やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ICT4D

ICT4Disaster 災害へ向けたICTの利用

2011年、3月11日の東北の津波災害は世界中に大きな衝撃を与えた。 これに対応すべく災害関係の支援案とそれを関連する予算が、太平洋島嶼国で大きく動いている。 広大な海洋に囲まれた小さな島々、太平洋島嶼国にとって日本の災害は人ごとではなく、…

Meheroo Jussawalla博士の訃報

Meheroo Jussawalla博士の訃報を、今受け取りました。 昨日の7月29日に亡くなられたそうです。1923年7月14日生まれなので89歳でいらした。 インド出身の経済学者であり、情報時代の先駆的存在です。 当方に博士の経歴を書くだけの理解はなく、下記の英文…

Free online Workshop for Educator 20 June - 3 July 2012 

Wikieducatorというのがあるのは知っていたが、まさかお膝元で創設、展開されているとは今日まで知らなかった。 6月20日から7月3日までオンラインで無料でワークショップが受けられます。 オンライン教材に関する著作権やCreative Commons Licenseに関…

Missing Link-Global nerve (GII) - Human Capability

ICT4Dの歴史的背景を追っている。 50年代から始まった脱植民地化と宇宙開発。 80年代、ITUが出したメイトランドレポート The Missing Link 90年代のゴア副大統領が推進したGlobal Information Infrastructure そして2000年のG8で発表された沖縄憲章、とWSIS…

JICAのおじさんとサンダルの話

太平洋は広いようで狭い。 特に島を訪ねる人は限られていて、日本の援助関係者JICAやOFCFの方に出会う事が多い。 キリバスでJICA職員の方に出会った。シニアの男性で援助の思いを語ってくださったのだが、私にとっては唖然とする内容で、今でも忘れられない…

Satellite Network for the Pacific Islands – Pacific Commons

インターネットの父ヴィントン・サーフのコメント(キリバス)に触発されてコモンズの理論で太平洋衛星ネットワークを議論しようとしたペーパー案 Draft; 12 Feb 2009 Title: Satellite Network for the Pacific Islands – Pacific Commons Authors: Rieko H…

海底ケーブルとサンダルの話 memo

インドのテレセンター開発を、開発論で書いている知人に話したら大受けしたのが下記のエピソ−ド2「サンダルと開発」。 インドにはNGOや援助機関の人たちが作れ作れと唆し、テレセンターがタケノコのようにあるらしい。成功、失敗の議論以前に、このNGOや援…

パラオの海底ケーブル

数年前からパラオとグアムを結ぶ海底ケーブルの話が進んでいる。2010年11月にパラオで開催した海上保安事業会議に時にPNCCの社長から直接聞いた話である。10年程前にも一度海底ケーブルの話が浮かんだが、費用対効果が悪いと却下されたようだ。 先日訪ねて…

”Real” で“True”な競争ってナニ?NZの電気通信

3月30−31日、慶応大学メディア・コミュニケーション研究所の菅谷実教授が私が所属するオタゴ大学にいらした。数年前からご関心を持たれた太平洋の電気通信政策の調査の一環だ。 数年前、慶応大学の特別研究生として1年程お世話になった。この間、大学のセ…

日本がなぜUSPNetを支援するか? <その2 プルトニウム輸送の代償としてのUSPNet>

<その2 プルトニウム輸送の代償としてのUSPNet> (左から故Kabua大統領、Tabai事務局長(当時)、Solofa学長(当時)) なぜUSPNetが日本のODA案件になったのか。 このブログを開設せよアドバイスいただいた日本財団笹川陽平会長の判断なのである。 笹川会…

日本がなぜUSPNetを支援するか?ー <その1 ポストコロニアル通信体制を変革したUSPNet申請案>

日本がなぜUSPNetを支援するか?ー 右から電気通信大学の小菅教授(当時)、田中教授、筆者 <その1 ポストコロニアル通信体制を変革したUSPNet申請案> 南太平洋大学の遠隔教育ネットワーク ー 通称USPNet. 日本のODAでそのキャパシティがどんどん拡張さ…

Space Development and Decolonization (Post colonization)

(The first draft 27 February 2012) Space Development and Decolonization (Post colonization) It is reasonable to start with “Maitland Report” to describe the historical background of Information Communication and Technology for Development …

宇宙開発と脱植民地化の関係

宇宙開発と脱植民地化の関係 Relations between Space Development and Decolonization いよいよ、博士論文の理論枠組みの章を書き始める事になったが、指導教官が退職する事になり、昨年春(日本の秋)新しい指導教官が配置された。 新しい指導教官はPostco…

good news - bad news

good news - bad news 良いニュースがあれば悪いニュースが出て来る。きっと世の中はそういうものだ。 昨年のハワイ出張で得たgood news とbad news. 笹川太平洋島嶼国基金は1991年からPEACESAT事業を支援し、共に活動してきた。PEACESATは冷戦最中に衛星の…

ソーラーHFラジオが離島の人命を守る

「ソーラーHFラジオが離島の人命を守る」 笹川太平洋島嶼国基金は1997―2005年の9年間、グアム大学に対して56,383,661円の助成を行った。事業内容は、ミクロネシア地域全体を対象とした遠隔教育の政策・制度改革である。 この事業の波及的成果として、60近い…

パラオの電話会社がボランティア募集中

パラオ出張の際、Palau National Communications Corporation (PNCC) の社長Richard L. Misech氏から連絡があり、会いたい、という。何だろう、と思ったら、やっとパラオとグアムを結ぶ通信海底ケーブルの話が本格化してきたようで、その進捗の報告をしてい…

ボーイング社のビジネスプランが失敗すると太平洋島嶼国の離島にインターネットが繋がる話

ボーイング社のビジネスプランが失敗すると太平洋島嶼国の離島にインターネットが繋がる話 2005年太平洋をカバーするAMERICOM-23 (AMC-23) という衛星が打ち上げられた。この衛星は下記の利用目的があった。 1) 太平洋にある米軍基地が使用するため。また米…

一千七百万円の助成金が百七十億円の補助金に

一千七百万円の助成金が百七十億円の補助金に 笹川太平洋島嶼国基金は1998年から2000年の3年間、ハワイ大学が実施する「遠隔教育推進のための情報通信技術・応用訓練」に17,425,785円の助成を実施した。 この助成事業により、サイパン、グアム、米領サモア…

ICT4D ー 新カテゴリ

ICT4Dのカテゴリーを設けることにした。 開発のための情報通信技術。英語では Information and Communication Technology for Development という。 略して"ICT4D"。 4をforと読ませる。 1991年、笹川平和財団に入ってUSPNetやPEACESATの事業を立ち上げた。 …

スプートニクショックがUSPNetを構築する

太平洋島嶼の電気通信に関して風が吹けば桶屋が儲かる式の話がまだまだあった。大国の安全保障、経済の利益が明確になると島嶼国の福祉が向上する(可能性がある)、という話である。 第4話 「スプートニクショックがUSPNet(南太平洋大学遠隔教育)を構築…

米国がインターネットギャンブルを禁止するとバヌアツの全離島に電話が通じる

<第三話> 「米国がインターネットギャンブルを禁止するとバヌアツの全離島に電話が通じる」 2007年3月21日。私は出張でバヌアツのTelecom Vanuatu Limited(TVL)の責任者にインタビューをしていた。TVLはイギリスのケーブル・アンド・ワイヤレスとフラン…

「北朝鮮がミサイルを打ち上げるとミクロネシアに海底通信ケーブルが敷設される」

第2話 「北朝鮮がミサイルを打ち上げるとミクロネシアに海底通信ケーブルが敷設される」 今年2010年3月、マーシャル諸島のクワジェリンから首都のマジュロ、さらにミクロネシア連邦の首都ポナペを経由しグアムに繋がる海底通信ケーブルが完成した。 なぜク…

太平洋の島に捕鯨基地ができるとアノテ・トン大統領が誕生する。

太平洋の島の電気通信に関連し、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話を3つ紹介したい。 <第一話> 「太平洋の島に捕鯨基地ができるとアノテ・トン大統領が誕生する」 太平洋の島に初めて海底通信ケーブルが施設されたのは、イギリスの植民地経営が背景にあっ…

アレクサンダー・グラハム・ベルとろう教育

あまり知られていないが、電話の発明者アレクサンダー・グラハム・ベルは父親の代からろう教育に一生を捧げた人であった。母親は難聴者であり、生徒で後に妻となるマーベルは聴覚障害者であった。 当時、多くの聴覚障害者が話すことを諦らめていた中、ベル親…

ODA22億円、Japan-Pacific ICTセンターオープン

Japan-Pacific ICTセンターオープン 2010年7月6日、Japan-Pacific ICTセンターが南太平洋大学に正式オープンする。22億円の日本のODAだ。このことは2つの点で自分にとって感慨深い。 <PRESS RELEASE> 1 July 2010 OFFICIAL OPENING OF THE UNIVERSITY OF …

笹川太平洋島嶼国基金とUSCGとの間接的協力関係

(2009.2 執筆) 笹川太平洋島嶼国基金とUSCGとの間接的協力関係 島嶼国基金は第2次ガイドライン(1999~2008)に沿って、ミクロネシア重視、遠隔教育重点の事業を行ってきました。その中の一つの事業がグアム大学が実施する、「西太平洋における遠隔教育…

PEACESAT ― 太平洋をめぐる日米協力の一片

(2009.2に書いた文章です。) 「ケネディの希望、ダニエルイノウエ議員の宿望、笹川太平洋島嶼国基金の大望」 PEACESAT ― 太平洋をめぐる日米協力の一片 笹川太平洋島嶼国基金の助成事業が間接的にUS. Coast Guardの活動に寄与していることを以前ご報告しま…

島の王道― Communication支援

「島の王道― Communication支援」 「島に必要なのはTransportation, Communication, Education。島嶼国基金は王道をやってきたんじゃないか。」 昨年5月、マーシャル諸島を初めてたずねた羽生会長の言葉。今でも忘れられません。 この中でも、Communication…