やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

国際法と国内法の関係(長尾龍一未完論文)

国際法というと、あのお経のような条文しか思い浮かばず、一生縁がないと思っていた。 正直な話、同志社に入ったのは国際法を、というより2008年から笹川平和財団で担当してきた海洋問題を体系的に学びたいとの思いで、思い切って高名な坂元茂樹教授の門を叩…

カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞と海洋物理学者の父

カズオ・イシグロ氏、知らない作家だった。 SNSを追っていると彼の父親が高名な海洋物理学者である、という記述があって、リンクを辿ってみた。「海」ということなのでここに書いておこうと思う。 イシグロ・カズオ氏の父、石黒鎮雄博士は海洋物理学者だった…

太平洋のレジェンド、篠遠喜彦博士の訃報

昨日、このブログを書き終えた時、ハワイのビショップ博物館篠遠喜彦博士の訃報が届いた。 篠遠喜彦博士の思い出が走馬灯にように巡って、昨日は、多分今日も、物事が手につかないであろう。 笹川太平洋島嶼国基金は、少なくとも私が関わった1991年4月からの…

友好関係原則宣言(自分用メモ)

国際連合憲章に従った諸国間の友好関係及び協力についての国際法の原則に関する宣言 Declaration on Principles of International Law concerning Friendly Relations and Co-operation among States in accordance with the Charter of the United Nations …

パラオ国旗が赤く染まる日は来るのか?

パラオに住んでいる人よりパラオに詳しい、とパラオに住んでいる方から言われて、色々と質問をいただく事がある。 中国に寝返ったパナマ。次はどこか?パラオかバチカンか? ちょうどパラオ滞在中に国会議長とPresident of Senatorsが中国に招待され、パラオ…

パラオを防衛するのは米軍?台湾軍?

現場に行くと、やはり面白い情報が得られる。 もしかして知らないのは私だけ?かもしれないが。。。 パラオ共和国国会議員の友人とのブランチ。いつも2時間、3時間がすぐに過ぎてしまう。 安全保障の話なった。 国会議員「パラオに北朝鮮のミサイルが飛ん…

Self-determinable Development of Small Islands

昨年、Springerからデジタル書籍で出版された下記の本が、ハードコピーで出版されました。私は、ICT4D, 情報通信政策と開発について一つ目の博論から1章書かせていただきました。 本来ならばお世話になった先生方に献呈すべきところですが、一冊140£!約…

『プロパガンダ教本』エドワード・バーネイズ著

『プロパガンダ教本』エドワード・バーネイズ著。中田安彦訳。 成甲書房。(2010年) 前から気になっていた本である。 なーんだ、という感想と共に、アメリカはすごい、とも思った。 まずはこの本、訳者前書きと後書きを先に読むべき。 広告屋のバーネイズが、…

海外まき網漁業と資源管理(一社)海外まき網漁業協会会長◆中前 明

【Ocean Newsletter】第411号(2017.09.20 発行) 海外まき網漁業と資源管理(一社)海外まき網漁業協会会長◆中前 明 https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/latest/index.html 当方の指導教官の坂元教授が編集委員をされるようになっ…

パラオの漁港

パラオの漁港。 黒い煙を吐く漁船がひしめき合っている。 一体、どれだけの船が違法漁船で、どれだけが便宜置籍船で、そしてどれだけの漁船がきちんと漁獲量を申告しているのか?もしくは政府機関が管理しているのか? 水産資源管理は法遵守からはほど遠い途…

中国の庭と化す太平洋の要衝・サイパン

中国の庭と化す太平洋の要衝・サイパン 児玉 博 (ジャーナリスト) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10626?layout=b 赤く塗り替えられる太平洋の島・パラオ 児玉 博 (ジャーナリスト) http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10327 ウェッジという雑誌に…

What is Australia up to?

英国、チャタムハウスの知り合いから興味深い記事が送られて来た。 今日読む予定の資料が色々あるのだが先にこちらを。 最近の中国を、そして太平洋島嶼国をめぐるオーストラリアの動きが簡潔にまとめられ、この問題をフォローしていない人には貴重な記事、…

「インテリジェンスの20世紀 情報史から見た国際政治」中西輝政・小谷賢著

これも『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(江崎道朗著、PHP, 2017)か、関連の江崎氏のコメントで取り上げられていた書籍である。 『インテリジェンスの20世紀 情報史から見た国際政治』(中西輝政・小谷賢著、2007年、千倉書房)。 雑誌Will11月号の、中西…

祖母が受けた大正自由教育

wikiから 手塚岸衛先生 『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(江崎道朗著、PHP, 2017)に大正の自由教育の事が出てくる。 今の自分を形成している重要な要素がこの大正自由教育である。反応せずにはいられない。 私の祖母は、自由教育の第一人者、手塚岸衛先…