やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-01-01から1年間の記事一覧

蔡総統の太平洋諸島訪問(12)窮地のソロモン諸島首相

これは貴重な映像だ。 蔡総統のソロモン諸島訪問。 不信任案を突き付けられたソガバレ首相の現場の雰囲気が伝わってくる。 笑いましょうよ。と。でもそこにいるのはソガバレ首相を落とそうとする議員ばかり、なのだろう。 今回の汚職の原因rと噂されている中…

蔡総統の太平洋諸島訪問 (一覧)

気がついたら10件を超えていた。今日がグアム。まだまだ情報は出てくるであろう。 米中台関係、そして日本の、さらに太平洋を裏庭としている豪州NZ英国、フランス立ち位置。 ん〜、よくわからない。。

蔡総統の太平洋諸島訪問(11)SDGsがつなぐ国連への道

蔡総統の太平洋島嶼国訪問。 内容を見ていると 1.オーストロネシア語族のつながり 2.SDGsへ向けた医療、教育、農業支援 の2点に見えてきた。くっきりと中国と違いを浮き上がらせているのではないだろうか? SDGsの件だが、下記のソロモンスターの記事を…

蔡総統の太平洋諸島訪問(10)船が繋ぐ5千キロ先のソロモン諸島

ソロモン諸島には11月1−3日と2泊の予定。(英連邦の同国の君主はエリザベス女王です。) ニュースがちらほらと。 Red carpet welcome for visiting Taiwanese president Featured 02 November 2017 http://www.solomonstarnews.com/index.php/news/nation…

蔡総統の太平洋諸島訪問(9)中国戦闘機グアム周辺で爆撃訓練

明日の蔡総統グアム訪問を控えての中国からの警告であろう。 Report: China flies bombing runs near Guam http://www.kuam.com/story/36732944/2017/11/01/report-china-flies-bombing-runs-near-guam#.Wfoxnj2pWns.facebook 日本語でも一つニュースが出て…

『海の民のハワイ』小川真和子著(3)まやかしのブルーエコノミー

『海の民のハワイ』小川真和子 著、人文書院、2017http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b287823.html <千葉と紀州> 生まれ育った千葉の地名が和歌山や徳島あたりと同じなので、祖先はあっちか、と思っていた。 しかし、東海大学医学部の中島功教授から「あ…

『海の民のハワイ』小川真和子 著(2)ジャップを公海上から閉め出せ!

『海の民のハワイ』小川真和子 著、人文書院、2017 http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b287823.html <ジャップを公海上から閉め出せ!> 『海の民のハワイ』がぐいぐい読み進むのは著者の小川教授による豊富なインタビュー記述と、貴重な過去記録を掘り起…

蔡総統の太平洋諸島訪問(8)ソロモン諸島閣僚9人が辞職!

蔡総統訪問を直前に苦境に立たされているソガバレ、ソロモン諸島首相 蔡総統が今日、11月1日から3日まで滞在する予定ソロモン諸島。 9人の閣僚が辞任した。 どうも汚職防止法案改正で、牢屋に入れられるからのようだ。 汚職と言えば、ソガバレ首相が中国の…

蔡総統の太平洋諸島訪問(7)出発前のスピーチ

台湾総統府に蔡総統のスピーチがある、 出発前のスピーチも興味深い。 - 35名のジャーナリストを引き連れて、の訪問。 - 太平諸島は7年前に馬前総統が訪ねたきり。 - 台湾外交を示す時! - 支援内容は今まで確認した,気候変動、教育、医療、農業など。中国…

蔡総統の太平洋諸島訪問(6)ホノルルでのスピーチ

蔡総統のホノルル訪問時の、東西センターでのスピーチ。 短いが中国に対して十分刺激的な内容のように読める。 President Tsai attends a seminar with scholars from East-West Center and Pacific Forum CSIS 2017-10-30 http://english.president.gov.tw/…

蔡総統の太平洋諸島訪問(5)マーシャル諸島

蔡総統のマーシャル諸島でのスピーチ。 タイトルが刺激的だ。 「持続可能なオーストロネシア語族、より良き未来のために共に行動しよう!」 "Sustainable Austronesia, Working Together for a Better Future." さらに 海洋国家、持続可能な民主主義(って何…

蔡総統の太平洋諸島訪問(4)マーシャル諸島

ホノルルを後にした蔡総統が訪ねたのが、米軍のレーガンミサイル基地があるマーシャル諸島だ。 ミクロネシア連邦が一貫して中国と、パラオも一貫して台湾との外交関係を維持している中、マーシャルは何度か中台と外交関係を変更した経緯がある。 President a…

蔡総統の太平洋諸島訪問(3)台湾の防衛予算3%まで増額(追記修正あり)

蔡総統がホノルルの東西センターで何を言ったか、ニュースに少しずつ出ている。 スピーチ入手できないだろうか? 台湾の防衛予算を、少なくとも防衛予算の2%まで、必要であれば3%まで確保、と蔡総統ホノルルの東西センターで明言。 現在年間防衛費の調達…

蔡総統の太平洋諸島訪問(2)パールハーバー訪問の意味

10月28日から開始した蔡総統の太平洋諸島訪問。日本のメディアは殆ど取り上げていないのだそうである。このブログが唯一の情報源、と煽てられてフォローする事とした。 蔡総統、太平洋諸島訪問の直前に米国のダニエル・ラッセル前国務次官補の訪問を受けてい…

『海の民のハワイ』小川真和子 著(1)

『海の民のハワイ』小川真和子 著、人文書院、2017 http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b287823.html この本に出会えたのは、そしてこの著者にお会いできたのはこのブログのおかげである。 改めて2010年にブログ開設を強く勧めて(ほぼ強制的に)くださった…

「島の国際法上の地位」山本草二(自分用メモ)

『国際行政法の存立基盤』(山本草二著、有斐閣社、2016年)に収められている「島の国際法上の地位」を再読。 2013年に亡くなられた山本草二先生にお会いすることも教えをいただくこともなかったが、宇宙法や国際通信法もカバーされているようだ。私の一つ目…

「海洋法における「島の制度」再考」栗林・加賀美(自分用メモ)

『日本における海洋法の主要課題(現代海洋法の潮流第3巻)』(有信堂高文社、2010年)に収められている第7章「海洋法における「島の制度」再考」(栗林忠男、加賀美康彦著)を再読した。 松井芳朗先生の自決権と天然資源の永久的主権の論文を読んだ後なの…

蔡総統の太平洋諸島訪問とラッセル前米国務次官補

昨日10月28日から台湾の蔡総統の太平洋諸島訪問が開始した。 蔡総統のツイッターに興味深い情報が。 10月24日に米国のダニエル・ラッセル前国務次官補の訪問を受けている。ラッセル氏は東アジアと太平洋地区を担当し、奥様は日本人だ。 下記のBloombergの記…

ダイヤモンドセキュリティ構想と自由で開かれたインド太平洋

この4、5月に発表する機会をいただいた海洋議連・島嶼議連で使用した当方のパワーポイント資料から 2012年に発表された安倍総理のダイヤモンドセキュリティ構想は「自由で開かれたインド太平洋戦略」と名称が変わったのかもしれない。 その原点は下記の200…

「日本人が知らない最先端の「世界史」」 福井義高著

近現代史を学ぶ上で必読書、ではないだろうか。 人気のようで延長できず返却期限が来たので、超特急で読んだ。本当はこれも線を引きながら付箋をつけながらじっくり読みたい本である。 そして何よりも歴史を専門としない私などにもわかりやすいように書いて…

ミクロネシア連邦大統領訪日ー海洋安全保障とダイヤモンドセキュリティ

10月23日から10月26日まで,ピーター・マーティン・クリスチャン・ミクロネシア連邦大統領(H.E. Peter Martin Christian, President of the Federated States of Micronesia)が実務訪問賓客として日本に滞在した。 天皇陛下との会見。安倍総理、河野外相、…

京大vs東大

西の京大、東の東大。 あまり大学の事は知らないし関心がないのだが。 秋に世界中から学者が日本に来るようで、京都にいることをもう言わない方がいいかもしれないと思うほど、ここ数日は忙しい。 でも興味深い話が山ほど聞ける。 京大に招聘された学者との…

尾高朝雄のノモス主権論

このブログにカール・シュミットの「大地とノモス」をメモしていなければ出会えなかった本である。 SNSで見ず知らずの人からこのブログのしかも「大地とノモス」をRTされたので少し驚いた。 カール・シュミットは多くの人が名前は知っているが議論の中身は知…

鷹姫ーアイルランドと日本を結ぶ能

アイリッシュの詩人イエーツと能研究者小林静雄 娘のご先祖様の一人にアイルランドの歴史的人物がいる事を知ってから、興味も関心もなかったアイルランドが急に気になって来た。 昨年初めて訪ねたアイルランドは「イースター蜂起」100周年でイエーツの詩…

ニュージーランドに37歳の女性の首相が誕生

昨日はこのニュースで新井京先生の国際法授業が上の空になってしまった! ニュージーランド、9年ぶり政権交代 TPPに慎重姿勢 2017/10/19 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22462560Z11C17A0FF2000/ ニュージーランドの総選挙、第1党の国民党、第2…

ミクロネシアの便宜置籍船ビジネス

一昨日の報道ステーションのパラオ特集は反響が大きく、色々な方から「あれはどういう意味か?」等々ご質問をいただく。こうやって頼ってもらえるのは嬉しい限りである。 同時に情報をもらったり、忘れていた事を思い出させてもらったり。。 今回のニュース…

蔡総統の太平洋島嶼国訪問開始!

当初7月に予定されていた、蔡総統の太平洋島嶼国訪問がこの10月28日から開始する。 訪問先はマーシャル諸島、ツバル、ソロモン諸島だ。 Taiwanese president to visit Pacific 1 June 2017 http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/332074…

山本草二『海洋法』三省堂、2001年(2)

引き続き、山本草二著『海洋法』から気になった箇所をメモしていく。(自分用のメモです) II 海洋法秩序の発展過程 三 海洋法秩序の条約化とその発展 p30 p. 33 G77などは17、8世紀以来の「狭い領海」と「広い公海」の二部構成に立つ伝統的海洋法を改め、海…

山本草二『海洋法』三省堂、2001年

山本草二先生の『海洋法』は坂元教授から読むように4月にご指導いただき、一読したが、松井芳朗先生の自決権、天然資源の永久的主権に関する論文を読んでから、再読しようと思っていた。 海洋法が、戦後の、特に60年代以降の独立国の動きと一致しているから…

海洋法を巡るNGOと海洋保護区の論文

『21世紀の国際法と海洋法の課題』著者 松井芳郎・富岡仁・坂元茂樹・薬師寺公夫・桐山孝信・西村智朗編。2016年。東信堂。 http://www.toshindo-pub.com/book/21世紀の国際法と海洋法の課題/ ニウエの海洋保護区、そしてトランプ政権のメガ海洋保護区見直し…