やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

OurWorld 2.0 ソーシャルメディアによる海洋教育の可能性

(写真: 足袋抜豪) ブログで紹介した国連大学メディアスタジオ所長、ブレンダン・バレット博士一押しの事業が、同スタジオが制作するウェッブマガジン、OurWorld 2.0だ。 一作品5-7分のビデオ番組がウェッブ上に公開されている。現在36本の作品が掲載さ…

歴史教育

「先生の言うことを信じてはいけませんよ。」 そう先生は言って、ニュージーランドのある高校の歴史授業が始まった。 知り合いのお母さんから聞いた話だ。 その歴史の先生は1年間通じて、ナチスの話を取り上げたらしい。 生徒はナチスの将校達の名前を全て…

東チモールとの出逢い

東チモールとの出逢い (写真は1999年のAbel Guterres大使) たった2日のキャンベラ出張ではさまざまな出逢いと再会があった。 その中でも最後を締めくくり、強烈な印象を残したのは東チモールとの出逢いだ。 ベルギン博士のご高配で、同博士の東チモール海…

守屋武昌氏の講演

守屋武昌氏の講演 官僚で真剣に太平洋島嶼国のことを考えた人を2人知っている。 羽生次郎会長と稲村公望さんである。 稲村さんとは20年のおつきあいで、笹川太平洋島嶼国基金の提言が日本のIT 戦略に反映されたのも、稲村さんが総務省大臣官房審議官だった…

ギャンブル

ギャンブル 「一体その資金源はどこか?」 「ギャンブルです。モーターボートレイシングです。」 というと眉をひそめる人、唖然とする人、大笑いする人、いろいろな反応がある。 今回訪ねたキャンベラのお役人、軍人、学者さん達は一様に大笑いした。 オース…

国際政治と考古学

国際政治と考古学 昨年、2009年『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』(ナヤン・チャンダ著)が和訳出版され、話題になったようだ。 高名な国際政治学者で私の先生でもある渡辺昭夫先生、山内康英先生が新鮮な驚きを持ってこの本を語っていたことを、…

特殊な事情と皮肉な結果  ―旧敵国本陣で考えた日本の海洋安全保障

特殊な事情と皮肉な結果 ―旧敵国本陣で考えた日本の海洋安全保障 <旧敵国本陣へ> 羽生会長から旧敵国の本陣、オーストラリアのキャンベラに一人乗り込み、外務省、現役・旧軍人、学者ら誰でもいいから話をしてこい、といつもの豪快な指示があった。 安全保…

靖国への道

「靖国への道」 家から15分位歩いたところに靖国神社がある。 坂をしばらく下り、外堀の桜並木とJRの電車を眺め、橋を渡って今度は坂を少し上がる散歩道だ。神社の前では骨董市が開かれたり、お祭りの時は屋台が並ぶ。参拝もせずにそのまま千鳥ヶ淵まで足を…

育児と安全保障

育児と安全保障 もう10年ほど前の話である。 太平洋島嶼国のジャーナリストを連れて防衛省を訪ねた。 たまたま手に取った同省の機関誌に「子育てを経験しない人に安全保障はわからない。」という学者さんの発言があって、随分差別的な発言だな、と反感をもっ…

萩ーハギーアキー秋

萩ーハギーアキー秋 外国にいると日本の草木が懐かしく、小さい庭に藤、山吹、椿、つつじ、桜、南天などを植えている。 萩が大好きなので、植木屋で探すのだがどうしても見つからない。 英語ではJapanese Bush Clover。 西洋人には萩の良さがわからないんだ…

日本数寄

日本数寄 2010年3月8日に始めたこのブログも130回になった。 早くカテゴリー分けをしようと思っているが、一つの話に海洋、安全保障、ミクロネシア、オーストラリア等々と多くのキーワードが絡み、どうカテゴライズしていいのかまだ迷っている。 太平洋の島…

アメリカの海洋政策最終案発表

「これがルブチェンコがやりたかったことなんです。」 以前ルブチェンコの下で働いていたChris Ostrander氏は言う。 Ostrander氏は現在NOAAの下部組織Pacific Islands Ocean Observing Systemディレクター。 2010年7月19日、約1年かけてアメリカの海洋政策…

『フラジャイル』

『フラジャイル』松岡正剛著,筑摩書房、1995 最初に太平洋の島々に関心を抱いたのは、その国歌が賛美歌のメロディとイギリスの女王を讃えた歌詞を持っていることだった。7年間通った音楽学校では「西洋クラシック音楽=高等芸術」という市民社会が生み出し…

第41回PIF総会コミュニケと西パプア問題

昨日までバヌアツで開催されていた第41回PIF総会のコミュニケが発表された。 今回の総会は議長の豪ギラード首相とパプアニューギニアのソマレ首相が欠席。 前者は8月21日の総選挙を控えてスミス外相を代理に。 ソマレ閣下は「パーソナル リーズン」で欠席。…

スプートニクショックがUSPNetを構築する

太平洋島嶼の電気通信に関して風が吹けば桶屋が儲かる式の話がまだまだあった。大国の安全保障、経済の利益が明確になると島嶼国の福祉が向上する(可能性がある)、という話である。 第4話 「スプートニクショックがUSPNet(南太平洋大学遠隔教育)を構築…

Engaging with the Pacific Leader meeting

2010年7月22-23日、フィジーのNatadolaにおいて”Engaging with the Pacific Leader meeting”が開催された。 出席者はパプア・ニューギニアのソマレ首相、ソロモン諸島のシクア首相、キリバスのトン大統領など太平洋島嶼10ケ国の首脳・閣僚。 元々、メラネ…

ミクロネシアでハンセン病患者が急増

「ミクロネシアでハンセン病患者が急増」 マリアナ・バラエティ、7月30日のニュースです。 記者はマーシャル・アイランド・ジャーナルの編集長、ギフ・ジョンソン氏。 マーシャル諸島の人が住む主要な島24のうち、3つの島を調査しただけで、33人のハンセン…