やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

名古屋大須ロータリークラブでの講演が決定

名古屋大須ロータリークラブでの講演が決定しました。 テーマはいつもSNSで取り上げている「パラオの子ども達を麻薬から守れ!」にさせていただきました。 お金のために子ども達を麻薬中毒にして売春させ、海外に売り飛ばす島のリーダー達。さらにそれを取締…

ヤップ島、米国人司法長官代理殺人事件(3)

1. Peter Christian 前ミクロネシア大統領の汚職事件 Bergeron女史殺害事件関連ニュースで、いかにミクロネシアの政治が腐敗しているか?Peter Christian 前ミクロネシア大統領の件が取り上げられている。 https://www.kanditnews.com/post/martyrdom-agains…

ヤップ島、米国人司法長官代理殺人事件(2)

33歳の米国人女性弁護士殺害の件は人ごとではないのだ。太平洋島嶼国に30年関わってきて常に感じてきた危険である。こういう情報は表に出ないが現場ではひしひしと肌に伝わってきた。 ヤップ島、米国人司法長官代理殺人事件の記事を必死にFBにアップしていた…

ヤップ島、米国人司法長官代理殺人事件

ミクロネシア連邦のヤップ州で、33歳の米国人女性が銃殺された。Rachel Bergeron女史は人権専門の弁護士で2015年ヤップにやってきた。子ども達の人身売買、中国企業が背景にある島の汚職と果敢に戦ってきた。 未だ犯人は捕まっていない。米国からはFBIが捜…

オーストラリア・モリソン首相の安倍総理讃歌

世界広しといえどもトランプ大統領のパリ協定離脱スピーチを聞いてピーナッツ(端金)の部分が引っかかりそのルーツを調べ上げたのは私だけであろう。 日本広しといえども豪州モリソン首相のスピーチとインタビュー1時間を聞いてモリソン首相の感極まった安…

セクシー大臣を誕生させたフィゲレスおばちゃんと世界中央銀行の仲間たち

"He (Koizumi) was speaking alongside Christiana Figueres, an architect of the 2015 Paris Agreement to curb global warming, who had invited him to meet various companies and banks aiming to accelerate investment in clean energy projects in …

安倍総理所信表明演説に見る「人種平等」と日本の役割

「提案の進展を、全米千二百万の有色の人々が注目している。」 百年前、米国のアフロ・アメリカン紙は、パリ講和会議における日本の提案について、こう記しました。 一千万人もの戦死者を出した悲惨な戦争を経て、どういう世界を創っていくのか。新しい時代…

ソロモン諸島台湾断交、いよいよ一帯一路に署名 (2019.10.2-10.12)

台湾断交を決断したソロモン諸島。そのプロセスは決して公正であったとは言い切れず、ソロモン諸島の各地域で、様々な動きが毎日のようにニュースで流れてくる。 FBの方でピックアップしていたニュースをブログにも記録しておきたい。 最近のニュースからで…

Marine Mammal Conservation and the Law of the Sea by Cameron S. G. Jefferies

日本のIWC脱退で国連海洋法条約違反だー、とメディアや国際政治、経済学者が騒いでいて、私の守備範囲ではないが、その対象となるUNCLOS65条の議論をいくつか読んでみた。 さて、あれだけ騒いでいた件だが今のところ日本を訴える動きは聞こえてこない。シー…

『南極条約体制と国際法』池島大策著

池島大策教授の博士論文である。 前回のインド太平洋研究会、オフラインセミナーで南極における中国の進出について触れたが、その背景を抑えておきたいと思った。 中国がクレイマントでもないのに、なぜ我が物顔であれほど急速に大規模に南極に進出できるの…

「ザ・フェデラリスト」の解説を読む  

左からジェームズ・マディソン、アレクサンダー・ハミルトン、ジョン・ジェイ、 米国憲法制定に向けた重要な議論である。古典であるが新聞に85回、1年間に渡って掲載されたオピニオンだ。執筆者はハミルトン、ジェイ、マディソンの3名。当時執筆者は名前が伏…

セクシー大臣でわかった、ゆすりたかりの小島嶼国の存在

トランプ大統領のパリ協定離脱スピーチを2、3回聞き、ピーナッツ(端金)の部分が気になってスピーチ原稿を探し確認し、これは島嶼国の外交官かもしれん、とウェブサーチで探し当てると言う、調査分析活動を行なったのは世界広し、と言えども私だけであろ…

シュタインの王室論(宿題リスト)

福沢諭吉の『帝室論』とシュタインの『王権論』は同じではないか、と江崎さんの本を読んで思って、関係資料を手元に集めたが、2週間以上の体調不良で読書、勉強計画がすっかり遅れてしまい、一度資料を図書館に返すこととした。 後で読むために、資料のタイ…

グレタとアースジャスティスと炭素税を支える共産主義

グレタの国連気候変動行動会議への参加をアレンジしたアースジャスティスと言うNGOについてウェブサーチをしていた時、偶然見つけた記事だ。 2013年、5年前の記事だが今話題になっている炭素税を推進している。しかも中国がやっていて、なぜ米国がやらないの…

ソロモン諸島台湾断交、転覆なるか? (2019.10.1)

9月16日、ソロモン諸島台湾断交してから2週間が経つ。 先日インド太平洋研究会では郵便学者内藤陽介先生をお招きし「ガダルカナル島の近現代史」を開催。日本のソロモン諸島理解に大きな一歩を示すことができた、と思う。 そこで、私も力を入れソロモン諸島…

中共フロント組織が操るグレタと気候変動、子どもの権利条約(追記あり)

国連の気候変動会議で涙の訴えをしたスウェーデンの16歳の少女。一体誰が彼女の参加をアレンジしたのか? ユニセフのウェブに書いてあった。 この会議に呼ばれたのはグレタだけでなく、世界から16名の子供が参加したのだ。太平洋からはパラオ、マーシャル諸…

気候変動はセクシーで10兆円は端金

小泉環境相にグリーンは金になる、おっと違ったセクシーよと教えたコスタリカ外交官、クリスティアナ・フィゲーレス女史 SNSで騒がれていた(いる?)小泉新次郎環境相のセクシー発言。 私が気になったのは新次郎環境相の隣に座ったコスタリカの外交官クリス…

安井郁ー大東亜国際法、原水協、チュチェ思想

カール・シュミットの「大地のノモス」解説の参考文献に安井郁著「大東亜国際法」があった。安井郁氏は国際法学者で、戦後は公職追放され、世田谷公民館館長に。ここでビキニ核実験を契機に原水協を立ち上げ、チュチェ思想の指導者となっていくことを、これ…

第4章 戦争の意味変化 ー 『大地のノモス』より

japan-forward.com 「先生、国際法知りませんよね。」 京大の新進気鋭の年下の教授に向かって喉まで出てきて引っ込めた言葉。ベルサイユ条約と戦争犯罪を議論していたのはカール・シュミットの『大地のノモス』だったような。思い出せなかった。思い出せても…

クリストファー・クラーク著『夢遊病者たち』読書メモ

歴史書である。小説ではない。 と自分に何度か確認する必要があるような小説のような内容である。上下2巻もあり分量も中身も濃く、目の前に色々差し迫っている今、集中して読めないので一旦返却することとした。 第一次世界大戦がどのように始まったかをヨ…

西平等『法と力』読書メモ

「先生、国際法知らないでしょ。」 喉まで出てきた言葉だが相手は10歳年下で、国際法が専門でもないが、京大の教授である。しかもその言葉を私が吐いたところで、私が国際法とは何かを理解しているかどうか自分自身疑わしいし、そもそも説明なんかできない!…

ソロモン諸島台湾断交をめぐる「法と力」

ソロモン諸島台湾断交を決定したソガバレ首相からその正式な理由が断交決定後3日目の9月20日に発表された。これは国際法の観点から非常に興味深い。奥が深い。中国人の国際法研究者が背後にいることが手に取るようにわかる。彼らは国際法は利用するものであ…

キリバス台湾断交と中国衛星スパイ基地と売春婦

キリバスは日本に支援をずっと要請してきたのである。日本は何もできなかった。米豪首脳会談に日本も参加すべきだ。中国の海洋権益だけでなく、中国宇宙軍に利するばかりなのだから。 ニュージーランドのマイケル・フィールド記者は、先日英国軍ラグビーチー…

キリバスのEEZと米国の安全保障

キリバスの台湾断交。あまりにも突然でニュースも出てこない。誰もこの動きを抑えていなかったのだ。それほどキリバスは世界から見放されていた、とも言えるかもしれない。 あれだけ、アノテ・トン元大統領が島が沈むと世界に訴えていたにも拘らず、だ。 キ…

ソロモン諸島台湾断交後5日目 9月20日

台湾断交をしたソロモン諸島。Solomon Starという地元紙からいくつかピックアップします。 Govt hails US commitment for help - Solomon Star News 20 September 2019 今回の断交で機嫌を損ねた米国に対し、ソロモン諸島政府は、両国は第二次世界大戦で共に…

Pacific Fusion Centre - 新たな太平洋海洋安全保障枠組み

連戦終結後、米国が太平洋への関心を失って、その存在をあらゆる場面で消していく中で、海洋安全保障も同じで、広大な太平洋の海の安全保障を一人守ってきたのが豪州である。 PPBP Pacific Patrol Boat Program という。EEZ制定と共に立ち上がった豪州の太平…

アダム・スミスの植民論(5)水田洋

同志社大学の「CiNii Articles」というサイトで「スミス」「植民」といキーワードを入れて出てきたのが34件の論文の中に水田洋氏の論文もあった。アダム・スミス研究の世界的権威である。(水田洋氏の本は以前読んだことがある。今99歳でお元気なようだ) ア…

井上和彦氏の太平洋島嶼国に関する事実誤認

【DHC】2019/9/18(水) 井上和彦×藤井厳喜×居島一平【虎ノ門ニュース】 - YouTube 私は井上さんが太平洋島嶼国のことをメディアを通して広く知らしめていただいていることをディスカレッジするつもりは毛頭ないし、その活動を尊敬し、応援したい、という立場…

ソロモン諸島台湾断交後3日目

ソロモン諸島が9月16日に台湾断交してから2日が経ちました。 色々とニュースが出てきます。 Taipei closes embassy here - Solomon Star News 在ソロモン諸島台湾大使は決定された24時間内にソロモン諸島を飛び立った。 "more than 80 percent of this c…

日本の植民政策と「季刊三千里」

テレビがないので朝は虎ノ門ニュースを流しているが先日西岡力先生の出ている番組で、韓国の反日の動きが日本で作られたと言う話を聞いて思い出したのが「季刊三千里」と言う雑誌である。 【DHC】2019/9/16(月) 田北真樹子×西岡力×居島一平【虎ノ門ニュース…