普天間」交渉秘録』守屋武昌著 『日米同盟の正体』孫崎享著 『カナダの教訓』孫崎享著 2週間前には『ウルカヌスの群像―ブッシュ政権とイラク戦争』ジェームズ・マン著, 渡辺昭夫監修,を再読。 ミクロネシア…

『色のない島へ』番外

『色のない島へ』番外編 いったい「神経人類学者」とは何者なのであろうか? 隅夜隅冊で取り上げた『色のない島へ』には本筋のストーリーを彩る小話が山ほど盛り込まれているし、巻末の注は80頁に及ぶ。 10年ぶりくらいで読み返したのだが、気がつかなかった…

『色のない島へ』

『色のない島へ』 オリヴァー・サックス著、大庭紀雄監訳、春日井晶子訳、早川書房 1999 不思議な本である。ノンフィクションなのだが、小説を読んだような印象を受ける。同様の印象を、レイチェル・カーソンの海のシリーズを読んだ時にも持った。まるで叙事…

偶夜偶冊ー新カテゴリー

偶夜偶冊ー新カテゴリー 太平洋を知る書籍を偶に紹介して行こうと思う。 カテゴリーを松岡正剛さんの「千夜千冊」をもじって「偶夜偶冊」とした。 偶に読む本。 カテゴリー設定後の第一弾は、オリヴァー・サクッスのミクロネシアを舞台にした『色のない島へ…

『フラジャイル』

『フラジャイル』松岡正剛著,筑摩書房、1995 最初に太平洋の島々に関心を抱いたのは、その国歌が賛美歌のメロディとイギリスの女王を讃えた歌詞を持っていることだった。7年間通った音楽学校では「西洋クラシック音楽=高等芸術」という市民社会が生み出し…

『海上保安庁進化論』

『海上保安庁進化論』 冨賀見栄一著、2009年発行 組織進化論では 最も強いものが生き残れるものではなく、 最も賢いものが生き残れるものでもない。 唯一生き残れるものは変化できるものである。 (同書 119頁) 『海上保安庁進化論』は組織論である。 日本…

『マリコ/マリキータ』

「キリバスの合気道」をブログにアップしたら、グアムの峰岸さんから連絡をいただいた。やっぱり、情報のイズルところに人も情報も集まるのだ。 峰岸さんは夏季集中稽古中で、貧困家庭や家庭内暴力などの子供たち72名が青少年局からグアム合気会に送られて…

新刊『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』

新刊『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』 <環太平洋連帯構想から30年―故大平正芳首相の生誕百年> 当方の2つ目の修士論文の指導教官、渡辺昭夫先生が編集された『アジア太平洋と新しい地域主義の展開』が先月4月に出版された。今年APEC主催国をつとめ…

『日本の島々、昔と今』

『日本の島々、昔と今』 私が再興した笹川太平洋島嶼国基金は日本の島にも注目して来た。 「島で島を語る」「島と島を結ぶ」といった事業を展開。 全くの独学だが、日本の離島問題も勉強する機会をいただいた。 笹森儀助、柳田国男、宮本常一。それに岡本太…