やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

笹川太平洋島嶼国基金

校正

11月に出版される本の原稿校正がやっと終了した。 急な執筆依頼をいただき、出張中に急いで草稿を書き、監修者、出版社からの連絡が有ったときは、もう初稿校正。 大学学部生の教科書になる本で、太平洋島嶼国の政治経済を紹介。 監修者の反対を押し切り先史…

カニバリズムとガールフレンドの数

「奥さんは一人でいいが、ガールフレンドは多い方がいいですなあ。」 「いや、本当に。」 太平洋島嶼国から客人を招いた夕食会の席で、日本人の紳士2人がこんなたわいのない会話をしていた。 ”世のお父さん達は外でこんな勝手なことをホザイているのか。そ…

戦後の日本と太平洋を結んだ偉人ー大平正芳・五島昇

What the nuclear accident has made me realise once again is that Japan's post-war policy towards the Pacific is related to its nuclear policy. In the 1980s, Prime Minister Nakasone visited the Pacific Islands because of the problem of dump…

原子力開発と太平洋の島々

原子力開発と太平洋の島々 日本の原子力開発と太平洋の島々。一見関係がなさそうに見える両者であるが、日本の対太平洋島嶼国援助は日本の原子力開発のために進められてきた側面がある。 始まりは1980年日本政府が小笠原諸島の北東の公海に低レベル放射性廃…

登戸の善の丸

登戸の善の丸 フィジーだ、パラオだ、と仕事といいながら行く場所が場所だけに、親も友人も、挙げ句に財団職員まで「楽園の島」で何が仕事だ、と猜疑の目で見る。 か弱き乙女が太平洋で、一癖も二癖もある島人相手に孤軍奮闘しているのを暖かく、時に厳しく…

「大島襄二先生と太平洋学会」

「大島襄二先生と太平洋学会」 お正月、京都で大島襄二先生と奥様にお会いすることができた。 大島先生は太平洋学会の三代目会長をされていて、2年前にいろいろとお話をお伺いする機会をいただいて以来である。 太平洋学会は1978年、ホノルル滞在中の中島洋…

裏金作りか、友達作りか

30億円の笹川太平洋島嶼国基金は、兼任の室長、フルタイムの研究員とアシスタントの3名体制で進めてきた。過去20年、室長は10人程が入れ替わり、立ち替わり。 その中に、発想豊かな方もいた。 「ハワイのビショップ博物館の篠遠博士と、京都大学の片山一道…

電気通信大学の田中正智教授

笹川太平洋島嶼国基金での20年。 多くの方に助けられてきたが、まだ20代の頃、海の男の一言が救ってくれた話を紹介したい。 電気通信大学の田中正智教授である。 田中先生は、若い頃船舶通信技師として遠洋航海船に乗船し、世界の海を股にかけていた。 その…

太平洋島嶼国の歴史教育

金の切れ目が縁の切れ目にならないように、過去の助成先をなるべくフォローする努力をしている。助成した案件が継続し、発展する姿を見るのは自分の子供の成長を見る様に嬉しい。 さらに嬉しいのは、あちらからわざわざ報告をいただく時だ。 <太平洋島嶼国…

貞岡大使との会話

2010年11月のパラオ出張で、在パラオ日本大使館の貞岡大使とお話することができた。 ODAが削減される中で、数の多い太平洋島嶼国に遍く平等に支援するのはどうか?というお考えのようだった。 笹川太平洋島嶼国基金は前運営委員長渡辺昭夫先生のご意見で、ミ…

大洋州課職員X

笹川太平洋島嶼国基金を再興させた私は外務省と比較的コミュケーションを密にとってきた。大きく動いたのは故小渕首相から笹川陽平会長に太平洋島サミット開催へ向けた協力依頼があった2000年である。当時の大洋州課宮島課長から連絡があり公式にコラボを展…

マザー・テレサ

マザー・テレサ See! I will not forget you… I have carved you on the palm of My Hand… I have called you by your name… You are mine…You are precious to Me…I love you. Isaiah マザー・テレサが子供を抱いた写真と共に上記の言葉記されている小さな…

ギャンブル

ギャンブル 「一体その資金源はどこか?」 「ギャンブルです。モーターボートレイシングです。」 というと眉をひそめる人、唖然とする人、大笑いする人、いろいろな反応がある。 今回訪ねたキャンベラのお役人、軍人、学者さん達は一様に大笑いした。 オース…

靖国への道

「靖国への道」 家から15分位歩いたところに靖国神社がある。 坂をしばらく下り、外堀の桜並木とJRの電車を眺め、橋を渡って今度は坂を少し上がる散歩道だ。神社の前では骨董市が開かれたり、お祭りの時は屋台が並ぶ。参拝もせずにそのまま千鳥ヶ淵まで足を…

国立民族学博物館須藤健一館長

太平洋島嶼国と言えば民族学である。 民族学と言えば太平洋島嶼国である。 素人の私でも知っているのが 『西太平洋の遠洋航海者』のブロニスワフ・カスペル・マリノフスキ 『サモアの思春期』のマーガレット・ミード 『コン・ティキ号探検記』のトール・ヘイ…

梅棹忠夫先生と太平洋

2010年7月3日国立民族学博物館の梅棹忠夫先生が亡くなられた。 年明け、同館長に昨年4月就任された須藤健一先生にご挨拶に伺ったばかりであった。須藤先生は梅棹先生のお弟子さんでもある。 私は梅棹先生からよくお葉書をいただいていた。 私はニュースレ…

国連大学のビューティーサロン

国連大学のビューティーサロン 「ビューティーサロンみたいでしょ?」 国連大学メディアスタジオ、ディレクターのブレンダン・バレット博士は笑う。 おしゃれな青山にあるガラス張りの一角は、そこが国連大学と知らなければ本当にビューティーサロンかも、と…

キリバスの合気道

市ヶ谷の家の近くに合気道の総本山、合気会道場がある。 さて、20年前この合気会に私も数回通ったことがある。笹川平和財団に就職して1ヶ月もしないころの初仕事の一つだった。 笹川太平洋島嶼国基金は1991年、キリバスの合気道活動に専門家を派遣する支援…

情報のイズルところに人集まる

情報のイズルところに人集まる やっぱり情報を発信すること=(イコール)情報収集なのだ。 国立音大を出て、陸上自衛官になったS女史から会いたい、とご連絡をいただいた。 なんで音大を出て東大卒相手に海洋安全保障なんてやってるんだろう?と自分を疑問…

笹川太平洋島嶼国基金クロニクル 「基金の20年」

(2008年に作成した文書です。) 笹川太平洋島嶼国基金 クロニクル 「基金の20年」 1987年、戦後はじめての日本の対太平洋島嶼地域政策「倉成ドクトリン」が発表された。翌年、笹川平和財団は倉成氏を議長に迎え、10カ国の太平洋島嶼国首脳を一堂に会した会…