やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ペリリュー神社

パラオのペリリューに立派な神社がある。 実はパラオの方達から良くない噂を聞いていて、あまり近付かないようにしていた。しかし日本財団のパラオ支援が本格化し、同財団広報の宮崎正さん(元共同東京支社長)がこのペリリュー神社の事を記事に書いた。宮崎…

安倍総理国連総会演説で再びオーストロネシア語族のインド太平洋拡散を語る

第73回国連総会の安倍総理演説。前のブログでテリトリアリストと批判したが,それ以上に思考が止まってしまったのが第8回島サミットでも述べられたオーストロネシア語族のインド太平洋拡散が語られたいた事だ。 勿論、嬉しいとかそういうことを超えた衝撃で…

読書メモ「戦前戦中の欧米諸国及び日本における地政学の動向」

ハウスホーファーを調べる時に柴田陽一さんという若手研究者が地政学の博論、書籍を出している事と知った。下記は講演記録。興味深いところだけメモした。 柴田陽一 『グローバリゼーション下の国土計画を考える --東アジ アとの交流の深化を踏まえて (調査…

安倍総理とテイラー事務局長はテリトリアリストか?

Jursidictional right 管轄権 海洋法を理解するのに山本草二先生の管轄権の議論は必須であることを坂元教授から伺って今年の初旬はこの管轄権に関する議論を読み、なんとくなわかってきた。 そうすると今までEEZ が沿岸に繋がる領域を囲い込む印象だったのが…

パラオ政府中国の海洋調査を許可する

このニュース、中国が許可なくパラオのEEZで調査とあるが、重要なのはパラオ政府がすでに他の中国の調査船に許可を出していることだ。赤字の部分。米国政府は、日本政府は把握しているのか?パラオは九州・パラオ海嶺で日本と繋がっている。中国の調査船をパ…

読書メモ『日本の刺青と英国王室』小山騰著

英国王室関連書籍2冊目は『日本の刺青と英国王室』小山騰著。著者の小山騰氏は2015年までケンブリッジ大学図書館日本部長。他にも面白そうな本をたくさん書いていらっしゃいます。 『 破天荒明治留学生列伝』(講談社 1999) 『国際結婚第一号―明治人たちの…

読書メモ『チャールズ皇太子の地球環境戦』君塚直隆 著

英国王室関連の2冊を続けて読みました。結構面白かったです。 一冊目は『チャールズ皇太子の地球環境戦』(君塚直隆著、2013、勁草書房) 驚愕だったのが 1チャールズ皇太子は海軍退役後、仕事がなかったので財団を作った。2ダイアナ王妃の件で世間の評判…

パラオで過激テロリストが養成される

このブログでは、太平洋島嶼国の「闇」の部分をかなり書いて来た。 さすがにテロとは太平洋島嶼国は無縁であろう、と思っていたがあのパラオでイスラム過激テロリストが養成され、インドで逮捕されたというニュースである。 インド人のQamar-uz-Zamaは2008年…

パラオの海洋保護と汚職と中国と

パラオの畏友、サンティ・アサヌマさんが多分命がけでパラオ政治家の汚職と中国の進出と戦っている。私にできるのは彼の意見を紹介することくらいだ。 2つの彼のコメントと彼を支持する1つのニュースをまとめたい。 一つ目は8月28日に発表されたオピニオン…

七人の侍ならぬ七つのADB事務所 ー 安倍政権島サミット評価

安倍政権の第8回島サミット、端っこの方で関わらせていただいた当方としてはどんどん成果が出てきてこんなに嬉しいことはない! 昨日見つけたADB関連のニュース。 ADB ramps up Pacific presence as aid donors jostle for influence 7つの太平洋島しょ国…

日本北マリアナ諸島協会設立

New group aims to strengthen NMI-Japan ties 10 Jul 2018 http://www.mvariety.com/cnmi/cnmi-news/local/105847-new-group-aims-to-strengthen-nmi-japan-ties Courtecy of Mr Junhan B. Todiño Norman T. Tenorio, seated, second right, with the other…

『ドイツ植民地研究』栗原久定著 (読書メモ)6・7章

6・7章は太平洋諸島と膠州湾。 太平洋諸島は知っている地域なだけな疑問に思う箇所が多かった。引用資料が示されていないので確認できないが、特に価値判断の箇所は誰かの見解なのか、著者の理解・見解なのかが示されると良いと思った。 具体的にはヤップの…

SAR 条約(自分のためのメモ)

1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約 http://www.houko.com/00/05/S60/005.HTM International Convention on Maritime Search and Rescue https://treaties.un.org/Pages/showDetails.aspx?objid=08000002800d43b3 平成11年版海上保安白書 第…

堀井巌外務大臣政務官(総理特使)の太平洋諸島フォーラム(PIF)域外国対話出席

北海道で地震にあった日に見つけた堀井巌外務大臣政務官(総理特使)の太平洋諸島フォーラム(PIF)でのスピーチである。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000395564.pdf https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000395565.pdf (英文) 特に下記の部分だ。…

初めての札幌ー台風・地震・中国人そして国際法学会と北大文書館(4)

初めての札幌。主要目的の国際法学会と北大文書館の記憶がなくなってしまいそうなほど大きな経験が今回の地震だ。 学会の後に北大文書館を訪ねる予定で、初めての札幌は1週間の滞在となった。そこでゲストハウス、という安宿を取った。ホテルではないので、…

初めての札幌ー台風・地震・中国人そして国際法学会と北大文書館(3)

初めての札幌。目的は国際法学会の参加と北大文書館だった。 しかし台風と地震でその主要目的の記憶が薄れてしまいそうなのでメモしておきたい。 国際法学会は東北大学の西本博士の発表がメインの目的であったが、他の発表も興味深かった。特に外務省の中堅…

初めての札幌ー台風・地震・中国人そして国際法学会と北大文書館(2)

大統領の私的人事としてパラオ国内で閣僚その他大勢から批判されてるパラオ政府代表。今回BBNJでファシリテーター役。 国際法学会でBBNJの日本政府アドバイザーを務める西本健太郎博士の発表があることを知って参加することを決めた。 BBNJ -国家管轄権外区…

「大日本(上巻)」ハウスホーファー 1913

ハウスホーファーの「大日本 (上巻)」(1913)。ヒトラーに影響を与えた本。 Dai Nihon - Betrachtungen über Groß-Japans Wehrkraft, Weltstellung und Zukunf (大日本の防衛力・世界的地位・将来) 1908−1909年、日本(京都泉涌寺近辺)滞在で書いた報…

再読 駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』(追記修正あり)

頭山関連の書籍を3冊読んで駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』を再読した。以前より面白く読めたし、少しわかるような「気」がした。 以下、当方の理解と想像。(追記修正しました) 右翼に分類される黒龍社は、玄洋社は、ロシアの、ひいては欧…

無鄰菴貸切読書の一日

京都に山縣有朋が造園家・小川治兵衛に作らせた日本庭園がある。山縣が別荘にした家屋もあり、1903年4月21日、山縣有朋、伊藤博文、桂太郎、小村寿太郎が日露開戦を決定した洋館もある。 明治の歴史と東山を借景にした美しい庭。 この日本家屋の2階を丸一日…

『国家の崩壊』ロバート・クーパー(2009、日本経済新聞社)

EHカーの『ナショナリズの発展』を再度図書館に借りに行ったら隣にあった本である。10年ほど前に一度読んだ。著者は英国外交官でピアニストの内田光子さんのパートナーなんだよ、と知人が紹介してくれたのだった。内容は覚えていない。 序文の次に「日本語版…

パラオの中国人観光客は増えている!

グラフのタイトルを入れ忘れましたが、8月のデータが来たので速攻でグラフに。 今回は台湾も入れました。 中国人観光客、先月より増えています。あれだけ世界を騒がしたのに、、 昨年の同じ月と比べると約半分ですが。。 日本は横ばい。直行便がなくなったの…

海洋法条約の誕生と苦々しいパルド演説

1964年英国から独立したばかりのマルタ。その小島嶼国の大使が国連総会で4時間にわたる大演説を3年後の1967年11月1日した。 パルド演説 ー これが海洋法の流れを大きく変えたのだ。 この演説の記録を読んだ。感想は「???」なのだ。なんでこんな演説に世界…

『ドイツ植民地研究』栗原久定著 (読書メモ)4・5章

栗原久定著 『ドイツ植民地研究』の4、5章はカメルーン、東アフリカが紹介されている。 カール・ハウスホーファーを読むと彼が、ドイツ国民が第一次世界大戦で植民地を失った恨みがどれほど大きいがわかるのだ。その恨みがヒトラーを、ナチスを誕生させた…

『ドイツ植民地研究』栗原久定著 (読書メモ)

『ドイツ植民地研究』栗原久定著 日本が太平洋に関心を持った背景の一つに第一次世界大戦で、ドイツ領であった太平洋の赤道以北の領土を獲得したことがある。また日本とドイツは明治以降法学、医学、国家学などあらゆる分野で影響を受けただけでなく、長年に…

初めての札幌ー台風・地震・中国人そして国際法学会と北大文書館

昨日地震のあった北海道、札幌から新日本海フェリーの最後の一部屋を奇跡的に確保でき、京都に戻ることができた。 初めての札幌だった。北海道は知床や寿都など地方へのドライブ旅行しかしたことがない。 第一の目的は国際法学会への参加だ。指導教官の坂元…

『日本占領と「敗戦革命」の危機』江崎道朗著ー6章から10章「昭和天皇の反撃」

江崎先生の新刊『日本占領と「敗戦革命」の危機』一章ずつ読んでメモを書いてきた。残りの6章から10章、旅先の舞鶴で読んだ。北海道行きのフェリーは夜中発なのだ。時間はたっぷりあった。 読み進めるうちに、ここ舞鶴でこの本を読んでいる奇遇に驚いた。 …