やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

未来に魚を残そう

Et tu, DeCaprio? デカプリオ、お前もか?

先週米国国務省主催で開催された"Our Ocean 2014" 。メディアの脚光を浴びたのはハリウッド俳優レオ•デカプリオのスピーチと新たな7億円ばかりの彼の財団からの拠出金である。 Et tu, DeCaprio? (デカプリオ、お前もか?) と心の中でつぶやいてしまった。…

「第2回資源管理のあり方検討会」で何があったの?

2008年、ミクロネシア海上保安事業を立ち上げてから漁業問題に関わらざるを得なくなった。 太平洋では意外にも日本の漁業が悪者にされている事がショックだった。 2011年、自力で、ウェッブサーフィングして調べていたら勝川先生のブログを発見し、日本の水…

海を守る2つの庁

水産庁の取締船「白嶺丸」 日本の対太平洋政策と言えば次の三本柱 1.漁業政策 2.原子力政策(昔は核廃棄、今はプルトニウム輸送) 3.国連等での支持票獲得 最近はこの3本柱に気候変動が加わった。 この中で漁業問題は何が何でも、絶対関わりたくなか…

パラオのEEZ商業漁業禁止案に関するガーディアンの記事

またまたパラオですみません。 が、ガーディアンがパラオのEEZ商業漁業禁止案に関してバランスのいい記事を書いているので簡単に紹介しておきたい。 Palau's plans to ban commercial fishing could set precedent for tuna industry The Pacific nation wan…

キャンベル元国務次官補が絶賛する日本の漁業交渉

アイランドホッパーでもあるキャンベル元国務次官補が、日本の漁業交渉を絶賛している記事を発見。 『キャンベル氏は、台日漁業取り決めについて「領土問題を棚上げすることによる資源の共同開発の実現」としながら、国際社会からその成果が過小評価されてい…

昭和28年の竹島問題 水産委員会より

これもメモだけです。 日本の水産行政が複雑である、という、一端を見るような気がしています。 - - - - - - - 第16回国会衆議院 水産委員会 第19号 昭和二十八年七月二十八日(火曜日) ○小高委員 ただいま下田条約局長の答弁によりますと、当然撤廃され…

日本の水産行政

どうまとめてよいかわからないので、まだメモです。 日本の遠洋漁業が日米の摩擦を招き、200カイリ制定のきっかけになったこと。即ち漁業資源が海洋管理につながる。 日本の海洋外交の中でも水産分野が突出していること。(環境、安全保障は?) PACOMもRAN…

未来に魚を残そう

海洋安全保障。最近はIUU ー違法操業一辺倒である。 三重大学の勝川先生の講演、それから一般社団法人「海の幸を未来に残す会」も設立されていました。 平議員の発言で、水産庁との政策協議がない、というのが気になった。 EEZの漁業問題こそ海洋安全保障な…

今年もKURUKURUの季節がやってきた

FFAからのニュースで今年もKURUKURU*の季節が来た事を知った。 (* KURUKURUはソロモン諸島で鳩の意味。下記参照) http://www.solomontimes.com/news/what-is-the-kurukuru/2487 Forum Fisheries Agency.ソロモン諸島にある漁業資源管理を目的とした地域機…

中国の違法操業と海洋安全保障

先月の8月16日にRSISから発行された報告書を読め、とPACOMの知り合いから情報をいただいた。中国の外洋での違法操業が与える海洋安全保障への弊害についてまとめられている。しかもそれは中国政府の漁業改革の失敗が原因というのだ。 以下、"China’s Evol…

『こちら石巻、さかな記者奮闘記』

『こちら石巻、さかな記者奮闘記』 高成田享著、時事通信社、2009年 魚の本が続いている。 著者の高成田さんはテレビ朝日「ニューステーション」のコメンテーターをしていた新聞記者。アメリカ総局長も務めワシントン通でありながら、日本の地域、特に漁業に…

『沈黙の海』ー イサベラ・ロヴィーン著

『沈黙の海』ー イサベラ・ロヴィーン著 佐藤吉宗訳 新評論 2009年 魚の本が面白い。これで4冊目だ。 著者イサベラ・ロヴィーン女史はジャーナリストとして魚の問題を取り上げ、自分自身の人生も大きく変えた。今欧州議会議員として魚の問題に関わっている…

『解体新書「捕鯨論争」』

『解体新書「捕鯨論争」』 石井敦編著、新評論、2011年 衝撃的な内容である。 捕鯨擁護の日本。実は、調査捕鯨を続けるために、モラトリアム期間を延ばすような行動を取ってきた、という。 なぜか。調査捕鯨には多くの補助金や利子の優遇があるからである。…

『魚のいない海』

『魚のいない海』 フィリップ・キュリー, イヴ・ミズレイ著、 勝川俊雄監訳, 林昌宏訳 エヌティティ出版,2009年 「国際テロ組織を退治しろ」 この春、突然こんな指示があった。 詳細は書けないが、急遽情報収集をする中で、まともに相手にすべきではない、…

未来に魚を残すために

<メディアで取り上げられる漁業資源> 太平洋島嶼国での日本の国益と言えば、安保理等国際社会での支持票確保、プルトニウムを含む海上輸送路の確保、そして漁業資源の確保、この3本柱である。 私はこれらの問題に直接関わって来なかったが、2008年からミ…

「安かろう 罪深かろう」

違法伐採が原因の西パプア州のウォンダマ湾県ワシオールの大規模水害 インドネシア文化宮(GBI-Tokyo)より 環境NGO「地球の友」の中澤さんが音頭を取る、フェアウッド・カフェに参加した。 木の問題と魚資源の問題に共通点を見つけた。 消費者が1円でも安い…

水産庁がパラオに密漁監視船を提供

いよいよ水産庁がパラオに密漁監視船を提供する、という記事が日経に出たという。(2010年12月30日付け) 昨年、水産庁の宮原審議官のコメントをスクープしてある。宮原審議官、本気だったようだ。 記事には、水産庁が民間企業から監視船業無用の船を借り上…

日本漁船、米国沿岸警備隊に拿捕される

「日本漁船、米国沿岸警備隊に拿捕される」という2010年12月4日付けのニュースがSamoa Newsにあったので、慌てて山川さんに送ってしまった。 関連記事をサーチしていたら、ホノルルにあるコーストガードニュースが2009年3月10日にリリースした記事であるこ…

パラオの鯨 鯨のパラオ

パラオの鯨 鯨のパラオ 長年捕鯨問題では日本支持を表明し、日本にとって頼もしい国パラオが、今年になって不支持に回る、と言い出し、大騒ぎになった。 鯨だけではない、サメも保護、観光客からグリーンフィーなる環境税も取り立て、パラオは一躍環境保護の…

アンフェアトレード

アンフェアトレード 今月、マーシャル諸島と日本の漁業交渉が決裂し、ニュースになった。 マーシャル諸島EEZで捕獲できるマグロの末端価格は年間約100億円。マーシャル諸島政府に入る漁業権は2億円。 額が大きいと実感が湧かない。桁を落とそう。2円で売っ…

パラオが日本の調査捕鯨不支持へ

昨日のマリアナバラエティの記事で、パラオが日本の調査捕鯨不支持を公式に表明した、とあった。 パラオは長年捕鯨問題で日本の強力な支持者であった。 島嶼国が離れていくと、IWCでの日本の立場は苦しくなるであろう。(早川) Palau officially conveys…

魚を持つ国、持たない国、獲る国

魚を持つ国、持たない国、獲る国 2010年2月25日、パラオ共和国においてナウル協定メンバー国による初のサミットが開催された。ナウル協定は太平洋の漁業資源が豊富な8カ国から構成される。(パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦、キリバス、ツバル、ナウ…

違法操業監視、マーシャル・ミクロネシア初の連携プレイ

(2009年2月に書いたものです) <違法操業監視、マーシャル・ミクロネシア初の連携プレイ> Marianas Variety, Feb. 5, 2009 (ニュースの要点) 今月初め、マーシャル諸島沖で違法操業をしている台湾と日本漁船をマーシャル諸島のSea Patrolが追跡。捕り逃…

ナウル協定

1982年太平洋島嶼地域の域内漁獲量の多い8カ国が調印した地域協定。 (ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、ツバル、ソロモン諸島、パプアニューギニア:PNA=Parties of the Nauru Agreement) 第1次履行措置では漁船登録制度の…

盗人を捕らえてみれば我が子なり

<盗人を捕らえてみれば我が子なり> 2年前の2008年、笹川平和財団のミクロネシア沿岸警備案件の立ち上げ作業が始まり、ミクロネシア3国の大統領がそれを全面的に支持する旨のレターを米豪政府に送った。当初それに対する米国高官の反応は冷ややかだった。…