やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

違法操業監視、マーシャル・ミクロネシア初の連携プレイ

(2009年2月に書いたものです) <違法操業監視、マーシャル・ミクロネシア初の連携プレイ> Marianas Variety, Feb. 5, 2009 (ニュースの要点) 今月初め、マーシャル諸島沖で違法操業をしている台湾と日本漁船をマーシャル諸島のSea Patrolが追跡。捕り逃…

ブッシュ政権が、世界最大の海洋保護地域制定

(2009,1に書いたものです。) さて、新年から世界一のニュースです。 ブッシュ政権が、北マリアナ諸島のマリアナ海溝から米領サモアのローズ環礁にかけた、500,000 square miles を越える海域を海洋保護地域にする、とのニュースがありました。 2008年にキリ…

笹川太平洋島嶼国基金とUSCGとの間接的協力関係

(2009.2 執筆) 笹川太平洋島嶼国基金とUSCGとの間接的協力関係 島嶼国基金は第2次ガイドライン(1999~2008)に沿って、ミクロネシア重視、遠隔教育重点の事業を行ってきました。その中の一つの事業がグアム大学が実施する、「西太平洋における遠隔教育…

森喜朗議員パラオ訪問

(2009年1月に書いた文章です) 森喜朗議員パラオ訪問 1月15日、トリビオン・パラオ新大統領就任式典出席のため、森喜朗特派大使(元総理)がパラオを訪問。9月のミクロネシア連邦国訪問に続く太平洋島嶼国への出張だ。 森議員は2000年の第2回島サミット(於宮…

自由連合協定について

(2009.2.25に書いたものです。) 自由連合協定について 2008年11月に開催されたミクロネシア大統領サミット開会式で、ミクロネシア連邦のモリ大統領が「米国は我々を主権国家としてではなく、未だ信託統治地域として扱っている。我々が自ら判断する能力がな…

PEACESAT ― 太平洋をめぐる日米協力の一片

(2009.2に書いた文章です。) 「ケネディの希望、ダニエルイノウエ議員の宿望、笹川太平洋島嶼国基金の大望」 PEACESAT ― 太平洋をめぐる日米協力の一片 笹川太平洋島嶼国基金の助成事業が間接的にUS. Coast Guardの活動に寄与していることを以前ご報告しま…

ミドルパワーの国

ミドルパワーの国 日本のJICAに当たるオーストラリアの援助機関AusAIDのトップ、即ち緒方理事長に当たるPeter Baxter氏が近々来日する、という。在京オーストラリア大使館から、太平洋島嶼国支援に力を入れている笹川太平洋島嶼国基金に面談の打診があった。…

マリアナ海溝の海底火山調査開始

(2009年3月に書いたものです) マリアナ海溝の海底火山調査開始 マリアナバラエティ 2009年3月12日 マリアナ海溝海洋国定公園にある21の海底火山の調査が開始される。(以前お伝えした、ブッシュの駆け込み法案、「世界最大の海洋保護地区」の一つです。) …

ナウル協定

1982年太平洋島嶼地域の域内漁獲量の多い8カ国が調印した地域協定。 (ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、ツバル、ソロモン諸島、パプアニューギニア:PNA=Parties of the Nauru Agreement) 第1次履行措置では漁船登録制度の…

フィジー情勢と展望

(2009.5に書いた文章です。) フィジー情勢と展望 4月10日、フィジーのイロイロ大統領が憲法を廃止したニュースは日本でも流れたようで、どうなっているのか?というメールもいただきました。力量不足ですが、最近の関連記事を参考に下記にまとめさせていた…

「太平洋共同体」

(2009.6に書いたものです。) 「太平洋共同体」 1.「太平洋環境共同体」とは何か? この5月に開催された「第5回太平洋島サミット」に先駆け麻生総理が「太平洋環境共同体」構想を提案した。咄嗟に昨年5月に産経『正論』に発表された笹川会長の「太平洋…

トンガの大陸棚から金銀銅鉛が確認

(2009. 6月の記事です。) トンガの大陸棚から金銀銅鉛が確認 2009年5月30日から開始されたトンガ大陸棚の海底鉱物資源調査で金銀銅鉛が確認された。4月下旬から5月18日までに実施されたフェーズ1に続く2回目の調査である。 調査はカナダに本部を置く、…

米国政府が「珊瑚礁の三角地帯」支援に向け6百万米ドルを拠出

(2009.3.14に書いた文章です) <米国政府が「珊瑚礁の三角地帯」支援に向け6百万米ドルを拠出> ソロモンスター 2009年3月11日 パプアニューギニアで開催されている「珊瑚礁の三角地帯イニシアチブ」大臣・高官会議において、米国大使が同活動に対し新たに…

桜と呪術

桜と呪術 羽生会長から新しく立ち上げる研究会の事務局をやるようにご指示をいただいた。しかしすぐ後に財団から補佐業務でよい、との連絡。急に肩の荷が下りたので花見の計画を立てていたところに、また羽生会長から招集がかかり、やはり事務局をやるように…

太平洋のNGOと核問題

(2008年8月に書いたものです。) 第6回太平洋NGO連絡協議会総会が2008年8月10―11日ニュージーランドのオークランドで開催された。今年5月に訪問したマーシャル諸島のNGO関係者から是非参加するように、との連絡を受けていたが、ちょうど東京出張が入っ…

笹川太平洋島嶼国基金クロニクル 「基金の20年」

(2008年に作成した文書です。) 笹川太平洋島嶼国基金 クロニクル 「基金の20年」 1987年、戦後はじめての日本の対太平洋島嶼地域政策「倉成ドクトリン」が発表された。翌年、笹川平和財団は倉成氏を議長に迎え、10カ国の太平洋島嶼国首脳を一堂に会した会…

唯一の被爆国とラロトンガ条約

唯一の被爆国とラロトンガ条約 鳩山首相も笹川陽平会長も渡辺昭夫先生までも「唯一の被爆国」と言っているので、それは核実験を含まないという前提の認識があるのかもしれない。 太平洋と言えばビキニ、ムルロアの核実験である。戦後、英仏米が太平洋で実施…

プリンセス あしか号 沈没調査委員会報告書(その2)

プリンセス あしか号 沈没調査委員会報告書(その2) 600頁に及ぶ報告は74名の犠牲者が事故ではなく、殺されたのではないかと疑ってしまうようなスキャンダラスな内容でした。飛ばし飛ばし読んだため正確性に自信がありませんが下記が主な内容です。 * 今…

斬首刑台のルイ16世とミクロ、メラ、ポリネシアの地域区分

<斬首刑台のルイ16世とミクロ、メラ、ポリネシアの地域区分> 「ラ・ペルーズは見つかったか?」 斬首刑台に向かうルイ16世の最後の言葉、と噂される一つが、この台詞だ。 ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアの名称は一般的になったがその背景について…

『日本の島々、昔と今』

『日本の島々、昔と今』 私が再興した笹川太平洋島嶼国基金は日本の島にも注目して来た。 「島で島を語る」「島と島を結ぶ」といった事業を展開。 全くの独学だが、日本の離島問題も勉強する機会をいただいた。 笹森儀助、柳田国男、宮本常一。それに岡本太…

トンガ アシカ号沈没調査委員会報告書公表

トンガ アシカ号沈没調査委員会報告書公表される。 昨年8月、74名(日本人1名含む)の死者を出したトンガのアシカ号の調査委員会が最終報告書を3月31日国王に提出。 事故が起きた主な原因は ・トンガの外洋向けに適さない構造の船を購入した。 ・運航に適…

フィジーの複雑な権力抗争

以前、フィジーの複雑な権力抗争をご報告しようと試みましたが、この7月バヌアツにあるシンクタンクから"Lending Fiji a hand: The need for international engagement and a national dialogue"というタイトルの4頁のペーパーが発表されましたのでご案内し…

米国コーストガードのAdmiral Allen

先週ミクロネシア連邦を公式訪問した、米国コーストガードのAdmiral Allenが自身のブログに、笹川平和財団との協力を述べていたことをご報告しました。 ミクロネシア連邦政府のプレスリリースにも同様の内容が記載されていましたので、内容が重なりますがご…

第3回フランス・オセアニアサミット開催される。

第3回フランス・オセアニアサミット開催される。 2009年7月31日、太平洋フランス海外領のニューカレドニアで第3回フランスオセアニアサミットが開催された。第1回は2000年タヒチで、第2回は2003年フランスで開催。前2回のサミットには大統領が参加したが…

「虹の戦士号」と太平洋の中のフランス

「虹の戦士号」と太平洋の中のフランス 2009年7月31日、第3回フランスーオセアニア・サミットが開催された。 2003年から開催された同サミットの背景を整理したい。* 1.太平洋の中のフランス 太平洋には広大な海域を有する仏領が存在する。 仏領ポリネシ…

第40回太平洋諸島フォーラム(PIF)年次総会議事録より

第40回太平洋諸島フォーラム(PIF)年次総会議事録より 2009年8月5―6日、オーストラリアのケアンズで第40回フォーラム年次総会が開催された。本日同総会議事録が発表されたので下記に概略を報告します。 今後1年は豪のラッド首相が議長国としてPIFの活動を…

バリハイの島 ー バヌアツ

7月初旬、バヌアツ出張を実施させていただきました。タイのタクシンや、フィジーのバイニマラマのバヌアツ入りと同じ時期で、ローカル新聞を読むだけでも面白かったのですが、西パプア独立運動家、銀行役員・国会議員に出世した友人・知人らからも、多くの…