やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

パラオ海洋保護区が年金破綻対策??

クリックすると拡大します。 EEZの80%を商業漁業禁止するパラオ海洋保護区の目玉はなんといってもその資金システムにある。 基金を創設するのだ。 その収入は主に観光客から。 すなわち現在出国時に払う50ドルが100ドルに値上げされる。 しかし、増額する50…

パラオの中国

小島嶼国パラオに中国からの直行便が飛ぶようになって、あっという間に中国の影響下に置かれてしまったのは、確か天皇皇后両陛下が尋ねられる前年からだったと記憶する。 町で、また古い友人たちから聞いた情報である。 <危険な農薬> (コメントをいただき…

終戦後のパラオを救ったのは日本の缶詰?

現場でしか得られない情報が多々ある。 パラオの官僚との会話の中で、クジラの話が出てきた。 「米国が終戦後信託統治となったミクロネシアに何もしてこなかった事は知っているよね。」 「はい、ケネディ政権まで放って置かれたんですよね。」 「食べるもの…

ナカムラ元大統領との会談(3)APPU

パラオ訪問。他にも盛りだくさんの情報があり、忘れる前に書いておきたい。 ナカムラ元大統領との2時間近い会談でギリギリ公表できる内容の最後の話題。ナカムラ大統領の後継者となったご子息のアリックさんの事だ。 確かナカムラ元大統領のご兄弟か、親戚…

ナカムラ元大統領との会談(2)皇太子殿下の話題

ナカムラ元大統領との会談。 当然、2015年の天皇皇后両陛下のパラオ訪問の詳しいお話をお伺いする事ができた。 心温まる皇室外交、と言うのでしょうか?天皇陛下とナカムラ元大統領の交流はプライベートなことのような気もするので、ここに書いて良いかどう…

ナカムラ元大統領との会談(1)

パラオのクニオ・ナカムラ閣下は、パラオ共和国の初代大統領である。 パラオは1994年10月1日に独立した。 このナカムラ元大統領が私の名前を覚えてくださっているのは1999年に笹川平和財団田淵節也初代会長が三塚博議員とパラオを訪ねる事になり、そのアレン…

海洋法とセレブリティ・ディプロマシー

海洋法とセレブリティ・ディプロマシー 1. 概要 海洋法に関わる議論、特にその国際的な議論に非国家アクターとして、ハリウッドの俳優やビリオネラーなどの「セレブリティ」が登場する。彼らの影響力は大きく、国内のもしくは国際的海洋法を制定する中で無…

クック諸島の政治的地位再考の動き

今年になってクック諸島の政治的地位に関する議論が多少話題になったようだ。 クック諸島はニュージーランドと1964年から自由連合協定を締結している。 Sovereignty, Free Association With New Zealand - Or Independence? Submitted by PIR Editor on Mon,…

「21世紀の国際法における民族自決の意義」山形英郎

山形英郎、「二一世紀国際法における民族自決権の意義」、名古屋大學法政論集. v.245, 2012, p.517-560 松井芳朗先生の自決権に関する文献を探している中で偶然見つけたペーパーである。2012年なので比較的最近の議論がされているのではないか、すなわちカッ…

パラオヤップを結ぶ海底通信ケーブル

笹川平和財団の前会長、羽生次郎さんは思った事をそのまま口される方だったようだ。 会長室での吊し上げ、という貴重な経験もしたが、最初にお会いした早々 「あんたのやっている情報通信事業は財団のみんなが訳のわからない事やっている、と評判悪いよ。」…

『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』江崎道朗著

私が近現代史を全く知らない事を反省したのは、ミクロネシアと日本の関係を理解するには第一次世界大戦前後ははずせない、と今更のように思い返した事と、2015年の天皇陛下のお言葉を知ったからである。 天皇陛下のご感想(新年に当たり) 「満州事変に始ま…

太平洋島嶼国が北朝鮮に提供する便宜置籍船

太平洋島嶼国が得意とする主権ビジネスの一つ。便宜置籍船。 今回のサモアで開催されたフォーラム総会で北朝鮮の件と絡めてその問題が明示された。 意外である。非難決議だけかと思っていた。 太平洋島嶼国は確信犯だ。しかもニュージーランドや豪州は知って…

太平洋諸島フォーラム域外国対話の堀井巌総理特使声明と島嶼議連の提言

<島嶼議連提言の成果!> 先週、サモアで開催されていた第48回太平洋諸島フォーラムの域外国対話に出席された堀井巌総理特使(外務大臣政務官)のステートメント が外務省のウェブに掲載されていた。 太平洋諸島フォーラム域外国対話における 堀井巌総理特使(…

PPBP ーパシフィックパトロールボートプログラム

大阪大学の真山全教授に豪語してしまった件がある。 そして、外務省始め多方面から照会いただいている件でもある。 「豪州海軍が展開するパシフィックパトロールボートプログラムーPPBP、豪州海軍より私の方が知ってるんです!」 2008年に笹川平和財団がミク…

北朝鮮を支える太平洋島嶼国

先週、サモアで開催されていた太平洋諸島フォーラムにパラオ大統領が北朝鮮のミサイル対応のため欠席し、日本で米国関係者と協議、とのニュースをブログにあげたところ多くの問い合わせとアクセスがあった。 北朝鮮とパラオ、そして太平洋島嶼国。一見関わり…

James Fanellが語る中国の脅威

Captain James Fanell. 米軍のインテリジェンス将校。本当のことを言って更迭された。話題になっているピーター・ナヴァロ著『米中もし戦わば』は彼に捧げられている、という。(まだ読んでいません) Panel: Chinese Navy: Operational Challenge or Potent…

メディアの水産庁叩きは馬鹿の一つ覚えか?

クロマグロの記事、相変わらず水産庁叩きばかりだが、昨年の会議の議論を知れば、先週釜山で開催された会議に水産庁のドン、宮原さんが議長じゃなければ合意が得られなかったことがわかるであろう。 当然プロフェッショナルジャーナリストは専門家の意見だけ…

「青い太平洋」とボートの腐乱死体

マーシャル諸島の環礁で、3人の腐乱死体がボートで発見された、という。 コロンビア人とメキシコ人。麻薬の運び屋だったのではないだろうか? Body and ID cards found on boat washed up in Marshalls 7 September 2017 http://www.radionz.co.nz/internat…

BBNJ新協定を考えるー海洋秩序の発展か変容か?

アジア国際法学会日本協会第8回研究大会(2017年6月25日、早稲田大学)で坂元茂樹教授が「BBNJ(国家管轄権権外の海洋生物多様性)新協定を考えるー海洋秩序の発展か変容か?」というテーマで発表されたので拝聴させていただいた。 坂元教授の発表があった…

笹川太平洋島嶼国基金設立の経緯と不敵の26歳!

自分の書いた文章を数十年後に読み返すのは恥ずかしいものだ。同時にその文章を書いた時の自分の思考や周囲の動きも思い出す。 1991年4月に私が笹川平和財団に入った時、既に前任者は辞めていて、座礁していた基金をゼロから、ある意味マイナスから立て直す…

北朝鮮のミサイルと太平洋諸島フォーラム

昨日ブログにあげた、パラオのレメンゲサウ大統領が太平洋諸島フォーラム(以下PIF)総会参加をキャンセルし、日本に来て米国と北朝鮮のミサイル対応の協議をする話。 PIFのテイラー事務局長のコメントがある記事があった。 テイラー事務局長は下記のように述…

パラオ大統領来日ー北朝鮮ミサイル対応

パラオのレメンゲサウ大統領が北朝鮮のミサイル対応のため、今週サモアで開催される太平洋諸島フォーラム総会参加をキャンセルし、来日。日本で米国と協議するとのこと。 Palau leader not attending Forum summit http://www.radionz.co.nz/international/p…

48回PIF総会サモアで開催 ー 青い太平洋

第48回PIF総会がサモアで開始されました。 テーマはブルーパシフィック、青い太平洋 このブログに順次気になった記事を記録して行きます。 Forum leaders gather in Samoa http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/338616/forum-leaders-gather…

WCPFC第13回北小委員会ー日本海?東海?

違法操業で2.5million USDの罰金が課せられた台湾漁船Yuh Fa Fishery Limited(バヌアツの旗で操業) https://www.wcpfc.int/node/18393 より マグロ資源管理を巡るWCPFC第13回北小委員会が釜山で開催され、相変わらず日本のメディアやNGOが水産庁叩きをして…

米国の遺跡保護法とメガ海洋保護区(6)イノウエ議員海洋保護区に大反対!

ハワイの水産業を見守ってきたダニエル・イノウエ議員 トランプ大統領令の海洋保護区見直し。 興味深い記事を見つけた。 Four Pacific Marine National Monuments Face Threat Under Trump Order BY CHRISTOPHER PALA – AUGUST 14, 2017 http://www.earthisl…