やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

ソロモン諸島台湾断交翌日の声

TAIWAN TIES OFF - Solomon Star News 台湾断交が決定した翌日の現地新聞、ソロモンスターの記事。 以下主な内容。 2019年9月16日、ソロモン諸島は36年の台湾との外交関係を断交した。 その決断は台湾の副外相Dr Sze-chien Hsu がホニアラの空港に降り立っ…

<緊急提言>ソロモン諸島の中国対応策ー日米豪英で対抗せよ!

ソロモン諸島が台湾との断交を決定してしまいました。落ち込んでいてもしょうがありません。対策を提案します。 ソロモン諸島、中国から500億円の援助と共に台湾と断交。国連総会でペンス副大統領が同国首相と会談の予定だが、中国は全てお見通しで前倒し…

アダム・スミスの植民論(4)榎並 八幡論文

アダム・スミスの植民論。最後の3本は90年代の榎並論文と2年前の八幡論文。 詳細に見ていけば、今まで読んだ論文と違うのであろうが要点は植民地との貿易、関税のあり方。植民地を分離か連合かどのように扱うか、という内容は同じだ。植民が悪いとは書いて…

森総理とナカムラ大統領を動かした話

ジャーナリストの有本香さんが世間の森総理の評価が間違っているとTWされていたので思わず、ミクロネシア3カ国に日本大使館を開設したのは森総理で、それまでは遠いフィジーの日本大使館が管轄。ついでに言うとミクロネシア隣のグアム、サイパンの日本領事…

アダム・スミスの植民論(3)長谷川貞之

筆者の長谷川 貞之氏は民法、信託法が専門で、日本大学法学部教授。 アダム・スミスの植民地論 / 長谷川 貞之 横浜商大論集 13(1), p28-53 (1979-12) 横浜商科大学学術研究会 スミスの「国富論」は税金や貿易のことに関して非常に詳細に書かれているのだ。長…

ソロモン諸島を巡る中台の情報戦!日本は無関心でいいのか?

いよいよソロモン諸島が台湾から中国に鞍替えしそうで、まさに今、情報戦が交わされている。日本は全く関心がない!誰も話題にしていない!それでよくまあ台湾を支援なんて言えますね。 と文句を言っていてもしょうがない。一人でも粛々と情報を収集し発信し…

アダム・スミスの植民論(2)堀切善兵衛

2本目は堀切善兵衛氏の論文。講演会の記録のようである。 アダム、スミスの植民論 / 堀切 善兵衛 三田学会雑誌 5(3), 301(91)-316(106) (1911-04) 三田学会 堀切善兵衛氏、慶応を1904年に卒業。米英独を留学後母校で教授に。この講演をした翌年の1912年から…

アダム・スミスの植民論

アダム・スミスの「国富論」の中にかなり長文の植民を議論した章があることを知っている人に今まで出会ったことがない。みんな、「国富論」を読まないで「ああ、見えざる手ね」と知ったかぶっているのは100%確実である。 日本の植民政策、即ち新渡戸と矢…

『ロシア革命とウィルソン主義」草間秀三郎

大変面白い論文をウェブ上で偶然見つけた。 草間秀三郎著「ロシア革命とウィルソン主義」。 草間秀三郎博士は2002年、愛知県立大学を定年退職されているがウィルソン研究者、のようである。著書に『ウッドロー・ウィルソンの研究 とくに国際連盟構想の発展を…

有本香さんから反論いただきました!

これは嬉しい反論なのです。 まさか私のブログが百田さんに読まれることはないであろう、と下記のブログを書いた。ところが『日本国記』を編集されたジャーナリストの有本香さんから反論をいただいた。 百田さんは併合は植民ではない、とは言っていらっしゃ…

ソロモン諸島は日本の一大水産基地であった。

ロイターがニュースを出して結構話題になっているが、あまりにも現状認識が酷すぎるので一筆。 reut.rs ソロモン諸島がいよいよ台湾から中国へ外交関係を変更とのニュース。まだ決定ではありません。9月8日からソロモン諸島外相が台湾を訪ねています。 ソロ…

米国海洋政策は元海軍少将がトップに

知らなかった。昨年の6月いやもっと前か。海軍出身の海洋学者RDML Timothy Gallaudet がNOAAの、すなわち商務省次官補となり米国の海洋政策を率いる。9月9−13日パラオに入る。どんな海洋政策を示すのか? 下記のビデオを見ているが、科学データを基本とした…

米国沿岸警備隊も認める麻薬で覆われたブルーパシフィック

www.pacificislandtimes.com 記事のタイトルは「青い大陸の白い粉」以前私が書いたブログと同じだ。何がブルーパシフィックだ。権利だけ主張してなんの義務も感じていない。太平洋の海は無法地帯となっている。 記事には米国沿岸警備隊のCommandant Admiral …

東北紀行(水沢篇4)sponsored by 吉野作造

あの頃の日本人はすごい。命がけで生きて来た。高野長英47歳の人生。 水沢の高野長英記念館。小雨が降る中、無理して行った場所だったが、行ってよかった。後藤の人格を形成したのは大叔父、高野だ。 高野長英、横井小楠、渡辺崋山。単なる西洋かぶれではな…

小野寺五典議員の論文とEEZ

元防衛大臣、小野寺五典議員が1996年に発表した下記の論文、意外と知られていない。海上自衛隊元幹部も知らなかったので以前も取り上げたが再度リンクします。 小野寺五典, 廣吉勝治 「日米漁業摩擦の起源とその背景:いわゆる「ブリストル湾事件」に関する素…

太平洋の壁を取り払うトランプ政権

国境に大きな壁を建てているトランプ政権だが、この度太平洋の壁となりそうであった法案REAL ID Actの壁を取り除いた。 REAL ID Actとは?詳細は下に「日刊サン」といウェブ情報をコピーしてあるが、9.11以降に制定された新たな法律で2020年10月以降完全…

東北紀行(水沢篇3)sponsored by 吉野作造

後藤新平の生家がある細い道、吉小路には2.26で凶弾に倒れた斉藤実、後藤の大叔父高野長英が生まれ、偉人の吉小路、と呼ばれている。 ここの喫茶店であんみつをいただきました。

東北紀行(水沢篇2)sponsored by 吉野作造

後藤記念館の隣は、正力松太郎が建てた後藤伯公民館がある。日本で最初の公民館だそうだ。後藤と正力の関係は結構知らない人がいる。乱暴にまとめると1923年の皇太子襲撃事件で警視庁にいた正力は責任を取って辞職。読売新聞設立のため後藤の資金援助を受け…

東北紀行(水沢篇1)sponsored by 吉野作造

矢内原、新渡戸、後藤と日本の植民政策を辿って行くと断然後藤の人間の器の大きさに圧倒される。多分25歳の笹川良一青年の人生を変えたのは後藤である。良一は、吉野作造先生の紹介で会いに行ったのだ。後藤は震災後処理で四面楚歌になっていた頃だ。 さてい…

東北紀行(盛岡篇5)sponsored by 吉野作造

北上川のビクトリア通り沿を歩く。 大正天皇ご結婚記念で建てられた公会堂。新渡戸が好んだメニューを置くレストランが最近まであったそうだ。 北上川沿いには多くの縄文土器が見つかっている。新渡戸の先祖はこれら縄文の人々との植民を進めたのであろう。 …

東北紀行(花巻篇)sponsored by 吉野作造

昨日、生まれて初めて救急車にお世話になった。東北の旅の疲れが全身に来ているのがわかる。新渡戸の盛岡から後藤の水沢への途中。新渡戸の父祖が水田開拓をした地「花巻」がある。ここはパスしようと思っていた。新渡戸稲造には直接関係ないと思っていたか…

東北紀行(盛岡篇4)sponsored by 吉野作造

IPR-太平洋問題調査会をインド太平洋研究会で扱っておきながら盛岡城のトーテムポールを忘れていました。東北紀行盛岡篇4つ目の写真です。 盛岡城にあるトーテムポール。これは新渡戸がどのように亡くなったか知らなければ見過ごしていたに違いない。カナダ…

”Red Star over the Pacific” 2nd edition by T. Yoshihara, J.R.Holmes

昨年12月に発行された"Red Star over the Pacific" second edition、はすごい内容だと思う。軍事、中国の知識がないとついていけない、というのが正直な感想だ。 それでも中国の海洋権益を中心とした「中華思想」の確信を理解、というより衝撃を受けるのは序…

東北紀行(盛岡篇3)sponsored by 吉野作造

盛岡最後の写真は盛岡城隣の櫻山神社。 ここを稲造少年が走り回っていたのであろう。稲造少年がひょこっと出てくるような気がしたが、いたのは河童のお化けだった。柳田國男が地域研究を始めたきっかけは新渡戸だったのだ。「遠野物語」も新渡戸がきっかけだ…

東北紀行(盛岡篇2)sponsored by 吉野作造

新渡戸を訪ねた盛岡。写真でご紹介します。 盛岡駅の前には拓殖大学にもある台湾の許文龍が寄贈した新渡戸の銅像がある。盛岡にもラグビーW杯がやってくる。 新渡戸誕生の地の下の橋。この欄干は新渡戸がいた頃と同じであろうか?少年稲造は北上川を流れが太…

東北紀行(盛岡篇1)sponsored by 吉野作造

東北の旅。まずは新渡戸稲造の生誕の地、盛岡まで来た。東京で新幹線を乗り換え、京都からあっという間だ。 稲造は9歳まで盛岡にいたのだ。後藤新平同様、腕白な少年だったらしい。 新渡戸を訪ねての盛岡情報はあまりなく、駅の観光情報センターに寄ったが…

東北紀行 Sponsored by 吉野作造

久しぶりに、多分数十年ぶりに東北を訪ねた。 きっかけは吉野作造さんだ。作造さんの誕生の地、古川で人材育成セミナーが開催されると阿川尚之先生から伺った。 「年齢制限は?」 「そんなのありません」 「では希望します。」 古川は吉野作造さんだけでなく…

吉野作造の愛弟子だった笹川良一

(2015年2月10日に旧ブログにアップした記事だが自動移行の際、落とされたようだ。後藤、吉野に接点のあった笹川良一さん。) 戦後、笹川良一氏を誹謗中傷した蝋山政道を、戦前、矢内原先生が侵略思想家、論理破壊と叩いているのを知って、敵の敵は味方の構…

麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』

ワシントン軍縮会議はヤップ協定が日米間で締結された会議でもあるので興味はあるが、しっかり本を読んだとはない。 麻田貞雄著『両大戦間の日米関係ー海軍と政策決定過程』の2、3、4章を読んだ。当然だが日本も米国も一枚岩ではなく、海軍の中も一枚岩で…

歯欠け駒の一帯一路 マカオ〜香港〜カンボジア〜パラオ〜バヌアツ

マカオ・香港のギャング歯欠け駒(14Kの親分)が、パラオに入りレメンゲサウ大統領とカジノか何かのビジネスを始めようとしたことは今年地元のメディアで取り上げられていた。香港のデモを解説した郵便学者内藤陽介先生のおかげでこの歯欠け駒さんが何者であ…