やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

マグロと自決権

週末マグロとレーニンの話を書いていたら、、、 トランスフォーム博士が真面目にマグロと自決権を議論している。 後でまとめます。 Tuna can create "true independence" PNA tells Pacific Islands Development Forum Leaders Summit HONIARA, SOLOMON ISLA…

PACOM の敵は気候変動か中国か

この記事も気になっていた。 【元米軍海兵隊士官・意見】気候変動は“敵”になるだろう(軍事的な敵ではないが) 2018/1/19 https://www.newshonyaku.com/4772/ 元米軍太平洋司令官、サミュエル・ロックリア提督が2013年に、アジア太平洋地域における最大の問…

気になるトンガ王国の行く末

トンガ王国のことが気になっている。 日本の皇室とも縁が深い国である。笹川良一が名誉領事に任命されたけど、財団内で一番知る私も背景がよくわからない。 昨年7月、国王がノーを出したポヒヴァ首相が11月再選され、再び首相に。 即ちマジョリティの国民が…

ヤップ危うし!

京大の研究会で質問されて、一言じゃあ答えられなかった件。 「太平洋島嶼国は中国からの攻勢にどのように対応しているのか?どこで食い止めているのか?」 今日のニュースで、オーストラリアがソロモン諸島からの海底通信ケーブルの費用を出すことになり、…

日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較―

ウェブサーフィンしていて偶然見つけた論文である。 日英、日仏の安全保障・防衛協力 ― 日本のパートナーとしての英仏比較― 鶴岡 路人、防衛研究所紀要第 19 巻第 1 号(2016 年 12 月) http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j19_1_6.pdf…

インドと太平洋を繋げる女王様

英国及び、英連邦の動きが見逃せないので、いよいよ新しいカテゴリーを設けました。 「女王様の太平洋」です。 さて、京大での研究会で質問を受けて答えきれなかった点がインドと太平洋の関係。 インド太平洋戦略の重要なアクターであるインドは、太平洋島嶼…

世界最強の水産研・取締船を作ったのは占領軍

水産庁を作ったのは米国、GHQである事を確認したく探し当てた「水産庁50年史」 水産庁自体は戦前から独立した組織を、という強い要望があったので、GHQが押し付けたようではないが、占領軍が推進する漁業改革の一環としての設立であった事が確認できた。 「…

水産省格上げを邪魔した運輸省

アメリカの政治ジャーナルから記事執筆を依頼された。今年の島サミット関連で書いてくれ、と。 あっという間に書いて編集者の送ったら、今ホワイトハウスで関連の議論をしているグループにも回覧したい、と返事が来た。 えっ! 社交辞令かもしれないが、ちょ…

皇太子殿下ご成婚記念品と天皇即位

皇太子殿下が来年天皇に即位される。 昨晩、急にこのことが他人事ではなく、自分の身に迫って来た。自分の家族の出来事のような感覚が湧いて来たのだ。大事に仕舞ってあったものを取り出した。 私と皇太子殿下を繋げるものが、平成5年にご招待いただいたご結…

後藤新平とパリ講和会議

ウィルソンの平和の14か条をドラフトしたウォルター・リップマンを読んでから、1919年に後藤新平が新渡戸を連れてパリ平和会議に参加した事が書かれている『決定版 正伝 後藤新平 7』が読みたくて、年末図書館で借た。 後藤は6千億円の芝居見物(第一次…

なぜ日本漁船だけ取締まるのか?

ミクロネシア連邦政府の司法長官が過去に行った「保証金ふっかけ取締」を羽生前会長はじめ財団に出向していた国交省のおじさん、お兄さん達が支持する、という恐ろしい事件がなければ、私が違法操業取締にこれだけ詳しくなる事はなかったであろう。 これも京…

水産庁取締船と安保法案

京大で開催された研究会で質問を受けて思い出した件である。 水産庁取締船のパラオ派遣。 水産庁がやる気になって、しかも受けるパラオ法執行機関は大喜び。 約500トンの「みはま」のような取締船がパラオEEZを監視するのだ。しかもタダで。 船のメンテも…

河野外相が理解できて宮島大使が理解できない小国の問題(2)

日本の官僚は小国の重要性が理解できないのだ。 国交省の元審議官で、前笹川平和財団会長だった羽生次郎氏は 「早川さんよかったねえ。中国のおかげで小さな島々に笹川さんが関心を持たれて、仕事ができたじゃない。」と私に呟いた。 ああ、哀れなるかな、東…

河野外相が理解できて宮島大使が理解できない小国の問題(1)

このブログで情報を発信しているおかげで、色々なところから声をかけていただける。先日は京都大学で研究会に呼ばれて太平洋島嶼国のお話をさせていただいた。1時間の発表の後、2時間近い質問があって、色々と考えさせられた点が多い。 うまくまとめきれず満…

河野外相の外交演説とインド太平洋戦略

河野外相の外交演説にインド太平洋戦略がより明確の述べられていたので、記録だけしておきたい。 このインド太平洋戦略に昨年の議連講演会以来、太平洋島嶼国、もしくはオーストロネシア語族の視点から関わる立場となったからだ。 外交演説 http://www.taro.…

横井小楠の外交政策

日本の南洋統治を矢内原忠雄が研究し、その矢内原の植民学の先生が新渡戸である事を知ってこのカテゴリを設けて情報を収集して来た。 数年前に新渡戸に関心があると、日本財団参与の鳥井啓一さんに言ったら、後藤新平をすすめられた。 矢内原より新渡戸の方…

In Memoriam: Russell Trood

前のブログに取り上げたベルギン博士のインド太平洋パートナーシップを書こうと思って、資料を検索している時に見つけた訃報である。一気に書く気がしなくなって、今日のターンブル首相来日まで滞った理由である。 あのRussell Trood博士が、議員が2017年1月…

ダウンアンダーのインド太平洋

ターンブル首相の来日で思い出した、ベルギン博士の小論。豪州外交白書に対するコメントだ。 インド太平洋が入ったことを歓迎している。 ベルギンは博士が所属するASPIはまたベルギン博士は豪州政府の防衛を中心に太平洋の安全保障を主導する立場だ。 Region…

ターンブル首相来日

ターンブル首相が今日、来日。 「日本にすり寄る豪州 ターンブル首相18日訪日、政権テコ入れ 中国離反、米とは関係悪化」 2018.1.18 http://www.sankei.com/world/news/180118/wor1801180007-n1.html この記事タイトル「日本にすり寄る豪州」豪州が聞いた…

マグロ管理の実態をメディアは学べ(追記あり)

(築地の知らないおじさんに絡まれたのでちょっと調べて追記しました。見つけた資料が宮原さんの講演記録だった。) 大西洋のマグロ管理に学べ 社説 2018/1/16 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO25719130V10C18A1EA1000/ 水産資源管理の素人が書いてい…

尾崎秀実の南進論

ハウスホーファーのインド太平洋構想がゾルゲや尾崎に何某かのアイデアを提供し、彼らの日本での工作活動、すなわち南進論の普及につながっているのではないか?と想像し資料を軽く検索したが見つからなかった。 ところがFBFの方からデジタルライブラリーで…

太平洋と中国が展開するブルーエコノミー

太平洋と中国が展開するブルーエコノミー 執筆者は豪州の元外交官で現在中国政府のアドバイザー。 なぜかTWでフォローしていただいた。 中国の膨張は止められないし、止める権利が誰にあるの? 中国の脅威を議論する席で私がよくする質問は「じゃあ、中国に…

違法操業撲滅はデジタル技術か?関係者の信頼と責任か?

違法操業の現実が、日本漁船が網入れてたまたま小型マグロが引っかかった事に目くじらを立てるレベルの話ではない事はさすがにメディアも大衆も理解し始めたであろう。 FFAー太平洋諸島漁業フォーラムのdeputy director general Wez Norrisのインタビュー記…

ゾルゲ・尾崎・ハウスホーファーの南進論

日本の南進論が、ゾルゲ・尾崎・ハウスホーファーの影響を受けていたのであればどのような南進論がこの3者によって展開されたのか? マレイ族、オーストロネシア語族の話は出てくるのであろうか? しかも南進論は多分新渡戸や矢内原が議論した植民政策、す…

河野外相のインタビューの意味がわかったSDGセミナー

河野外相がフランステレビのインタビューで、米国がパリ協定離脱をしても米国の企業の貢献は大きい、と述べていた意味が今日わかった。 気候変動もSDGもきちんと追っていなかったので、本日世界人権問題研究センターが主催する「SDGs時代の企業の社会的責任…

太平島嶼国支援を巡る豪州の中国批判

あれだけ緊密だった豪中関係がこの1年ガラッと変わった。 米国から豪州に圧力が加わっているのではないか?と思う。 いよいよ、豪州のお膝元、太平洋島嶼国への中国の支援について豪州閣僚が批判。 Federal Minister Concetta Fierravanti-Wells accuses Chi…

示談金ふっかけが止まらない太平洋島嶼国の取締

ソロモン諸島でのベトナム違法漁船取締のニュース。 Solomons' govt yet to destroy last seized fishing boat https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/347887/solomons-govt-yet-to-destroy-last-seized-fishing-boat 船長に5億円。関係者に…

太平洋に拡大するベトナム違法漁船と南沙諸島への中国の進出

ベトナムの違法業船が太平洋で後を絶たないようである。 ニューカレドニアまで進出しているのだ。 海洋監視能力がゼロに近い太平洋島嶼国ではフランス海軍やオーストラリア海軍が取り締まるだけ。 だから仏領ニューカレドニアの件がニュースになるのは取締っ…

中国の太平洋分割案ー日本はどう出る?

島サミットに関する原稿依頼があって中国の太平洋分割案のことに触れることとした。 河野外相が反論したという習近平総書記の記者会見を初めてみた。 上記ビデオの7:45 から太平洋分割論を述べている。 2008年に太平洋司令軍のキーティング司令官が同じ事を…

水産庁、漁業取締本部設置へ 追記あり

水産庁、長谷長官のインタビュー記事が日経に掲載されていた。 そこにはなんと、水産庁の漁業取締船を新たに建造するほかに漁業取締本部を設置する、とある。 昨年、水産庁の幹部の皆さんにミクロネシア、いや太平洋をカバーできるくらいの取締船強化を提案…