やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

吉野作造の愛弟子だった笹川良一

(2015年2月10日に旧ブログにアップした記事だが自動移行の際、落とされたようだ。後藤、吉野に接点のあった笹川良一さん。) 戦後、笹川良一氏を誹謗中傷した蝋山政道を、戦前、矢内原先生が侵略思想家、論理破壊と叩いているのを知って、敵の敵は味方の構…

麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』

ワシントン軍縮会議はヤップ協定が日米間で締結された会議でもあるので興味はあるが、しっかり本を読んだとはない。 麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』の2、3、4章を読んだ。当然だが日本も米国も一枚岩ではなく、海軍の中も一枚岩で…

歯欠け駒の一帯一路 マカオ〜香港〜カンボジア〜パラオ〜バヌアツ

マカオ・香港のギャング歯欠け駒(14Kの親分)が、パラオに入りレメンゲサウ大統領とカジノか何かのビジネスを始めようとしたことは今年地元のメディアで取り上げられていた。香港のデモを解説した郵便学者内藤陽介先生のおかげでこの歯欠け駒さんが何者であ…

併合は植民か?アダム・スミスの植民論『国富論』

日本の植民政策は、後藤、新渡戸、矢内原が構築してきた。まだ他にもいるかもしれないがこの3者は外せない。この数年(今ブログを確認したら2014年11月にカテゴリーを設けている)新渡戸、矢内原、そして後藤を中心に文献を散漫的に読んではブログにメモを…

東京帝国大学植民政策講義(8)新渡戸博士の講義 第五章植民地獲得の方法

東京帝国大学植民政策講義、最後に書いたのが今年の3月。なんてまあ私の根性は弱いのであろう。あれから5月、すっかり忘れていた。 百田さんだけでなく、「学者」を名乗る人でも日韓併合の「併合」は「植民」ではないと書いているのを見て驚愕した。学者だか…

西パプア暴動<追記あり>

www.youtube.com こんなことで西パプアが日本で有名になってしまった。 しかし、今までのように何も知られないよりはましだ。暴動、虐殺、拷問は常にあった。今回の暴動は規模が大きいのか?ニュースになって世界に流れていることが西パプアを20年以上追って…

読書メモ “Sentimental Imperialists” Thomson, Stanley, Perry

昨日書いたブログでちらっと書いた“Sentimental Imperialists”。 本当はしっかり読みたいのだが、来週から後藤、新渡戸、吉野作造の足跡を訪ねる旅が迫っていて一旦返却することにした。 それでももう少しメモだけ残しておきたい。いつか読もう、と思って忘…

日本はセンチメンタルな植民者か?

日本統治時代の朝鮮の教科書 というサイトがある方のFBで紹介されて、日本人は「センチメンタルな植民者」であるとのコメントがあったので、これは新渡戸の植民政策を学んでいる者として聞き捨てならぬとセンチメンタルと思う理由を尋ねた。植民地の人民を日…

America's Pacific Island Allies - RAND 報告書

数週間前に米国のシンクタンク、RAND Corporationから米国が自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国に関 する報告書が出て、安全保障、アジア太平洋、インド太平洋関係者はみんな読んでいた。 ざっと読んだがかなり大雑把な、簡単にまとめられた内容で、こ…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(8)最終回 ー債務の罠か歳入の罠か

バヌアツで起こった中国人による仮想通貨犯罪。たまたまこの事件があった時にバヌアツに滞在していた。そして日本に戻ってから浅野亮教授からご関心を持っていただいた事をきっかけにまとめてみようと思った。 何より資料を読んで行く中で、旧知の現地ジャー…

<読書メモ>『太平洋戦争とアジア外交』波多野澄雄著

2019年6月、珊瑚礁海戦の連合軍後方基地、南太平洋のペンタゴンと呼ばれたニューカレドニアのヌーメアで「日本の戦争目的は東亜の解放でした」と叫んできた。オーストラリア国立大学主催の学会でテーマが「自決権」だったのだ。 インド太平洋構想の歴史的背…

私をインド太平洋構想に導いた衛藤晟一議員

太平洋を渡り歩いて30年の私が一気に安倍政権の「インド太平洋構想」に範囲を広げるきっかけを作ってくれたのが衛藤晟一議員なのである。 先月シンガポールの学会で発表のリハーサルをしながら思い出していた。 2017年4、5月。私は古屋圭司議員が会長を務め…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(7)日本バヌアツ関係

今回「仮想通貨犯罪」しかも中国人による犯罪でバヌアツと日本が結びついてしまった。Plustoken という投資商品は世界中を相手にしていたようだが、日本も大きなお客さんだったのであろう。利子が10%とか書いてある。 バヌアツと日本の関係を少し整理して…

読書メモ『大東亜戦争と「開戦責任」』中川八洋著

波多野澄雄先生のアジア主義の本を再度図書館に借りに行ったら隣にあった本である。面白くて一気に読んでしまった。多分江崎先生のコミンテルンの本を読んでいなければ「トンデモ本」と思ったかも? そもそも意味不明だったかもしれない。 江崎先生の主張と…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(6)世界最貧で世界一幸せな国バヌアツ

ここで少しバヌアツという国について書いておきたい。 1. 3千年の多民族国家 ニューカレドニアから飛行機で1時間。南北にYの字型に100位の島が散在し、100位の言語、すなわち民族がいる。 人間の歴史は約3千年でパプアニューギニア東部から渡って…

商業捕鯨を再開すると南極での活動ができなくなる理由

美味しそう! 昨日読んだ森下、岸本論文の下記の部分が気になり、これこそ今度の国際法学会の主要テーマ「多元化する条約体制による秩序形成と維持」なのではないかと条約を当たってみた。以下の条項だと思うが違うかもしれない。 環境保護に関する南極条約…

「商業捕鯨再開へ向けて」森下、岸本論文

ウェブで偶然見つけた捕鯨関連の論文だ。掲載場所と日時が明確ではないのだが資料の最後にある下記の連載記事を集めたものかもしれない。 森下丈二、みなと新聞連載「商業捕鯨再開に向けて」(2015 年 2 月 19 日から 11 月 12 日、隔週、計 20 回)。 50ペ…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(5)『金融ダークサイド』猫組長著

南の楽園、太平洋島嶼国は実は犯罪の楽園、しかも世界第1級の越境犯罪の楽園、であることはこのブログを読んでいただいている方にはわかっていただけたと思う。 私はかなり早くから、つまり数十年前から島を歩き回っている中で肌で感じてきた。まさか、とい…

舞鶴地方総監部幕僚長 海将補 関口雄輝 講演会のお知らせ

インド太平洋研究会で10名わくいただきました。 主催者、日本青年国際交流機構、一般財団法人青少年国際交流推進センターは私が20代の時に設立に関わった団体です。 今回、ご縁をいただいて舞鶴地方総監部幕僚長 海将補 関口雄輝氏の講演会を企画させてただ…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(4)パスポート販売

Vanuatu Immigration: Moving to Vanuatu with VRP MENA イメージ写真を探していたら見つけたバヌアツのパスポート、市民権売買のサイト。レバノンにある! 太平洋島嶼国の特徴的な収入源としてsovereignty business - 主権ビジネス、がある。特徴的なのがパ…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(3)

6月29日の記事で中国人インターネット詐欺が捕まった後、バヌアツデイリーポストの取材は続くが下記のように政府から全く情報は入手できない。 誰が逮捕されたのか? どのような罪で捕まったのか? 11名の中国人警察官がバヌアツに滞在しているがどこが所管…

マカオの歯っ欠け駒はパラオの大統領のお友達??

小島嶼国の大統領は日本の外相ともマカオのギャングとも仲良くしないとサバイバルできないのだ。 追記:歯っ欠け駒さんをパラオにひい入れたのは郵便局長とのタレコミあり! このブログは外務省の方が、太平洋島嶼国がわかる唯一のサイトと、半分外交辞令と…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪(2)

仮想通貨Plustokenは関心が高いようだ。見ず知らずの方2名から「みんな知りたがっています」と言うメールをいただいた。 さて、どのようにまとめればいいか決まらないので順を追って書いて行きたい。 この6−7月、ニューカレドニアとシンガポールで開催され…

チャゴス判決(6)西元、小寺論文「現代型訴訟」

昨日、チャゴス判決に関するアレン博士の論考のフィリピンとの関係を読んでいて思い出したのが西元宏治論文にあった「現代型訴訟」の件で、小寺彰「国際社会の裁判化」『国際問題』No.597 (2010 年12月) 3 頁から引用されている。 西元論文は2019年の判決の…

日本ーバヌアツー中国を結ぶ仮想通貨犯罪

みなさん、中国とバヌアツに騙されたんですね。 同志社大学に中国研究第一人者の浅野亮先生がいる。昨年と今年と聴講させていただいている。 もう中国を知らずに太平洋を語れないのだ。私自身が中共のスパイからマークされている。しかもニューカレドニアで…

心の四季

心の四季 髙田三郎作曲、吉野弘作詩1967年の作品。 作曲家、髙田三郎の「西洋および日本の音楽の伝統を尊重しつつも、安易に輸出用音楽や虚偽の民族性によりかからない」音楽は多くの日本人の心を捉えてきました。日本語の美しさを生かす高田の作品をお楽し…

光格天皇とモーツァルト レクイエム

「死は【厳密に言えば】ぼくらの人生の真の最終目標ですから、ぼくはこの数年来、この人間の真の最上の友とすっかり慣れ親しんでしまいました。その結果、死の姿はぼくには少しも恐ろしくなくなったばかりか、大いに心を安め、慰めてくれるものとなりました…

チャゴス判決(5)Stephen Allenの分析

チャゴス判決文を読む前に周辺の情報や判決文の目の付け所を知りたいのだが誰がどのような分析をしているのか現時点では全くの手探り状態で資料を探している。 太平洋島嶼国であれば周辺情報は熟知しているので勘も働くがチャゴスは全くわからない。偶然見つ…

読書メモ『憲法で読むアメリカ史』阿川尚之著

太平洋の事を学ぶという事は、島嶼国の事よりも米国、英国、フランスの事を学ぶ側面が強い。島嶼国理解はまた違った枠組みになる。 特に米国は米領サモア、ハワイ、グアム、サイパン、そして自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国が太平洋にある。 同志…

パラオ柔道連盟日本外務大臣賞受賞!

パラオ柔道連盟の河野太郎外務大臣賞、授賞式、8月6日に開催されます。 お前も来いと、授賞式のスケジュールが送られて来ました。これはあなたへの賞でもあるんだから、ついでにパラオでサマーバケーション取って休め、って同連盟副会長のジェニファーから…