やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシアの海上保安事業

水産庁取締船と安保法案

京大で開催された研究会で質問を受けて思い出した件である。 水産庁取締船のパラオ派遣。 水産庁がやる気になって、しかも受けるパラオ法執行機関は大喜び。 約500トンの「みはま」のような取締船がパラオEEZを監視するのだ。しかもタダで。 船のメンテも…

中型監視艇KEDAMパラオに到着

パラオに到着したKEDAM 日本財団が支援するミクロネシア海上保安事業の一環でKedamというパラオの軍艦鳥の名前がつけられた監視艇がパラオに到着した。 この中型船の支援の背景には水産庁と国交省庁間の軋轢があり、その原因を作ったのが私なのである。 ミク…

移民法に観光保護を取り入れた世界初の国となったパラオ(フェイクニュースかも)

(追記:ウェッブにある記事をそのままこのブログに書いていたが、どうも変な勘がしてきたのでパラオの法務省に訪ねてみたら法律ではなくて単なるdirectiveで、サインしたくなかったらしなくていい、とのこと。一体何が本当なのか。。。) ワシントンポスト…

評論家・江崎道朗氏との出会い

評論家・江崎道朗氏の著書をこのブログで紹介していたら、FBFの方から、江崎氏とどのような接点があるのですか?と聞かれた。 他の研究会や会議の席でも江崎氏との関係を聞かれたことがある。 全てこのブログのおかげなのだ。 このブログ開設をほぼ強制的に…

米国防省、ミクロネシア政策に動く

米国の対ミクロネシア支援政策に本来担当する国務省でも内務省でもなく、国防省が動いた。 ミクロネシアは冷戦終結後約30年、米国に放っておかれたのだ。 この地域を米国の傘下にと強く望んだのは戦後の米国防省だった。だから今回の国防省の動きはあるべき…

国交省のセクハラ・パワハラ・海洋音痴

笹川平和財団と国交省(旧運輸省)の微妙な関係はよく知らないのだが、笹川会長からいただいた本と曽野綾子前日本財団会長の文章に、日本財団が人事介入する運輸省を訴えたことが書かれてあり、驚いた。 笹川会長も曾野元会長もたくさん文章を書いていらっし…

蔡総統の太平洋諸島訪問(9)中国戦闘機グアム周辺で爆撃訓練

明日の蔡総統グアム訪問を控えての中国からの警告であろう。 Report: China flies bombing runs near Guam http://www.kuam.com/story/36732944/2017/11/01/report-china-flies-bombing-runs-near-guam#.Wfoxnj2pWns.facebook 日本語でも一つニュースが出て…

ミクロネシア連邦大統領訪日ー海洋安全保障とダイヤモンドセキュリティ

10月23日から10月26日まで,ピーター・マーティン・クリスチャン・ミクロネシア連邦大統領(H.E. Peter Martin Christian, President of the Federated States of Micronesia)が実務訪問賓客として日本に滞在した。 天皇陛下との会見。安倍総理、河野外相、…

ミクロネシアの便宜置籍船ビジネス

一昨日の報道ステーションのパラオ特集は反響が大きく、色々な方から「あれはどういう意味か?」等々ご質問をいただく。こうやって頼ってもらえるのは嬉しい限りである。 同時に情報をもらったり、忘れていた事を思い出させてもらったり。。 今回のニュース…

『オレンジ計画』エドワード ミラー 著

『オレンジ計画―アメリカの対日侵攻50年戦略』 1994 エドワード ミラー (著), 沢田 博 (翻訳)、新潮社 オレンジ計画ーレインボー計画の中の対日戦略である。 太平洋を、日米関係を、第二次世界大戦を知る重要な資料だろうち思いつつ、戦記物は関心が湧かない…

安保理北朝鮮制裁リスト9隻の内パラオ船籍は3隻

「北朝鮮籍の船舶など4隻を制裁対象に追加 国連安保理」 10/10 2017 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00372957.html 上記の記事によると「国連安保理は、北朝鮮に対する制裁決議で禁止されている物品を運んでいたとして、5日付で、北朝…

使われない船?

自分が立ち上げた事業が継続し、発展する姿を見るのは嬉しい。 しかし、良いニュースばかりではない。 パラオに既に供与した小型船が港に停留したままで使われていないのが心配だ、とパラオの閣僚始め数人から囁かれ、息が止まった。 下記のパラオ大統領府の…

パラオを防衛するのは米軍?台湾軍?

現場に行くと、やはり面白い情報が得られる。 もしかして知らないのは私だけ?かもしれないが。。。 パラオ共和国国会議員の友人とのブランチ。いつも2時間、3時間がすぐに過ぎてしまう。 安全保障の話なった。 国会議員「パラオに北朝鮮のミサイルが飛ん…

パラオ大統領来日ー北朝鮮ミサイル対応

パラオのレメンゲサウ大統領が北朝鮮のミサイル対応のため、今週サモアで開催される太平洋諸島フォーラム総会参加をキャンセルし、来日。日本で米国と協議するとのこと。 Palau leader not attending Forum summit http://www.radionz.co.nz/international/p…

日豪協力によるシーシェパード退治

2011年、パラオのシーシェパード退治を、笹川平和財団前会長の羽生次郎さんから指示された時は、なんで国交省や海保に人材がいないんだよ〜、何で私なのよ〜、と嘆いたが、君にしか出来ない、と煽てられて、粛々と対応した。 まずは、敵の情報収集を行いなが…

パラオ米軍の空海監視レーダー施設設置計画

先般の米軍のレーダー基地をパラオに設置する協議内容がパラオ大統領府から発表 パラオの空海の監視のためのレーダー施設。 10月26日ハワイの会議で最終合意。米パラオ共同記者発表がある、という。 Air and Maritime Domain Awareness Radar Systems (the…

サイパンの年金破綻が招くカジノ・チャイナマネー(追記あり)

朝日グローブがサイパンのカジノを記事にしたようだが、何も取材がされていないし、問題の核心に触れていない。わざと、であろうか?忖度したのか? サイパン政府がカジノに手を出して、中国のマネロンの楽園となっている本当の原因はサイパンの年金破綻なの…

米国、パラオの離島にレーダー基地を検討

パラオのメディアからの情報だ。FBで公開。 米国とパラオが秘密会議をもち、軍事目的のレーダー基地をKayangel, Ngaraard, Ngardmau, Angaur, Sonsorol, and Hatohobe、のどこかに設置する計画との事。 この秘密会議自体、驚きだが、こういう情報が非公式で…

FAOーレメンゲサウ大統領インタビュー

この7月にFAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations)で開催された会議に参加した際のインタビュー。 FAOがSIDS "Small Island Developing States" (小島嶼開発途上国)に対しニーズに合った特別な支援をするという。 SIDSが誕生した背…

北朝鮮のミサイルが飛ぶとマーシャル諸島に海底通信ケーブルが敷かれる

北朝鮮からのミサイルに慣れてしまって、日本政府が警告を出すだけで何も動いていなさそう(実は動いていると期待しているが)なのがもどかしい。 米国のハワイ州は既に警戒態勢で、市民にも広く呼びかけているという。 これが当たり前ですよね。 2017.7.22 …

米国国防省が支援するパラオ経済

パラオの、ミクロネシアのそして太平洋島嶼国の戦略的意義を日本政府と共有できるのは米国のPACOMであろう。 人口2万もいない、小島嶼国が経済的に自立するには、麻薬やカジノ、便宜置籍船などシャディな活動に手を出すしかないのだ。 だから、1960年の国連…

トラック諸島の旧海軍沈没船、油流出防止を支援(追記あり)

トラック諸島の旧海軍沈没船、油流出防止を支援 2017年07月22日 http://www.yomiuri.co.jp/eco/20170722-OYT1T50068.html Moves under way to prevent oil leaks from wartime ships http://the-japan-news.com/news/article/0003835401 この話、知っている…

アンガウル州マリファナ合法を探る?

84人のパラオ、アンガウル州の市民がマリファナ合法への署名をし政府に提出した。 理由はアンガウル州の経済のため、そして人口減少を抑えること。 現在グアム、合衆国の29の州が合法である、という。 Angaur Citizens Seek To Legalize Marijuana In Angaur…

ナカムラ大統領の懸念ーパラオ人口減少

パラオのナカムラ元大統領が、人口減少と人口に占める外国人の比率が増加していることに警鐘を鳴らした。 パラオの人口17,000人。その内パラオ人が12,000人強、外国人が4,000人強。外国人の割合は27%である。 ナカムラ元大統領はこのままではパラオはパラオ…

井上成美関連図書

列島線戦略の事を書いていたら、読者の方から色々と推薦図書の情報をいただけた。 軍事史関係は苦手だ。ちゃかちゃかと読めるといいのだけれど。 ここに記録しておきたい。 沈黙の提督井上成美 真実を語る (新人物文庫) 文庫 – 2009/7/7 新名 丈夫 井上成美 …

パラオの中国人

この記事、以前取り上げた記憶があるが、見つからないので、再掲になるかもしれないが、書いておく。 Palau Chamber of Commerce sceptical over residency offer http://103.14.3.1/international/pacific-news/329199/palau-chamber-of-commerce-sceptical…

パラオで違法操業取締

パラオの海洋法警察が、フィリピンのまき網漁船を違法操業で拿捕したというニュースだ。 42トンのマグロを積んだ船は、パラオのアンガウルとソンソールの間で発見された。 8人の漁師は釈放されたが、マグロは没収。パラオの人々で分けたという。 さらに以前…

グアムの刑務所の3分の一はミクロネシア連邦出身者

土曜の朝から嫌なニュースばかりの紹介になってしまって、気が重いが、書いておくべきニュースがFacebookの方に溜まっているので、粛々とこちらのブログに書いて行きたい。 Facebookは便利だが検索とかできなくて、埋もれてしまうのだ。 さて、ミクロネシア…

パラオ海洋保護区のその後

パラオ全EEZの80%を商業漁業禁止にする法案。 下記のニュースによるとそれが本当に地元水産業に貢献するのか、大きな疑問が残っており、The National Geographic Pristine Seas, the Palau International Coral Reef Center, the Palau National Marine San…

年金とカジノ・海洋保護区

カジノと海洋保護区、根っこは年金問題だった。 明日か、明後日か、書きます。 とりあえず、下記の資料をパラオの友人と共有するために。 サイパンのカジノ関連法 4 CMC 2301-2309.pdf