やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

オーストラリアーdown underの国

トニーとシンゾー 新たな日豪関係に向けて

日本と太平洋島嶼国の関係は、即ち日豪関係なり。 アボット首相の来日はその意味でも興味あるものだった。 ”シンゾー” ”トニー”、と呼び合う二人の首相の姿は観ているこちらが恥ずかしくなるほど。 メディアをにぎわす牛と鯨の背景で、防衛、安全保障に関す…

アボット政権 ー トヨタの次はドローン?

4月7日来日予定のトニー・アボット、オーストラリア首相の動向を調べていたら興味深い記事が見つかった。 南オーストラリアの選挙を目の前にし、アボット首相が米国からドローンの購入を決定した事を発表。南オーストラリアに対しドローンの管理運営のため…

ラッドってこんな奴だったとは知らなかった件

豪州の元首相ケビン・ラッド氏。 親中派として有名。日本の2000年の友人である中国と太平洋の新参者でもある(アボリジニーは5万年の歴史がありますが。)豪州が仲良くなる事は良い事である、位に思っていた。 1988年太平洋島嶼国の首脳を中国に紹介し…

安倍首相の太平洋訪問に向けて (3) ゲダイ メイト!

2008年に私が立ち上げたミクロネシア海上保安事業。 我々のイニシアチブを歓迎する米国とは対照的に強いリザベーションを示したのがオーストラリア。 在ミクロネシアの豪州大使からは 「日本がミクロネシアの海洋安全保障ですって! 日本語をミクロネシアの…

France: Australia’s regional partner? ー 豪州の太平洋海洋安全保障の視点

オーストラリア戦略政策研究所副所長ベルギン博士は、豪州の海洋安全保障政策、特に太平洋における政策への影響が大きい。 その博士が数日前に豪仏の海洋安全保障における協力強化について記事を出していた。 France: Australia’s regional partner? http://…

国際司法裁判所(ICJ)「南極における捕鯨」訴訟

豪州との捕鯨問題。太平洋の海洋管理と直接関係はないが、間接的には関係がある。 日本が北太平洋のミクロネシアに出てくるのもいやなのだ。それが南太平洋に出て来たら。さらに自分たちが主張する南極大陸のEEZまで来たら。。。 昨年7月、国際司法裁判所(…

1914 その2 『第一次世界大戦と日本海軍ー外交と軍事との連接』平間洋一著

オーストラリア・ニュージーランドをドイツ軍から守った日本艦船 上が「矢矧」下が「伊吹」 日本がミクロネシア地域を統治する起因となった第一次世界大戦。 あまり知らないし、知られていない。 『第一次世界大戦と日本海軍 ー 外交と軍事との連接』平間洋…

G’day, mate! Again.

During my recent visit in Japan, I was told by a few Japanese leaders that Australia has started to make an energetic approach to Japan. I collected our PM and Aust. PM's photos. Photos tell us something, in sometimes. I never seen such am…

やっぱり気になるPPBP

2008年5月、笹川平和財団がミクロネシアの海洋安全保障をやろうと決めたのは、偶然にも冷戦後太平洋の海洋安全保障をPPBP(Pacific Patrol Boat Program)で一人守ってきた豪州王立海軍が、「もうやってられまへん」と宣言したのと同時だった。 このあまりの…

豪州の気になるニュース AusAIDの消滅

豪州の新政権の動きの中で、気になっていたのがAusAID ー日本のJICAに相当する機関の外務省への統合である。 AusAIDと言えばこの数年、2倍の予算増加を推進し、国防省も羨む存在だった。 安全保障研究者のアンソニー・ベルギン博士などは国防省予算であった…

元の木阿弥 PPBP

元の木阿弥* PPBP 今回のパラオ出張では、米豪の太平洋への動きを始め多くの貴重な情報を得ることができた。 その中で、豪州のPacific Patrol Boat Programの最新情報を豪州国防省からヒアリングでき、この情報はオープンであるとの確認が取れたのでこのブ…

オーストラリア防衛白書2013

オーストラリア国防白書が2013年5月3日に発表された。 2009年に続き、2014年発表の予定が1年前倒しで策定された形である。 以前、エアパワーの項で触れたが、アフガンから2014年末までに撤退し、太平洋とインド洋で新たな展開をする、と言っ…

The future of the Australia-US alliance

10月31日にキャンベラで開催された米豪同盟に関するセミナー。 主催はASPI - Australia Strategic Policy Institute 日米豪の協力、と唱うのであれば米豪の動きはウォッチすべし。 今日からパネッタ長官は西オーストラリアのパース訪問。 ところでこのパ…

青の革命 ー 豪州新外相が進める外交政策

青の革命 ー 豪州新外相が進める外交政策 豪州新外相ボブ•カーへの期待は大きいようだ。 4月11日付のThe Australianに”Taking the helm on high seas”というオピニオンが出た。執筆者は今回の出張の面談者でもあるDr Anthony BerginとDr Sam Batemanだ。 ラ…

豪州新外相誕生 ー Bob Carr

Kevin Rudd外相の党首選敗退の後、新たな外相にBob Carr氏が誕生した。 1995年~2005年 NSW州首相を10年勤めたベテラン政治家である。 今まで軍事政権のフィジーに強硬姿勢を示して来たラッド外相路線の変更が期待されている。 OPINION - Financial Review C…

4年掛りの豪州太平洋島嶼戦略

2008年6月。ちょうど日本財団と笹川平和財団が進めるミクロネシア海上保安事業が立ち上がった時期と同時に、豪州上院議員外交委員会が”inquire into the major economic and security challenges facing Papua New Guinea and the island states of the sou…

豪州が進める小型警備艇の供与

日本財団がミクロネシア3国に小型の警備艇を供与する事となったが、先に豪州も同様の支援をしていた。 2006年にソロモン諸島に、2010年にはバヌアツに供与。 また、2002年あたりから太平洋越境犯罪コーディネーションセンター Pacific Transnational Crime …

オオツゴモリの鯨

オオツゴモリの鯨 大晦日はイギリスの父親が亡くなられた友人の帰国の手伝いをしていた。 何かの拍子にニュージーランドで製作された"Whale Rider"という映画の話になった。 (私)「あれはプロパガンダよ。ニュージーランドもオーストラリアも所有権が未定…

単細胞より単純なダウンアンダー

単細胞より単純なダウンアンダー アメリカ人を「単細胞」と呼んだのは小沢一郎議員だが、その「単細胞」の米国人が一様に「単細胞」と評価するのがオーストラリア人である。 もとよりこの小沢氏の発言は、同氏の講演の中での言葉。そこだけ切り取られ誤解さ…

王立豪州海軍は美人に弱い

(これを書いたのは2009年です) Daily Telegraph いよいよ王立豪州海軍に乗り込むことになりそうだ。 まさか、軍隊と仕事をすると思っていなかったので情報収集もあまりしていない。 まずは相手の弱点を探すことが重要である。 昨年新聞記事をにぎわしてい…

ニュージーランド防衛白書

2010年11月2日、13年ぶりにニュージーランドの防衛白書が発表された。 クリントン長官がNZを訪ね、防衛を含む二国間の協力関係の強化を明示した「ウェンリントン宣言」に署名したのが11月4日。発表から2日後だ。 yashinominews.hatenablog.com ニュージ…

ウェリントン宣言 ー 世界一平和でクリーンな国の選択

2010年11月4日、ニュージーランドの首都ウェリントンを訪問したクリントン国務長官は、米国とNZの協力枠組み『ウェリントン宣言』を発表。 その内容は、 1.太平洋の問題について協力して対処すること。 2.大臣レベルの定期会合を開催する。 3.政治的軍事…

Asia Pacific Civil-Military Centre of Excellence

<人助け集団か人殺し集団か?> 防衛大学入学希望者の入学理由で圧倒的に多いのが「人を助ける仕事がしたい」ということだそうである。同大学福嶋輝彦教授から伺った話だ。 確かに自然災害や国際的平和構築分野での自衛隊の役割は、議論もあるが、目覚まし…

環インド洋連合7カ国は荒野の7人か? - オーストラリアのインド洋政策 (2)

環インド洋連合7カ国は荒野の7人か? - オーストラリアのインド洋政策 (2) 前回のブログに早速コメントを”メール”でいただきました。 大変面白いので私一人で独占するのはもったいなく、掲載させていただきます。 但しご本人の了解をまだ確認していないの…

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策

陽は太平洋から昇りインド洋に沈む - オーストラリアのインド洋政策 桜に浮かれて、完璧に見逃していた。防衛大学の福嶋先生から、Anthony BerginとBatemanがインド洋を巡る海洋政策の報告書を出した、とこの前お会いした時に伺った。 31 MARCH 2010 "Our we…

「百聞は一見に如かず」ならぬ「百読は一見に如かず」

先に御紹介したオーストラリア関連の論文3本を執筆された防衛大学の福嶋教授と夕食をごいっしょする機会をいただいた。 「百聞は一見に如かず」ならぬ「百読は一見に如かず」。 3論文についてアレコレお話を伺い、防衛省関連の話し(ウグイス嬢作戦とかそ…

オーストラリアを知る2つの福嶋論文

2010年5月2日のブログで御紹介させていただいた防衛大学の福嶋輝彦教授が2009年に2つのペーパーを発表された。 「日本外交における対オーストラリア関係の意味」 (櫻川明功他『日本外交と国際関係』内外出版、2009) ”Region is Thicker Than Blood?: Th…

オーストラリアのコーストガードとMateship

オーストラリアのコーストガードとMateship ウェッブで調べた範囲ではオーストラリアには確かにボランティアのコーストガードしかないようである。1937年に設立されたRoyal Volunteer Coastal Patrolと1961年設立のAustralian Volunteer Coast Guardだ。 前…

オーストラリアの沿岸警備

「オーストラリアの沿岸警備」 人口一人当たりのEEZを東京ドームで測ると 半分強―日本 10個分―オーストラリア 20個分―ニュージーランド 580個分―ミクロネシア連邦 650個分―パラオ共和国 720個分―キリバス 760個分―マーシャル諸島 全世界のリストを作ると面白…

ミドルパワーの国

ミドルパワーの国 日本のJICAに当たるオーストラリアの援助機関AusAIDのトップ、即ち緒方理事長に当たるPeter Baxter氏が近々来日する、という。在京オーストラリア大使館から、太平洋島嶼国支援に力を入れている笹川太平洋島嶼国基金に面談の打診があった。…