やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日本人の起源とその人種学的要素 E・V・ベルツ

日本人起源がマレイ、すなわちオーストロネシア語族である事をベルツが主張していると新渡戸が書いていたので、その文章を以前探したことがある。「論集 日本文化の起源5」(日本人種論・言語学)にその論文は収められている。「日本人の起源とその人種学的…

ベルツの日記 読書メモ(5)ベルツと伊藤博文

1876年、日本政府との2年の契約で来日したベルツ博士は、26年契約を終えるが、皇室から契約の依頼があり、更に3年間滞在する。主に大正天皇の健康管理がベルツの業務だったようだ。 この「ベルツの日記」いつか読んでみたいと思っていたが、草津行きをきっ…

矢内原忠雄の帝国主義研究 2週間の読書メモまとめ

この2週間の読書メモ。 こんなに読んで書いたんだなー。なんか勉強したという幻想、錯覚を覚える。これでチャタムハウス対応万全。自分用のメモだが、読んでいる方もいると知って途中気合いが入った。

矢内原忠雄の帝国主義研究(4)全集1巻

大英帝国の残影、チャタムハウスの襲撃を受け、急遽コモンウェルスの本を読み「帝国主義」って何?とその定義、議論を知らない事を認識し(知らない事の認識って重要なんですよ)矢内原の帝国主義研究をこの2週間追ってきた。じっくり読むとまではいかない…

「矢内原忠雄と日本帝国主義研究」飯田鼎1982

矢内原先生(1893-1961)とチャタムハウスを創設したライオネル・カーティス(1872-1955)。矢内原は英連邦制度を高く評価していた。 チャタムハウスの急な襲来に対応しつつ、コモンウェルスとは何か少し勉強し、そこに「帝国主義」「帝国主義」と出て来るが誰…

日米同盟でインド太平洋の安全保障協力を加速せよ

出ました! 日米同盟でインド太平洋の安全保障協力を加速せよ。私しか知らないミクロネシア海上保安事業を立上げた背景を書きました。 noqreport.com

ベルツの日記 読書メモ(4)第5編フランス領インドシナ・韓国へ研究の旅

ベトナムと韓国を訪ねた記録である。 韓国の事は全くわからないが興味深い事が書いてある。 1903年2月8日韓国で面倒な事件が起っており、国王腹心の大臣李容翊はロシアのスパイ。日本はロシアを相手に韓国との外交を行う必要があった。 1903年4月27日の韓…

矢内原忠雄の帝国主義研究(3)全集2巻

矢内原全集第2巻は「あの」『帝国主義下の台湾』が入っています。 この論文を読むのは3回目。 最初は兎に角読んでみよう、と。 2回名は若林編集の『帝国主義下の台湾』精読を読んで目が点になって、再読。 そして今回。 今回は帝国主義に限って読んでみた…

ベルツの日記 読書メモ(3)第4編教職を退くまで

ベルツの家族 ベルツは日本人のハナさんと結婚して日本を第二の故郷とし、日本政府との当初2年の契約が26年になったのである。 26歳で日本に渡り、53歳で帝国大学を退職するが、その後3年宮内省侍医として勤め、1905年、56歳でドイツに帰るのだ。 読めば読…

矢内原忠雄の帝国主義研究(2)全集4巻

日本のある大学の博士課程の学生さんからこの帝国主義の読書メモを読んでます、と言われて嬉しくもあり、恥ずかしくもあり。 殆ど自分のためのメモなんだが、それでも世の中に一人でも参考にしていただけるということは、こうやって自分の無知を世に晒す意味…

ベルツの日記 読書メモ(2)第3編第二の故郷

第3編第二の故郷は1888から1896年までの日記である。 息子、トク・ベルツの編集によるこの日記はかなり削除されたり手が加えられているのではないだろうか?というのはベルツは日本の重要な人物の医療に関わりさまざまな内情を知る立場であるからだ。読み進…

ベルツの日記 読書メモ(1)

今年1月、始めて草津を訪ねた。ベルツ博士(1849年1月13日 - 1913年8月31日)に会いたかったからだ。 ベルツは新渡戸や後藤の文章に時々出て来る。そしてインド太平洋構想に深く関係しているはずなのだ。さらに皇室侍医でもあったのだ。天皇陛下のお言葉に…

矢内原忠雄の帝国主義研究(1)全集5巻

チャタムハウスからコモンウェルスとつながって帝国主義という言葉で躓いた。 矢内原全集に「帝国主義研究」があることを思い出して3本ほど小論を読んで、矢内原の植民政策を中心に読んできたが、帝国主義の論文も拾ってみる事とした。 まずは第5巻に収め…

矢内原忠雄の帝国主義研究

矢内原は戦後昭和48年、一度追われた東大に戻るにあたり戦前の論文をまとめた「帝国主義研究」を出版している。私が古書店で1,000円で買ったのは初版本だった。紙はパキパキで読みずらいため、1963年に発行された全集の第4巻に収められている「帝国主義研…

太平洋の事を知らない外務省大洋州課の罪

日本で一番太平洋のことを、歴史を知らない外務省の国家損益活動である。 ひどい、あまりにも酷すぎる。 先日大洋州課にあったがこの30年で最も劣化している。人数は増えたが中身がゼロ、どころかマイナスである。下記のシドニー・モーニングへラルド記事。…

矢内原「帝国主義の現勢」1927年 読書メモ

帝国主義研究が収まっている矢内原全集第4巻には論文集があり、その一つが1927年に書かれた「帝国主義の現勢」である。これも小論だ。 やはり反帝国主義はロシア革命の産物である。ロシアが帝国主義の対象である世界の植民地の民族主義者に反帝国主義原理と…

「帝国主義研究」矢内原忠雄 読書メモ

チャタムハウスとコモンウェルスの論文を読んでいたら「帝国主義」と言う言葉が山程出て来て、誰もその言葉を定義、議論していないのが気になった。 矢内原の全集第四巻に「帝国主義研究」があったのを思い出しその中の2つの小論を読んだ。数年前読んで難し…