やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本数寄

祝言 四海波

明けましておめでとうございます。 年末はあまりゆっくりできなかったので初詣の帰りに観世会館で催された「謡初式」に行った。 演目は以下の通り。 素謡 神歌 舞囃子 高砂 仕舞 鶴亀 仕舞 草子洗小町 仕舞 国栖 舞囃子 羽衣 狂言小舞 土車 舞囃子 猩々 祝言…

京都会館

京都会館 京都会館の改修工事で地元が揺れているのを知人の建築家ご夫妻から伺っていた。 テレビドラマ『拝啓、父上様』で有名になった大江戸神楽坂。ここも高層ビル建築に対する地元の反対運動が今でも展開されている。 経済開発と文化。センの議論と無関係…

椿姫の”カメリア”とカメルさんの”カメリア”

町中、石南花に並んで椿が咲き乱れている。 家の小さな椿も小さな花をつけた。 "つばき" と聞けばピンと張った冬の庭に一人咲く花を。 "カメリア" と聞けばヴェルディの歌劇がイメージされる。 ところでこの「カメリア」、 チェコ生まれのイエズス会の神父様…

4'33" ーケージもジョブスも荘子だった。

4'33" ーケージもジョブスも荘子だった。 あるパーティでの会話。 「音楽大学を出ました。」 「楽器は何を?」 「ピアノです。」 「ホー,何を弾くのですか?」 「ジョン・ケージの4'33"が得意です。」 ここで反応が3つに分かれる。 反応その1 「ワーハッ…

万物斉同 絶対無差別

今日の笹川会長のブログを拝読。笹川会長でも批判を受けるのである。 こうやってお天道様の下で仕事をさせていただくと日々、誹謗中傷、名誉毀損、魔女裁判、余計なおせっかいをいただく。 いい気になるな、胡麻をするな、仕事をするな、職場を変えろ、とマ…

岩手県陸前高田市の地酒「酔仙」

南極近くの町で日本酒は余手に入らない。 スーパーマーケットのアジアフードコーナーに「料理用酒」がある程度。 ところが週末覗いたリカーショップで月桂冠の横に「岩手の地酒」が並んでいた。 これは何があっても買わなきゃならない。地元のワインが5本買…

祇園祭と死の商人

祇園祭と死の商人 今年の京都祇園祭は三連休が重なった事もあり、人出がいつもより多かったらしい。 28万人とか45万人とか。。 暑さも一入。 昨年、祇園祭の由来やらを少しまとめた。そして祇園祭の前座とも言える山鉾巡行が「動く美術館」とも称されるよう…

京にても京なつかしやほととぎす

京にても京なつかしやほととぎす 芭蕉 春はあけぼの やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて 清少納言 此春は 花にまさりし君待ちて 青柳の糸、みだれ候 隆達小歌 時鳥そのかみやまの旅枕ほの語らひし空ぞ忘れぬ 式子内親王 「いろいろ行けていいです…

慢心 ー 初心・野心

先生と 呼ぶ人もまた 誰がそれ 時々、あの方は偉いのよ、と言われる事があるが、言う方にも言われる方にも疑問を感じる。 人の評価は難しい。見るポジションによって黒にも白にもなる。 大家と呼ばれる人が書けなかった原稿を書かなきゃいけない。 初心と野…

慢心 ー 信心

慢心によって 鬼となり 信心によって 人となる

得て失うもの

まるで宇宙にいるような錯覚におそわれた。 2010年の12月、京都。 東山から昇った月齢14夜の輝く月には、兎が餅をつく姿は見えず、クレーターがはっきり見える程、迫ってきた。 地球にうっすらかかる大気がレンズの役目をして、東西の空に掛かる太陽や月を大…

『日本の配色』

『日本の配色』 ピエ ブックス発行 2009年 上野の東京国立博物館の地下に売店がある。 そこに平積みで置いてあった。 あまりにも美しい本だったので、値段も気にせず購入してしまった。 中に、京都市立芸術大学の佐野敬彦名誉教授が書かれた「日本人の色彩感…

神道と仏教

神道と仏教 客人「(八坂神社を指し)あれは神道か?仏教か?」 私「神道である。明治維新前は仏教もいっしょだった。祇園院と言って、町に名前が残っている。」 客人「神道は偶像崇拝はあるか?」 私「ない。神社の奥へ行く程、シンプルになっていると本で…

祝言 四海波

祝言 四海波 四海波静かにて、国も治まる時つ風、 枝を鳴らさぬ御代なれや、 逢ひに相生の、松こそめでたかりけれ、 げにや仰ぎても、ことも愚やかゝる世に、 住める民とて豊なる、 君の恵ぞ有難き、君の恵ぞ有難き、 元旦から海の祝言。 『高砂』の一節。

知恩院の試し突き

知恩院の試し突き 子供がいると、できなくなったことも多い。 キムチやコチジャン入りの辛い料理が食べられなくなったし、夜遊びもできない。 年末行事、除夜の鐘もその一つだ。 京都で日米豪の民間交流活動をしている。 なんてことはない、米豪からの友人を…

東山の蒼龍

十代、二十代までは、嵐山・嵯峨が好きだった。 人工的で整然としている東山より、野趣が強い嵐山だった。 それが三十を超えた頃、急に東山が好きになった。 多分、石塀小路に迷い込んだのがきっかけだと思う。 ==== 西の山の、真っ赤に焼けたお日様が東…

下級武士の天上がり、天下り

「下級武士の天上がり、天下り」 南半球は初夏である。 南極にも近く、日本の小樽と同緯度の町は、短い夏を思いっきりエンジョイしようと、週末はバーベキューパーティがハシゴとなる。 大学町なのでアカデミックが多い。 話もアカデミック、というかバカ話…

3千本の石南花

3千本の石南花 近くのボタニカルガーデンには3千本の石南花が咲いている。 南半球は今春爛漫。 この時期、何故か出張などがあり、3千本の石南花を堪能する機会をここ数年失った。 石南花、と言えば昔母が、一株何万円もする小さなのを買ってきて大事に育…

白川の藻と生物多様性条約会議

6月には数千の蛍が飛び交っていた、京都の白川が緑色に染まっている。 川藻が生えたのだ。縄のれんのような長い長い、緑の藻。 青鷺が一羽、置物のようにじっと川の流れにたたずむ。 獲物の魚を狙っている。 青鷺が魚を捕るのを目撃すると美しい、というよ…

嵯峨とベトナムを結ぶ - 角倉了以

嵯峨とベトナムを結ぶ - 角倉了以 京都の町に高瀬川や白川がなかったらどんなにつまらない景色だろう、と思う。 豊臣から徳川への動乱の時、京都嵯峨に角倉了以なる人物がいた。 祖父は企業家、父は医者という家系。 朱印船によるベトナムとの貿易で巨万の富…

京都、三大奇祭

神社やお寺が多いから当たり前かもしれないが、京都は一年中お祭りがある。 10月、ちょっとウェッブで拾っただけでもこの通り。 中でも三大奇祭の広隆寺の牛祭、由岐神社の鞍馬の火祭りが執り行われる。 *** 1~5日 北野天満宮 瑞饋祭 ズイキなど約30種類…

祇園祭 ―民俗“楽“的考察

2010年7月、京都三大祭りの一つ、祇園祭りを初めて鑑賞させていただいた。 テレビによく出る山鉾は宵祭りの、即ち前座であることも初めて知った。 通行止めされた大通りには日本中の屋台が集まったような賑わいで、歩けないほどの人、人、人。京都の人はあま…

萩ーハギーアキー秋

萩ーハギーアキー秋 外国にいると日本の草木が懐かしく、小さい庭に藤、山吹、椿、つつじ、桜、南天などを植えている。 萩が大好きなので、植木屋で探すのだがどうしても見つからない。 英語ではJapanese Bush Clover。 西洋人には萩の良さがわからないんだ…

日本数寄

日本数寄 2010年3月8日に始めたこのブログも130回になった。 早くカテゴリー分けをしようと思っているが、一つの話に海洋、安全保障、ミクロネシア、オーストラリア等々と多くのキーワードが絡み、どうカテゴライズしていいのかまだ迷っている。 太平洋の島…

神楽坂のほおずき市と阿波踊り

神楽坂のほおずき市と阿波踊り 牛込神楽坂あたりは、あしたっから四日間(7月21日-24日)、ほおずき市と阿波踊りで大騒ぎでい。 倉本聰のテレビドラマ『拝啓 父上様』にあったけどよう、高層ビルが次から次へと。でもな、昔の面影もまだ残ってらあ。 細い路…

葵祭

5月15日、葵祭を初めて見た。 かんざしに葵があるのか、あれば本物か造花か確かめたかったからである。 本物であった。 御所を出立し、下鴨神社にお昼、午後3時過ぎに上賀茂神社という行程である。 5月でも夏のような日差しだったので、昼間は家に戻って…

日本武術-ソフトパワー

20年前、キリバスに1週間滞在したことを懐かしく思い出した。オシンタイホテルもなく、峰岸邸にやっかいになった。水が一日に3回しか使えず、風呂もトイレも環礁で済まし、水の有り難さを教わった。(潮の流れを良く観察することが肝心) さて、キリバスの…

オホーツク街道

オホーツク街道 新しく立ち上げる研究会のサブスタンスの調整をしてほしい、と羽生会長から御指示があり、その気になって構えていたが、例によって財団からやらないでよい、と連絡があった。それで知床でハマナスが咲き始めました、とメールをもらったので行…

上野公園の抑止力

上野公園の抑止力 京都清水寺の舞台を模した清水観音堂、比叡山延暦寺を模した東叡山寛永寺、不忍池が琵琶湖。天海の作品だ。上野公園が京都のコピーであることを教えてくれたのは確かフランスの友人だった。徳川幕府も、天皇家や京都の威光が重要だったのだ…

上野公園の仏像

上野公園の仏像 市ヶ谷の自宅から3つ先の駅が上野公園だ。9to5で拘束されない自由の身になったので、博物館通いでもして教養を少しでも高めよう、と企んだ。 年間パスポートが2,500円。4回行けば元が取れる。教養より銭勘定が優先する我が身が悲しい。 あ…