やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

アメリカー海のウルカヌス

America’s Nuclear Test Legacy: Still an Issue for the Marshall Islands

マーシャル諸島の核実験。 今年8月にGiff Johnson氏が“Don’t Ever Whisper” を出版した。 まだ読んでいない。 そのJohnson氏の講演がウェッブで観れる。 太平洋の島々に情報通信が必要だと思った理由の一つがこの核実験である。 もし当時インターネットがあ…

CSISのパラオレポート

先週、ワシントンD.C.にあるシンクタンクCSISから下記のレポートが出て、一瞬パラオが話題になったようである。色々な人から「読んだか?」とメールをいただいた。 Pacific Partners Outlook: Prioritizing Palau: Why the Compact Budget Volume III | Issu…

米国海軍に感謝されるミクロネシア海上保安事業

パラオ出張のハイライトを読者の皆さんと、特にミクロネシア海上保安事業を手がけてきた皆さんとシェアさせていただきたい。 たった、2、3分の立ち話だったけれど、米国海軍のRear Admiral Payneから 「日本財団、笹川平和財団のミクロネシア地域での活動…

We Hold These Truths (WITH INTRO)

ミクロネシアの実情を示した番組。 取りあえず貼っておきます。後でコメントを書きたいと思います。 制作はJapanese American Citizens League Honolulu Chapter - JACL Honolulu アメリカに移民したミクロネシア人の気持ちは、同じ移民の日系人にとって共感…

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」と小室直樹著『日米の悲劇』

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」 http://democracynow.jp/video/20121116-3 http://democracynow.jp/video/20121126-9 オリバー・ストーンの「語られざる米国史」を見ながら、パールハーバーに触れなくていいのかな、と、小室直樹著『日米の悲劇』…

Give us Palau! Give us Palau!

本当にがっかりするニュースである。 今月、パラオのレメンゲザウ大統領とコンパクトチーフネゴシエーターのビリー・クアルテイ氏がワシントンDCを公式訪問。目的は2010年からペンディングになっているコンパクトマネーの再履行である。 ところがパラオ案件…

米国の太平洋管理体制

アメリカの太平洋。かなり複雑な管理体制である。巨大官僚組織。 まず連邦政府。 国務省 - 東アジア太平洋局、USAID, EWC 等々。 国防省 - PACOM 等々。 国家安全保障省 - USCG 内務省 - 島嶼局 自由連合協定担当 等々。 商務省 - NOAA 漁業局 気象局 等々。…

Free Association – Another Kiwi legacy for Pacific Islands

(I made big mistake on the first draft. Free Association will be continued, but its aid scheme will be changed. However all arrangements are still on the process of negotiation. Dr Patrick and Ben - Thank you for your corrections. ) 米国が…

属国日本ーその2

こんなブログをちゃんと読んでくださっている方が結構いる事がわかった。 それで以前書いた「属国日本」の続きをメモ程度だが書いておきたい。 http://blog.canpan.info/yashinomi/archive/654 「私は自主独立路線より、属国に位置しながら最大の利益を得る…

アメリカのために世界を敵に回したパラオ共和国

アメリカのために世界を敵に回したパラオ共和国 昨年、12月。大型台風Bophaが近づくパラオの情報をウェッブで収集した時、パラオはこの台風ではなく、パレスチナ問題で世界から注目を浴びている事を知った。 国連決議でパレスチナが「オブザーバー組織」か…

「胡蝶の夢」黒川清先生からのメール

有難き、信じ難き、事なれど、 あの黒川清先生から年明けにメールをいただいた。 これは「胡蝶の夢」かしら。 確かに一昨年クアラルンプールの太平洋学術会議でお会いし名刺は交換させていただいた。 でもまさか。 人違いではなかろうか。 先週、疑心暗鬼で…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(6)マーシャル群島 その2

(この「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」は高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』を参考にまとめています。) ヤルート会社の社旗 左が1887年、右は1888年から "Die Soldaten foegen den Kaufleute" 「軍人は商人に続く」 ディー ゾルダテン フォエゲン デ…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(5)マーシャル群島 その1

(この「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」は高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』を参考にまとめています。) ドイツ帝国の南洋統治。ビスマルク群島、カイゼル・ヴィルヘルムスランドのあるノイ・ギニア、即ちニューギニアを外す訳にもいかないし、高岡博…

ドイツ、ドイツ、ドイツ

高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』をこのブログでまとめ始めてからすっかり”ドイツづくし”になっている。 近くにオープンしたドイツ人の経営するお肉屋さんで本場ソーセージとザウアークラフトを買い込んで、食事までドイツ。 モーツアルト、シューベルト、…

ゴーデフロイ家 ユグノーとナントの勅令

ビスマルクが南洋に乗り出すきっかけともなった「南洋の王』ゴーデフロイ家。ハンザ都市、ハンブルグの商人である。wikiでフランスのユグノーである事を見つけ、チラッと書いておいた。 「サン・バルテルミの虐殺」 フランソワ・デュボア作 小室直樹著『日本…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(4)郵船航路補助法案

(この「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」は高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』を参考にまとめています。) Norddeutscher Lloydのロゴ ビスマルクの植民地政策は、フィジー問題よりもサモア問題、サモア問題よりも郵船航路補助問題と、一歩一歩前進する…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(3)<サモア問題、ゴーデフロイ商会救援問題>

(この「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」は高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』を参考にまとめています。) ヨハン・セザール・ゴーデフロイ Johan Cesar VI. Godeffroy ドイツ人が太平洋の進出したのは意外と早かった。しかし、当時ドイツの統一(18…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(2)<フィジー島問題>

(この「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」は高岡熊雄著『ドイツ南洋統治史論』を参考にまとめています。) 植民地政策には消極的であったビスマルクが、ドイツの基本国策を大陸政策から世界政策に変更したきっかけは、アフリカでもアジアでもなく、また…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(1)ドイツ統一と植民政策

und 音楽高校、音楽大学出身の自分にとってドイツは遠い存在どころか、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーベン、シューマン、シューベルト、と身近どころか頭に心にそして指に染み付いている。第一外国語はドイツ語だったくらい。 挨拶くらいはできる…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(前口上2)ー高岡熊雄博士

「鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋」、前口上が続く事になるが、まずはビスマルクを敬愛してやまなかったように読める『ドイツ南洋統治史論』の著者、高岡熊雄博士について触れておきたい。 戦前戦後の日本は、政経学夫々の分野のベストアンドブライテス…

鉄血宰相ビスマルクに愛された太平洋(前口上)

鉄血宰相ビスマルク 太平洋と言えばアメリカである。 このブログでは「海のウルカヌス」というカテゴリを設け、思いつくまま、気が向くままに米国の動き書き留めている。 第一次世界大戦後、南洋諸島が日本に委譲された事に激震、激怒したのがアメリカである…

ジェーン・ルブチェンコ博士はどこへ行ったのか?

海と3人の女性 左からルブチェンコ博士、ボルゲーゼ女史、カーソン女史 <ジェーン・ルブチェンコ博士はどこへ行ったのか?> 先月の米国出張に向けて用意した2つの質問。 1.米軍の太平洋シフトは太平洋の広義の海洋安全保障に何を意味するのか? 2.4…

ハワイのユニオンジャック

太平洋でユニオンジャックを掲げている国が結構ある。ユニオンジャックがなくても先日ウィリアム皇太子とキャリン妃が訪問したソロモン諸島のように英国女王を君主に迎えている独立国家もある。 その中で、米国ハワイ州がこのユニオンジャックを掲げているの…

The Banyan Tree Leadership Forum with The Hon. Kurt M. Campbell

youtu.be やっぱり文章で読むより、ビデオで聞く方が説得力がある。アイランドホッピングを2回もしたキャンベル国務次官補。きっと誰よりも太平洋諸島の事に詳しくなっている事だろう。一度、米国が自由連合協定を締結するミクロネシア諸国について議論した…

United States Inspection Vessels for WCPFC Boarding and Inspection Activities

段々軍事オタクになりそうで「怖い」。 以前ご報告した「米国が守る太平洋のお魚」。 yashinominews.hatenablog.com 当方が米国に足を踏み入れた日に59隻が新たに登録申請されていたWCPFCのHSB&I。その船の実態が写真付きで公表されている。下記のpdf 米国…

クリントン国務長官のクック諸島訪問と米国の太平洋の世紀

(良くも悪くも、)米国がアジェンダとする事は世界のアジェンダである。 (良くも悪くも、)米国がアジェンダに取り上げない件は世界のアジェンダではない。 これ、笹川太平洋島嶼国基金の第2代運営委員長にして、当方の師でもある東京大学名誉教授渡辺昭…

中国より脅威なのはーヒラリーとジュリア

第43回太平洋諸島フォーラムが、2012年8月27−31日、クック諸島で開催された。 来るか来ないか、ぎりぎりまで噂されていたヒラリー国務長官が参加した事は1971年に創設されたフォーラム史上、大きな事件である。 1960年代、西サモアを始め、島嶼国の独立の…

PACOM

PACOM - ペイコム と読む。最初聞いた時は何かのオンライン決済かと思った。 さて、いよいよPACOMにも乗り込む事になった。 世界最強の米国軍には統合軍(Unified Combatant Command: UCC)というのがあり、現在世界に下記の6つが展開している。その一つがP…

US Pacific Shift - US protect our fish?

今回の米国出張は、パネッタ長官のシャングリラダイアローグやUNCLOSに関連するスピーチが実際にどのように太平洋の海洋安全保障に反映しているのか、いないのか、というクエスチョンを用意していた。 (以前クエスチョンを疑問と訳して書いたら、防衛大学の…

キャンベル国務次官補、再びアイランドホッピング

キャンベル国務次官補が再びアイランドホッピングの旅に出かけている。 今回は国務次官の他にPacific Fleet Commander Admiral Cecil Haneyの2人が代表。他にJeff Prescott, Special Advisor for Asian Affairs at the Office of the Vice President, Glori…