やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

エイプリル・スキリング? クリップス? 楽園の闇

この件はこの数日で突然わかってきた話なのです。 関係者だけに、と思いましたが、このブログは多くの水産関係者も読んでくださっており、応援いただいているので表で書くことにしました。 2014年、ミクロネシア連邦の法務大臣が次々と日本のカツオ漁船を拿…

樋口レポート(いつでも読めるようにここに貼っておきます)

データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) 日本政治・国際関係データベース政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所 [文書名] 防衛問題懇談会「日本の安全保障と防衛力のあり方‐21世紀へ向けての展望‐」(樋口レポート) [年月日] 1994年8月12日 […

"Sovereignty" and "Sovereign right"

Palau constitution violated the regime of EEZ in the UNCLOS. I have read this argument a few times in the past. This was also the reason why the US could not agree to an “anti-Nuclear” constitution in the 80s. Recently I have read “Constit…

矢内原忠雄「南洋委任統治論」 1933.6中央公論(1)

私が新渡戸、後藤の植民政策まで辿り着いたのは南洋群島研究を書かれた矢内原忠雄の存在がある。取っ付きづらい文章と、私が「植民=悪」と思い込んでいた20代30代、矢内原の資料を読む気は湧かなかった。興味を持ったのは40を過ぎてからだ。この矢内…

憲法学者が憲法解釈を変える時

TWFriendが長谷部恭男教授の憲法論を推薦していてウェブで読めるものやYouTubeの講演をいくつか覗かせていただいている。途中までしか読めないのだが下記の記事を読んでいて思い出したのが英国のコークとベーコンのことだ。(下記に2人を対称した表を添付) …

ナポレオン三世のニューカレドニア植民を起源とする「帝国主義」

「帝国主義」よく使われる言葉だが、その定義を議論している人は、矢内原忠雄先生しか見たことがない。。 ニューカレドニアの独立の動きの中で、マクロンがナポレオン三世の植民地宣言の文書を返還したことを前のブログに書いたが「帝国主義」という言葉はま…

マクロン大統領、ナポレオン三世の帝国主義を覆す?

2018年の最初の住民投票の前にニューァレドニアを訪ねたマクロン大統領。1988年先住民独立過激派とフランス人警官に19名の死者出した惨劇のあったウベア島を訪ね和解に一歩を示しただけではありません。 気になっていて、調べていなかった件を少しウェッブ検…

ニューカレドニア、フランスに留まる。

10月4日に開催されたニューカレドニアの独立を問う2回目の住民投票。2018年の投票結果よりも小差で独立反対が多数となった。 私は、正直ホッとした。太平洋島嶼国の現状、特に中国との関係を一気に強化し始めた2000年頃以降、私は、その影響が麻薬、売春、…

エプスタインSexスキャンダルと海洋保護区inSDGs

この度のパラオ大統領選中間選挙が示したパラオ国家海洋保護法に対する国民のNO。ほとんど病的とも思える国連の海洋保護の動きを修正してくれる事を期待したい。それは小和田判事が捕鯨裁判で反論されたような感情的な動きでしかない。 小和田裁判官の反対意…

2020パラオ大統領選挙中間選挙最終結果

下記の通り開票率50%で、リードしていたスランゲル・ジュニア。最終結果が出た。 スランゲル候補3546票(2位との票差1562票) オイロー候補 1984票 トリビオン候補1145票 シード候補 983票 <最終結果> スランゲル候補4237票(2…

『インド太平洋開拓史』著者の正体は暴かれたか?

『インド太平洋開拓史』は100頁弱の貧弱な本であるが、今まで自分の存在を表に出さないようにして来た中で、自分の名前を前面に出した本だ。ご迷惑であろうと思いつつも恩師、渡辺昭夫東大名誉教授に感謝と共に捧げさせていただいた。 私が渡辺先生にお会…

<エスパー国防長官パラオ入り真相5>悪法海洋保護法と大統領選

悪法海洋保護区 多分これで、<エスパー国防長官パラオ入り真相>は最後とします。 現実の世界はまだ動いている。私は民間シックスアイズとしてタダ働きで引き続きインド太平洋構想を動かしています。 今回のエスパー国防長官パラオ訪問。その発言はニュース…

中共の金がばら撒かれる?パラオ大統領選2020

中間選挙、ですがスランゲル・ジュニアの圧勝に未だ、夢現です。 ただフォローしてるだけなんですが(嘘)こんなに大差になるとは。ってまだ中間選挙の発表は終わっていないのでどんでん返しがないとも言えず・・ 本戦は11月3日。敵は背後に中共と三合会を…

ソロモン諸島の君主はエリザベス女王

昨年9月、長年の台湾との外交関係を終え、中国に鞍替えしたソロモン諸島。その中でも人口が多く政治的力も大きいマライタ州の分離独立の動きを産経新聞が記事にしていた。私から見ると勘違いしている箇所が多々あるが、シンガポール=森浩記者の署名記事だ。…

2020パラオ大統領選中間選挙速報

パラオ大統領選 中間選挙でトップを走るスランゲル候補。インド太平洋安全保障は彼の肩に。 11月3日に行われるパラオ大統領選。その中間選挙が昨日行われた。 その中間開票状況である。 パラオ2020大統領選速報 開票率50%で、 スランゲル候補3546…

ジャパンライフが食物にする「親日国家」パラオ

中曽根康弘元首相は「善意の政治資金として」と発言 最大の大物は、先日101歳で亡くなった中曽根康弘元首相だろう。首相在任中、中曽根氏の5つの政治団体に、ジャパンライフから計1000万円の献金が行われていたことを、共産党の藤田スミ衆議員が追及している…

群島概念と領海-John Brock 1980 Naval College

曾村保信著『海の政治学 海はだれのものか』中公新書、1988.3 この本の中で John R. Brock, ARCHIPELAGO CONCEPT OF LIMITS OF TERRITORIAL SEAS, USNWC-JOURNALS > ILS > Vol. 61 (1980). International Law Studies が引用されているらしい。この英文論文…

<エスパー国防長官パラオ入り真相4>大統領からの手紙

エスパー国防長官のパラオ入りは知る人ぞ知る情報だったが、その準備がどのレベルでいつからされていたのか? 一つの参考資料がエスパーの数時間滞在中にレメンゲサウ大統領から渡された手紙である。相当練って、法律家のアドバイスを受けながら書いたもので…

ツバルの海洋資源とUNCLOS(追記あり)

島が沈んでもEEZは残る。 UNCLOSは島が沈んだ、もしくは海岸線が侵食された場合を想定していない。 多くの太平洋の島々がEEZを失う可能性がある。70年代、広大なEEZの海洋資源を根拠として太平洋の島々は独立をしてきた背景がある。よって、島が沈んでも、も…

<エスパー国防長官パラオ入り真相3>恒久基地はできません!

先の選挙で一票いれさせていただいた国防議連の佐藤正久議員がエスパー国防長官パラオ訪問に関し間違った情報をそのまま流していたので青ざめた。 【パラオは台湾との外交関係維持。米軍が来れば更に第二列島線の強化にも繋がる→パラオが米軍基地の設置要望…

インドネシア独立宣言に「皇紀」が使用されている理由(2)

インドネシア独立宣言に皇紀が使用された理由。単なる事務的、形式的以上の意味が、多分国際法上の意味があるのでは?と思い「事務的」と主張される郵便学者内藤先生にどの国際法か聞いてみたが教えてもらえなかった。戦時国際法の占領に関する議論だと思う…

<エスパー国防長官パラオ入り真相1>観光のための防衛

パラオに住んでいる人よりもパラオのことに詳しいと言われている。名誉に思うべきなのか・・ 2020年8月27日。たった数時間だったが、エスパー国防長官がパラオ訪問。ここ数週間ニュースをフォローしながら世界の諜報機関と関係者からの問い合わせに追われて…

<エスパー国防長官パラオ入り真相2>パラオ111銀行口座凍結

この件とエスパーのパラオ訪問が関係しているように思う。。 パラオの111の銀行口座が凍結・・ 111匹わんちゃんじゃあないけれど。 7月あたりから銀行口座凍結のニュースが出てきて気になっていた。111の口座は数としてかなり、だ。しかも違法性が…

インドネシア独立宣言に「皇紀」が使用されている理由(1)

東南アジア青年の船、という内閣府が主催する事業がある。60年代からアセアンにおける日本の経済進出で反日感情が激しくなる中、1974年にインドネシア共和国、マレーシア、フィリピン共和国、シンガポール共和国及びタイ王国の各国と日本国との共同声明に基…

<安倍政権と太平洋政策>2014年豪州・パプアニューギニア訪問

これ全部私がアレンジしました! 安倍総理、パプアニューギニア、ウェワク訪問 安倍総理、西オーストラリア訪問 アルバニー船団100周年 アンザックに日本の自衛隊が参加したの戦後これが初めてではないだろうか??

バヌアツ政府中国犯罪者300人に市民権を与える??

今年3月の選挙で政権を得たバヌアク党のLoughmanが3年間の特別なビザの発給を発表。対象は “nomads, stateless people and people in difficulty” (遊牧民・無国籍者・難民) 国際的犯罪者も取得可能だ。しかも一人USD$80,000で、経済的難民がその市民権を…

<エスパー国防長官パラオ入り真相0>パラオ検察官中国人買春を有罪に

www.facebook.com あまり詳細は書けないのだが、今回の米国防相エスパー長官パラオ訪問に深く関わることとなった。それほどまでにこのやしの実通信のブログでぎりぎりまでお伝えしているパラオの闇は深いのである。 今回のエスパー長官パラオ訪問、The Econo…

豪州メディアの中国叩き加速!南オーストラリア州中共鮑王のウイグル弾圧

オーストラリアメディアの中国叩きが止まらない。どんどん出てくるのだが、今朝一番で流れてきた南オーストラリア州のウイグル弾圧に関する記事を読んでみた。 ここに紹介するためにグーグル翻訳したら面白い現象もあった。リー議員の友人であるシーフード王…

「南沙(スプラトリー)諸島の歴史」 片倉 佳史

南沙(スプラトリー)諸島の歴史 片倉 佳史(台湾在住作家) https://www.koryu.or.jp/Portals/0/images/publications/magazine/2017/11/rekishi.pdf 南沙諸島を日本が領有していた歴史はあまり知られていない?と私もぼやっとしか知らずこの記事を読ませていた…

川島真・池内恵編 「新興国から見るアフターコロナの時代・米中対立の間に広がる世界」<太平洋島嶼国編1>

この10月か11月に東大出版から刊行予定の 川島真・池内恵編 「新興国から見るアフターコロナの時代・米中対立の間に広がる世界」 ここに太平洋島嶼国の事を書く機会をいただき、7月あたりから情報収集・分析をはじめ先日初稿を提出したばかりだ。字数制限が…