やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ミクロネシア大統領サミット拡大

左からナウル、パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、キリバスの首脳(ミクロネシア以外は皆台湾と外交関係がある) 第18回ミクロネシア大統領サミットがマーシャル諸島で開催されている。 今回の会議でメンバーが拡大し、ナウル、キリバスが入って5…

首相官邸から返事が来ました!

先日提出した「第8回島サミットへの提言」。首相官邸から下記の返事があった。 首相官邸HP 発信専用 ご意見等を受領し、拝見しました。 きちんと返事をくれるのだ。それだけでも嬉しい。 今までの笹川太平洋島嶼国基金として政府に提出してきた政策提言は全…

1992年PEACESAT仙台会議での笹川堯政務次官挨拶と私が書いた笹川良一名誉会長のメッセージ

笹川堯郵政政務次官(当時) 私はお話しした事もありませんが25年前、仙台会議に駆けつけていただいた事を感謝しています。 ありました!前回書いたブログで触れた 笹川堯政務次官挨拶。 笹川議員はハワイまで訪ねていたのだ。 笹川陽平運営委員長(当時)か…

日本の衛星開発を後押しした私

国際宇宙協力の一貫で進められた衛星事業パートナーズで使用されや「きく5号」(ETS-V) 昨日、衛星開発の専門家と話す機会があった。 私が日本の衛星開発を後押しした歴史を知らなかった。そう、私は歴史を語る立場となったのだ。 私が財団に入った1991年。…

愛国心とミクロネシア海上保安事業

オリンピックの年に生まれた私は、小学校や中学の先生が国旗掲揚や君が代斉唱の時に何となく奇妙な態度を取るのを不思議に思った記憶がある。国歌の練習なんかたった一人の先生しか指導してくれなかった。今思い出すとあの音楽の先生は特殊だったのかもしれ…

トンガサイクロン被害への日本の支援

石井哲也大使とJICAトンガ吉浦伸二支所長 2月16日の外務省のウェッブから。 2月12日にトンガを襲ったサイクロン被害に対する緊急援助 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005663.html 1 本16日,我が国政府は,トンガ王国におけるサイクロン…

第8回島サミットへ向けた提言

第8回島サミットが5月福島で開催される。 下記、日本・太平洋島嶼国友好議員連盟に提出した提言です。(公開できない情報もあるので原文とは多少違います。) ーーーーーーーー まずは、米国が国家安全保障戦略の中でも明確にした通り、インド太平洋の安全…

北朝鮮と太平洋島嶼国と島サミット

トランプ政権が新たに追加制裁を北朝鮮に課した。 便宜置籍船で間接的に関与している以下の国と地域。マーシャル諸島が入っている。 北朝鮮、中国、シンガポール、香港、台湾、パナマ、マーシャル諸島、タンザニア、コモロ 5月開催の島サミットでこの件を重…

豪州がPPBPを継続する事とした理由は国内造船業者組合対策

豪州がPPBPを継続する事とした理由は、王立海軍が辞めたいと言った同時に笹川平和財団が乗り出して来たことが理由、と以前書いた。 2009年の第40回太平洋諸島フォーラム総会で継続をラッドが明言した。 その後、国防省はPPBPを法執行機関に、という意向が強…

読書メモ「国際信託統治の歴史的起源」

五十嵐元道著、「国際信託統治の歴史的起源 帝国から国際組織へ」がオンラインにあったので印刷して一気に読んだ。 国際信託統治の歴史的起源(一) : 帝国から国際組織へ 五十嵐,元道 http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/38375/1/59-6…

豪州がPPBPを継続する事とした理由は中国ではなく笹川平和財団

現在ブログのアクセスが毎日2千件近くになっている。講演会、原稿、SNSでの質問。会ってお話を聞きたい、というのもある。 2016年のブログに質問をいただいた。 あまりにも自分がした事がすごいので、自分ですらウソを言っているんじゃないかと思う事がある…

ミクロネシア連邦クリスチャン大統領のせいでヤップがまだ海底通信ケーブルがつながっていない話(これから書きます)

Quite often I think Yap should join Palau, not part of FSM. The fiber optic cable arrived in Palau by boat this past August at the same time that it arrived in Yap. Palau's cable is installed. What happened in Yap? ‘Slow’ is an understatem…

豪州PPBPのその後

このブログを読んでいただいてる多くの安全保障専門家から質問をいただいている。 豪州の太平洋海洋安全保障の件だ。多分豪州の専門家より知る立場になった。豪州の外務省官僚にこの前もブリーフィングし、なんと米国の大使にまでその歴史を講義するまで詳し…

ダイヤモンドセキュリティの新たな動きーインフラ支援

日米豪印を結ぶダイヤモンド ー のセキュリティ。 「セキュリティ」は本来広い意味を持つ。 この4カ国がインフラ支援を開始するとのニュースが一昨日流れた。 中国の一帯一路への「対抗策」ではなく「代替策」であるとのこと。 日米豪印、中国対抗で「一帯…

China fills a vacuum in the South Pacific from Fiji to Australia

今月2月に出たばかり下記の記事が面白い。結構長いが読み出したら止まらなくなった。 記者のマイク・フィールドはベテランジャーナリスト。 気に留まった箇所を書き留めておく。 China fills a vacuum in the South Pacific from Fiji to Australia Michael…

Magic Weapons:ニュージーランドの中国研究

ニュージーランド、カンタベリー大学のAnne-Marie Brady教授による中国研究があらゆる意味で注目されているようだ。 まずは彼女の家や研究室が侵入されたというニュースまである。数日前のニュースだ。 University of Canterbury professor Anne-Marie Brady…

ニュージーランドの海外居住者不動産購入禁止法案

SNSでジャシンダ政権が公約に掲げていた海外居住者不動産購入禁止法案を「発令」した、とあったので調べてみた。The Overseas Investment Amendment Bill という。 だってそんなニュース最近聞いていないし、大きな法令なので騒がれないはずないのだ。 やは…

小国のパワー;地球の2%の人口が世界を動かす現実

前から気になっていた小国の数とその人口のバランス。 ウィキに一覧表があったので、試作してみたい。 ウィキデータなので、勿論正式ではないし、世銀とか探してもないので、取りあえず遊びで作ってみた。リストは国家だけでなく多くの自治領も入っている。 …

読書メモ『民族自決の意義と限界』丸山敬一著

2つ目の博論で扱いたい理論枠組みが「民族自決権」もしくは「自決権」である。 太平洋島嶼国の政治的立場を説明する時この理論、もしくはイデオロギーは必須と思いつつ一つ目の博論では何も議論できなかったからだ。 しかし、指導教官の坂元教授からは博士…

BBNJは間違った議論(殆ど言いがかり)から始まった

「国家管轄権外区域の海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用」(平成30(2018)年1月29日(月)、日本海洋法研究会(会長 坂元茂樹 同志社大学教授)主催)に関するシンポジウムを私の2つ目の博論指導教官坂元教授が司会されたので参加した。 会議はBBNJ…

中国が進出するフィリピンEEZの海底調査(追記あり)

中国の海底調査の海底調査に関する記事が2つ出回って議論を呼んでいたので紹介したい。 一つはフィリピンの EEZ内で中国による海底調査の結果、Philippine Rise(Benham Rise)に中国名を5つ命名し、これを国際水路機関が承認した、というニュースだ。 It’…

パラオ・フィリピン海上保安協力進む

2月15日パラオのレメンゲサウ大統領がフィリピンを訪問しロドリゴ・ドゥテルテ大統領と会談。海洋安全保障協力を含む両国の関係強化を協議した、とのニュースである。 Palau President pays courtesy call on President Duterte in Davao City February 16,…

インド太平洋戦略に太平洋島嶼国は必須!

南太平洋大学のサンドラ・タルテ博士の論考が発表された。 5月の島サミットへ向けた提言だ。太平洋諸島フォーラムの正式メンバーとなったニューカレドニアと仏領ポリネシアを呼べ、と。インド太平洋戦略に太平洋島嶼国を入れろ、という内容。 Putting the ‘…

南極に食指を伸ばす中国(追記あり)

中国は南極にも食指を伸ばしていたのか?知らなかった。 この件は今知ったばかりで、徐々に情報収集して行きます。日本政府はわかってるのだろうか?日本語で検索してもあまり出てこないのだ。 中国の南極政策があるのだそうだ。 http://www.chinare.gov.cn/…

海洋問題とイエロージャーナリズム

「オーストラリアの貝礁、事実上すべて消滅 海洋生態系に大危機」 http://www.afpbb.com/articles/-/3162577?pid=19824330 というタイトルは多くの人の、日本の海洋生物学の権威、白山義久博士までの注目を集めた。 私は白山博士のFacebookでこのニュースを…

THE MILITARY POSTURE AND SECURITY CHALLENGES IN THE INDO-ASIA-PACIFIC REGION memo for myself

これがハリス司令官の最後の公聴会なんだろうな。 THE MILITARY POSTURE AND SECURITY CHALLENGES IN THE INDO-ASIA-PACIFIC REGION Date: Wednesday, February 14, 2018 - 10:00am Location: 2118 Rayburn House Office Building, Washington, DC 20515 The…

STRATEGIC COMPETITION WITH CHINA - memo for myself

STRATEGIC COMPETITION WITH CHINA Date: Thursday, February 15, 2018 - 10:00am Location: 2118 Rayburn House Office Building, Washington, DC 20515 Strategic Competition with China WITNESSES Dr. Aaron Friedberg Professor of Politics and Intern…

パラオ海洋法執行能力支援の大きな一歩

2008年に開始した事業が10年後の今、大きな到達点に達した。 信じられないドラマが山程あった。 自分が今海洋法で2つ目の博論を書くきっかけにもなった事業だ。 国交省元審議官羽生次郎氏と私の歴史でもある。会長室で何度も吊るし上げを食らった。それも今…

(日本のメディアが無視する)米国のインテリジェンス:Senate Intelligence Committee Hearing on Worldwide Threats

米国の議会公聴会を聞くのはこれが2、3回目だ。 今回は3時間もあるが、CIA, FBI, NSAのトップ、そして米軍の情報担当が顔を揃える公聴会である。 テーマがすごい。 "Senate Intelligence Committee Hearing on Worldwide Threats" 2018年2月13日にワシン…

パプアニューギニアに圧力をかける中国(追記あり)

PNG accused by Taiwan of bowing to Chinese pressure 14 February 2018 https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/350423/png-accused-by-taiwan-of-bowing-to-chinese-pressure (日本語のニュースもありました) 在パプアニューギニア公館…