やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ディカプリオとレッシグ

ディカプリオは俳優として好きだし、彼が選ぶ映画も好きだ。 しかし、今回のパラオの海洋保護区の件は気が重い件である。 彼の両親はヒッピーだったらしい。 税金をなるべく払わず、自分の信じた事を進める。なんとなくわかる。 ここで再度見たのが、ローレ…

ディカプリオの租税回避とナショナルトラスト

英国の国土、3分の一を所有する貴族の租税回避スキーム、ナショナルトラストが、広大なEEZを保有する小島嶼国の海洋保護区基金に応用されている事を知り、この税制がどうなっているのか?気になった。が、英文で税制関連の資料を読む勇気はない。 和文で見…

レオディカプリオと租税回避、と水産資源(追記あり)

新聞ニュースになったのでこのブログに書きたい。 映画のプロモーションで、中国、日本を訪問していた俳優レオ・デカプリオがお忍びでパラオに入っていた。 現地メディアの知人からは、日本の天皇皇后両陛下の訪問の時より情報が厳しく制限されているとのこ…

植民される欧州 ー 難民問題

3月の欧州訪問3週間は多くを学ばさせていただく機会であった。(プライベート旅行です) 現場で感じたのが欧州を悩ます「難民」問題だ。 世界に植民地を展開した欧州が、今難民に植民される欧州となった。 エジンバラ、ダブリン、パリ。どこでも見かけた路…

New support measure for Palau maritime security

Monica, Kambes, Det and Ms Leklai have done great reports on my maritime security project for Palau. Thank you for all. Let me share more details and background of support measures for Palau. The maritime security project for Micronesia be…

アルゼンチンが中国漁船を撃沈 メモ

古森 義久氏の下記の記事を目にした。 今回のアルゼンチン政府の対応を非難する声は中国政府からしか聞こえない。 無人のベトナム漁船を爆破したパラオ、インドネシアの事も気になっている。 この違法操業と爆破、撃沈に問題はないのか? まだメモだけ。後で…

ミクロネシアのベトナム漁船

興味深い記事が、パラオの地元紙Island Timesにあった。 昨年、6月にチュック州の離島に台風被害を受けて流れついたベトナム漁船の漁師12名。約8ヶ月ぶりの2月27日にベトナムに帰国できる事になったという。 8ヶ月もミクロネシアに滞在したままだっ…

自衛隊与那国入りー後藤新平、新渡戸稲造を見習え!

与那国の自衛隊施設 いよいよ、自衛隊が与那国に入る事となった。子供を含む94名の自衛隊の家族も入るという。 このニュースに、保守の知人達が「嬉しい!」と喜びを隠さない。 与那国で20年ほど前、やしの実大学を開催し、先月もプライベートで訪ね、島の人…

植民される欧州 その3.1 ローマ風呂に見る植民の歴史

イギリスのオックスフォードの近くにはバース Bath、という名前そのまま町がある。 「お風呂市」である。Bath大学というのもあって、これは「お風呂大学」である。 ちなみなに、ドイツのケルン大学はケルン市(Kolen=Colon)、即ち植民地市にある「植民地大学…

植民される欧州 その3 ローマ風呂に見る植民の歴史

欧州訪問3週目は花の都パリへ! といってもシテ島のローマ風呂が当方の目的。 欧州はローマによる広大な植民が行われたのである。 欧州の植民問題を理解する事が、太平洋島嶼国の植民問題を理解する事につながる。 このローマの植民活動はアダム•スミスもそ…

植民される欧州 その2.1 ブレンナム宮殿と世界遺産

ブレンナム宮殿の第11代当主、John Spencer-Churchill卿は88歳で2014年に亡くなられた。 当然遺産はその息子に、ではなかった。 ご子息は麻薬で何度も警察に逮捕されている。 そこで、ブレンナム宮殿の遺産は23歳の孫、George Spencer-Churchill, Marquess o…

植民される欧州 その2 ブレンナム宮殿と世界遺産

ストーンヘンジを作った先史の後は、ローマ人が植民し、フランクが植民し。。。 と、欧州の歴史はようわかりまへんが、日本が徳川時代の太平の世を迎えた頃も、欧州は土地の分捕り合戦が続いたのである。 1704年のブレンハイムの戦いではウィンストン・チャ…

日本とアイルランドを結ぶ「能」その3

<アイルランドと太平洋島嶼国を結ぶタックスヘブン> お能も、幽霊も、伝説も多分関係のないアイルランドの特徴で、太平洋島嶼国と共通の要素がある。 その名は、タックスヘブン! Facebook, Google, スタバ等々世界のグローバル企業がアイルランドに会社を…

日本とアイルランドを結ぶ「能」その2

アイルランドの魂を歌ったイェーツは、日本文化を勉強したフェノロッサ経由で、日本の「能」から大きな影響を受ける。 イースター蜂起の2ヶ月前の1916年2月、イエーツは「鷹の井戸」をロンドンで発表。 アイルランドの伝説と日本のお能が融合したようだ。 …

日本とアイルランドを結ぶ「能」その1

今回の欧州訪問は至る所で木蓮の花に出会えた。木蓮は椿同様、日本経由で欧州に伝わってきたようだ。写真はダブリンのトリニティカレッジ。 初めてのアイルランド、ダブリン訪問。 色々勉強してから来ようと思ったが、何もできなかった。 エジンバラからのAe…

『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』出井康博著、2008年講談社(追記あり)

黒人問題は、ジャズ以外には関心がなかった。 博論で「羅生門効果」を議論したくて、その資料を探していただけなのだ。 偶然見つけたBlack movementにおける日本人の役割。 読みたかった『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(出井康博著、2008…

植民される欧州 その1ストーンヘンジ

今回の欧州訪問は、「植民」も訪問テーマの一つである。 欧州自体も植民されているのである。 例えば、ドイツのケルン Köln、ローマの植民地そのままの名前。 イギリスではストーンヘンジを見に行く機会があった。6千年前の「植民」である。 しかもオックス…

欧州へ ー お墓参り

今回の欧州訪問は考古学者の愚夫がオックスフォード大学とソルボンヌ大学で客員教授として講演に呼ばれたのでついて来たのだが、勿論自分の渡航目的を設定。 一つが英国と太平洋島嶼国を結ぶ金融システム、即ちタックスヘブンとナショナルトラストの絡繰りを…

英国国土3分の1は貴族様のもの! その2

英国の国土の3分の一が貴族様の所有であることを、滞在先のオックスフォード大学教授と話した中で、大きく気になる点があった。書いておきたい。 冗談半分で、英国の土地改革には世界最強の日本共産党が必要だ、と合意した後、当方から 「英国のアカデミズ…

英国国土3分の1は貴族様のもの!

エゲレス滞在、1週間が経つ。 もういい、この事実を知っただけで。 革命もなく、日本のような敗戦もなかった英国。 未だ国土の3分の一は貴族が所有しているのである! "Look who owns Britain: A third of the country STILL belongs to the aristocracy" …

大英帝国の憂鬱

今回の英国滞在は、考古学者の愚夫のおかげで、オランダ、英国の歴史学者、考古学者等々と話をする機会を得た。 オランダの学者さんに 「オランダと日本は400年の歴史があるんですよね。」 と振ったら、シーボルトの話になって、急に顔色が変わり、 「もしか…

ラッセル国次官補の顔を潰した?

先般パラオで開催した会議は、英文ニュースとなって世界を巡っているようだ。 この日曜日には4分近いABCニュースのラジオ放送があった。 Japan offers Palau a hand of friendship as US financial package stalls http://www.abc.net.au/news/2016-03-07/j…

欧州へ - The City 小島嶼国誕生の起源

パラオ出張の後、欧州に来ている。 当方の関心は小島嶼国誕生の起源と推測しているThe Cityの存在。 パラオ、その他島嶼国のタックスヘブン、マネロン、海洋保護を隠れ蓑にした信託基金等々越境金融システムの元祖。 ロンドンのThe Cityを理解できずに、島嶼…

パラオ会議のニュース記事

私が2008年に一人で立ち上げた事業がここまで発展した。 2月26日、4カ国政府(日、豪、米、パラオ)+ 2NGOs (日本財団、笹川平和財団)が開催した会議、及合意内容が英文のメディア(AFP, パラオ地元紙のIslands Times と Tia Belaua)に掲載された。…

日本財団がうらやましい ー 水産庁の嘆き

パラオ出張の前に、このブログでも紹介してきた、日本水産庁の取締船パラオ派遣がどうなっているか、水産庁に問い合わせた。 この事業を担当する水産庁参事官神谷崇氏から 「日本財団がうらやましいです。」 という返事が来た。水産庁がやる気でも、外務省が…

米国はミクロネシアを日本に返したがっている!

お酒の席、レセプションの席の情報は貴重である。 ミクロネシア海上保安事業の起源の一つが、PACOMのキーティング司令官が、お酒の席で中国海軍から太平洋を米中で二分割しようと冗談まじりに提案された事を、米国の公聴会で報告した事にある。 これに、笹川…

海洋環境保護は信託基金運営なり

2月26日、パラオでの海洋安全保障会議の前に、ミクロネシア大統領サミットとミクロネシア首長会議が開催された。 ミクロネシアの動向を知るのに良い機会で、両方とも傍聴させていただいた。 両会議ではパラオの海洋保護区とミクロネシアチャレンジという…

99年リースは誰のため?

今回のパラオ訪問では、一昨年から急増した中国人観光客の影響について直接観察する機会はなかった。 しかし、現地のメディア関係者と面談する機会があり、貴重な話が聞けた。 大陸中国人のパラオへの影響は観光客の増加だけでなく、パラオの土地建物を99…