やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

アメリカー海のウルカヌス

読書メモ “Sentimental Imperialists” Thomson, Stanley, Perry

昨日書いたブログでちらっと書いた“Sentimental Imperialists”。 本当はしっかり読みたいのだが、来週から後藤、新渡戸、吉野作造の足跡を訪ねる旅が迫っていて一旦返却することにした。 それでももう少しメモだけ残しておきたい。いつか読もう、と思って忘…

America's Pacific Island Allies - RAND 報告書

数週間前に米国のシンクタンク、RAND Corporationから米国が自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国に関 する報告書が出て、安全保障、アジア太平洋、インド太平洋関係者はみんな読んでいた。 ざっと読んだがかなり大雑把な、簡単にまとめられた内容で、こ…

商業捕鯨を再開すると南極での活動ができなくなる理由

美味しそう! 昨日読んだ森下、岸本論文の下記の部分が気になり、これこそ今度の国際法学会の主要テーマ「多元化する条約体制による秩序形成と維持」なのではないかと条約を当たってみた。以下の条項だと思うが違うかもしれない。 環境保護に関する南極条約…

「商業捕鯨再開へ向けて」森下、岸本論文

ウェブで偶然見つけた捕鯨関連の論文だ。掲載場所と日時が明確ではないのだが資料の最後にある下記の連載記事を集めたものかもしれない。 森下丈二、みなと新聞連載「商業捕鯨再開に向けて」(2015 年 2 月 19 日から 11 月 12 日、隔週、計 20 回)。 50ペ…

読書メモ『憲法で読むアメリカ史』阿川尚之著

太平洋の事を学ぶという事は、島嶼国の事よりも米国、英国、フランスの事を学ぶ側面が強い。島嶼国理解はまた違った枠組みになる。 特に米国は米領サモア、ハワイ、グアム、サイパン、そして自由連合協定を締結するミクロネシア3カ国が太平洋にある。 同志…

IWCを変容させた米国動物愛護団体

「UNLCOS65条の適切な国際組織、あれ複数にしたの日本ですよね。」 「そのはずだけど。」 知り合いのジャーナリストから連絡があった。以前ざっと読んでメモした動物愛護団体の幹部パトリシア・フォルカン女史のペーパーを再度読んだ。 yashinominews.hatena…

チャゴス判決(4)玉田大教授の分析

チャゴス判決に関して先月末に神戸大学玉田大教授の論考が出ていた。 玉田大。「チャゴス諸島分離の法的帰結」判例時評(法律時報)。 2019.06.28 「大国の横暴に翻弄された小国を助ける、という判官贔屓の構図が最初から出来上がっていたと言えよう。」 こ…

インド太平洋構想-アセアンの展望

2019年タイで開催された会議で「アセアンのインド太平洋構想、展望」が採択された。気になっていたがシンガポールからの飛行機の中で読むことができた。 アセアン諸国がインド太平洋構想に留保があった事は聞いていた。今回の展望はその態度を180度転換する…

ニューカレドニア便り(4) 南太平洋のペンタゴンで語る東亜の解放と自決権

学会会場となったニューカレドニア大学 太平洋政治学学会がニューカレドニアで2019年6月25−27日開催された。テーマは自決権で現在私が取り組んでいる論文の主要テーマだ。具体的には太平洋の海洋ガバナンスを自決権の理論枠組で分析する内容でその限界を…

中国の衛星覇権を支えるトンガ王国とアメリカ人

有本香さんが構成した虎ノ門ニュース。佐藤外務副大臣を招きテーマはなんと太平洋島嶼国だった。2年前に古屋議員初め国会議員の皆さんに講演をさせていただく機会があった時は、肝心の外務省が太平洋島嶼国の実態を何も認識していないくて絶望的になった。し…

台湾関係法40周年CSIS会議 ー 台湾は米国より日本が好き!

www.youtube.com 昨日から見ている、台湾関係法40周年をめぐるCSISの会議。4:01:00 あたりから必見!BI-KHIM HSIAO議員の質疑応答で、日本と台湾の特別な関係を控え気味に語っている。ちょっとアメリカがかわいそうなくらい。。 台湾人が一番好きな…

台湾関係法40周年CSIS会議 ー Gerald Connolly議員

4月10日に開催された、CSIS主催の台湾関係法40周年記念講演。 8時間もあるから少しづつ見ている。江崎さんからよくそんな暇があるなあ、と。。だって誰も見てないよね。私が見ずに誰が見る! Gerald Connolly議員。これも必見。4:07:00 あたり。 Co…

「太平洋の赤い星第2版」トシ・ヨシハラ, ジェイムズ・R.ホームズ著

「太平洋の赤い星第2版」トシ・ヨシハラ, ジェイムズ・Rが昨年出版されていた。まだ第1版も読んでいないが、山形浩生さんが和訳して2014年に出版されている。 www.usni.org 出版に際してこの1月Global Taiwan Instituteで開催された講演を聞いてみた。(下…

米国大統領が進める間違った海洋政策

間違った水産政策、海洋政策が進められているのは日本だけではない。米国はブッシュ、オバマ時代に広大な海洋を禁漁区とした。その影響を受けて米領サモアでは唯一の収入源となっている缶詰工場が3件のうち2件、閉鎖した。近隣で漁業ができず、マグロが水…

アングロサクソン金融マフィアの手に落ちる日本の水産改革<追記あり・郵政民営化も支援>

「早川さん、GR Japanって知ってますか?」 このブログで水産資源の事も取り上げてきている。私の専門分野ではないが海洋問題=水産資源と言っていいほど切り離せないのだ。そして2008年に私が一人で立ち上げたミクロネシア海上保安事業が日本財団、笹川平和…

チュック州の分離独立に待ったをかける米国?

2019年2月16−20日の日程でミクロネシア連邦のチュック州、パラオ、マーシャル諸島のクワジェリンを、太平洋空軍司令官(Pacific Air Forces commander)Gen. CQ Brownが訪ねた。 Gen. CQ Brownは内務省のDouglas Domenech次官補、国防省、アメリカ合衆…

ミクロネシア大統領サミットに寄せるポンペオ国務長官のメッセージ

ミクロネシアのサブリジョナルの枠組みは、私の2つ目の修論の結論で提案した事である。そして実際に渡辺昭夫先生とミクロネシア支援を強化し、2000年初頭からその動きは開始した。ー ミクロネシア大統領サミットだ。 昨日までパラオで開催された第19回ミク…

Pacific commander: China greatest long term threat to a free & open Indo Pacific region

www.youtube.com 2時間以上あるけど、この公聴会は重要。 1:04:00 あたりから。ミクロネシアの自由連合協定の話。 Mrs Ernst 自由連合の件で質問したのはこちらの共和党の議員。 www.ernst.senate.gov

太平洋安全保障と安倍政権の島サミット(修正あり)

今年5月に開催された第8回島サミットの主要議題は「海洋安全保障」と「インド太平洋戦略」であった。小さな島々の集まりだが数の上でも、地政学上もそして海洋面積の点からもその影響は大きい。特に中国の進出、北朝鮮の瀬取りなどを許す島嶼国の便宜置籍船…

世界最大の違法操業国は中国だ!

米国の The U.S.-China Economic and Security Review Commission 米中経済・安全保障問題検討委員会 から6月14日に出た太平洋における中国の影響を調査した報告書が話題になっている。 CHINA’S ENGAGEMENT IN THE PACIFIC ISLANDS: IMPLICATIONS FOR THE UN…

沖縄海兵隊マリアナ移転を妨害しているのは中国だ!

前回紹介した、米国の The U.S.-China Economic and Security Review Commission 米中経済・安全保障問題検討委員会 から6月14日に出た太平洋における中国の影響を調査した報告書。11ページにサイパンに関するコラムがある。 CHINA’S ENGAGEMENT IN THE PACI…

ファネル大佐の中国の脅威に対する7つの提案

5月17日、米国情報特別委員会でのジェームズ・ファネル大佐の証言。詳細な報告と7つの提案が盛り込まれた60ページの報告書が同時に提出されていた。 yashinominews.hatenablog.com China's Global Naval Strategy and Expanding Force Structure: Pathway t…

トランプ大統領、オバマの海洋政策破棄(追記あり)

6月19日、トランプ大統領の大統領令がまた出ました。 今度はオバマ時代に役人が作った海洋政策を無効に。エネルギー開発、 漁業・経済発展に重点を置いた政策策定指示。 Executive Order Regarding the Ocean Policy to Advance the Economic, Security, and…

カート・キャンベルがトランプ政権を絶賛

「あの」カート・キャンベルがトランプ政権を絶賛している。 2008年ミクロネシア海上保安事業が始まった時、「あの」クリストファー・ヒルから国務次官補で思いっきり嫌味のこもった手紙をもらった。 ヒルの後に来たキャンベルはヒラリー長官のアジア回帰の…

サイパンのアメリア・イアハート銅像建立反対意見とCode Talker project

久しぶりのアメリア・イアハート情報です。 気にはなっていたのですが。。。 地元紙マリアナバラエティに、イアハート銅像建立を反対するコメントが出ていました。地元の Rudy M. Sablanさん。4月16日の投稿です。 「反対意見を無視して私たちの税金1500…

米国情報特別委員会公聴会:中国軍事拡張に対するファネル大佐の警告

安倍総理が島サミットを開催している5月17日、米国情報特別委員会でジェームズ・ファネル大佐の証言が行われていた。ファネル大佐はピーター・ナヴァロが『米中もし戦わば』で献辞している人物だ。 2時間あるがファネル大佐のところだけ聞いた。 China's W…

島サミット特集:米国高く評価

米国務省 マシュー・マシューズ副次官補が今回の島サミット高く評価しているインタビュー記事が米国の知人から送られてきた。 今回の島サミットに米国の参加がなかったのは残念だ。 私は昨年議連勉強会に講師として呼んでいただく機会があったので、知人の米…

“China's Unpeaceful Rise" ジョン・ミアシャイマー

ピーター・ナヴァロが『米中もし戦わば』で引用していたジョン・ミアシャイマーの"China's Unpeaceful Rise " 。ウェブにあって3ページと短い。 Mearsheimer, John J. (April 2006). "China's Unpeaceful Rise" (PDF). Current History. China and East Asia…

島サミット特集:米領サモアは米国に植民されていない

American Samoans not colonised - statement to the UN https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/357103/american-samoans-not-colonised-statement-to-the-un 米領サモアが国連非植民地化特別委員会に対し、同地域の住民は「植民」されてい…

米議会・太平洋司令軍、対中国懸念で完璧一致

2月に行われた公聴会がハリス司令官の最後かと思っていたが3月15日にSenate Armed Services Committee の公聴会が行われ、映像がウェッブに上がっていた。 (リンクが切れていたので探したがこれかどうかいまいち自信なし) 昨晩ざーっと聞いたが、中国、…