やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

中共フロント組織が操るグレタと気候変動、子どもの権利条約(追記あり)

国連の気候変動会議で涙の訴えをしたスウェーデンの16歳の少女。一体誰が彼女の参加をアレンジしたのか? ユニセフのウェブに書いてあった。 この会議に呼ばれたのはグレタだけでなく、世界から16名の子供が参加したのだ。太平洋からはパラオ、マーシャル諸…

気候変動はセクシーで10兆円は端金

小泉環境相にグリーンは金になる、おっと違ったセクシーよと教えたコスタリカ外交官、クリスティアナ・フィゲーレス女史 SNSで騒がれていた(いる?)小泉新次郎環境相のセクシー発言。 私が気になったのは新次郎環境相の隣に座ったコスタリカの外交官クリス…

安井郁ー大東亜国際法、原水協、チュチェ思想

カール・シュミットの「大地のノモス」解説の参考文献に安井郁著「大東亜国際法」があった。安井郁氏は国際法学者で、戦後は公職追放され、世田谷公民館館長に。ここでビキニ核実験を契機に原水協を立ち上げ、チュチェ思想の指導者となっていくことを、これ…

第4章 戦争の意味変化 ー 『大地のノモス』より

japan-forward.com 「先生、国際法知りませんよね。」 京大の新進気鋭の年下の教授に向かって喉まで出てきて引っ込めた言葉。ベルサイユ条約と戦争犯罪を議論していたのはカール・シュミットの『大地のノモス』だったような。思い出せなかった。思い出せても…

クリストファー・クラーク著『夢遊病者たち』読書メモ

歴史書である。小説ではない。 と自分に何度か確認する必要があるような小説のような内容である。上下2巻もあり分量も中身も濃く、目の前に色々差し迫っている今、集中して読めないので一旦返却することとした。 第一次世界大戦がどのように始まったかをヨ…

西平等『法と力』読書メモ

「先生、国際法知らないでしょ。」 喉まで出てきた言葉だが相手は10歳年下で、国際法が専門でもないが、京大の教授である。しかもその言葉を私が吐いたところで、私が国際法とは何かを理解しているかどうか自分自身疑わしいし、そもそも説明なんかできない!…

ソロモン諸島台湾断交をめぐる「法と力」

ソロモン諸島台湾断交を決定したソガバレ首相からその正式な理由が断交決定後3日目の9月20日に発表された。これは国際法の観点から非常に興味深い。奥が深い。中国人の国際法研究者が背後にいることが手に取るようにわかる。彼らは国際法は利用するものであ…

キリバス台湾断交と中国衛星スパイ基地と売春婦

キリバスは日本に支援をずっと要請してきたのである。日本は何もできなかった。米豪首脳会談に日本も参加すべきだ。中国の海洋権益だけでなく、中国宇宙軍に利するばかりなのだから。 ニュージーランドのマイケル・フィールド記者は、先日英国軍ラグビーチー…

キリバスのEEZと米国の安全保障

キリバスの台湾断交。あまりにも突然でニュースも出てこない。誰もこの動きを抑えていなかったのだ。それほどキリバスは世界から見放されていた、とも言えるかもしれない。 あれだけ、アノテ・トン元大統領が島が沈むと世界に訴えていたにも拘らず、だ。 キ…

ソロモン諸島台湾断交後5日目 9月20日

台湾断交をしたソロモン諸島。Solomon Starという地元紙からいくつかピックアップします。 Govt hails US commitment for help - Solomon Star News 20 September 2019 今回の断交で機嫌を損ねた米国に対し、ソロモン諸島政府は、両国は第二次世界大戦で共に…

Pacific Fusion Centre - 新たな太平洋海洋安全保障枠組み

連戦終結後、米国が太平洋への関心を失って、その存在をあらゆる場面で消していく中で、海洋安全保障も同じで、広大な太平洋の海の安全保障を一人守ってきたのが豪州である。 PPBP Pacific Patrol Boat Program という。EEZ制定と共に立ち上がった豪州の太平…

アダム・スミスの植民論(5)水田洋

同志社大学の「CiNii Articles」というサイトで「スミス」「植民」といキーワードを入れて出てきたのが34件の論文の中に水田洋氏の論文もあった。アダム・スミス研究の世界的権威である。(水田洋氏の本は以前読んだことがある。今99歳でお元気なようだ) ア…

井上和彦氏の太平洋島嶼国に関する事実誤認

【DHC】2019/9/18(水) 井上和彦×藤井厳喜×居島一平【虎ノ門ニュース】 - YouTube 私は井上さんが太平洋島嶼国のことをメディアを通して広く知らしめていただいていることをディスカレッジするつもりは毛頭ないし、その活動を尊敬し、応援したい、という立場…

ソロモン諸島台湾断交後3日目

ソロモン諸島が9月16日に台湾断交してから2日が経ちました。 色々とニュースが出てきます。 Taipei closes embassy here - Solomon Star News 在ソロモン諸島台湾大使は決定された24時間内にソロモン諸島を飛び立った。 "more than 80 percent of this c…

日本の植民政策と「季刊三千里」

テレビがないので朝は虎ノ門ニュースを流しているが先日西岡力先生の出ている番組で、韓国の反日の動きが日本で作られたと言う話を聞いて思い出したのが「季刊三千里」と言う雑誌である。 【DHC】2019/9/16(月) 田北真樹子×西岡力×居島一平【虎ノ門ニュース…

ソロモン諸島台湾断交翌日の声

TAIWAN TIES OFF - Solomon Star News 台湾断交が決定した翌日の現地新聞、ソロモンスターの記事。 以下主な内容。 2019年9月16日、ソロモン諸島は36年の台湾との外交関係を断交した。 その決断は台湾の副外相Dr Sze-chien Hsu がホニアラの空港に降り立っ…

<緊急提言>ソロモン諸島の中国対応策ー日米豪英で対抗せよ!

ソロモン諸島が台湾との断交を決定してしまいました。落ち込んでいてもしょうがありません。対策を提案します。 ソロモン諸島、中国から500億円の援助と共に台湾と断交。国連総会でペンス副大統領が同国首相と会談の予定だが、中国は全てお見通しで前倒し…

アダム・スミスの植民論(4)榎並 八幡論文

アダム・スミスの植民論。最後の3本は90年代の榎並論文と2年前の八幡論文。 詳細に見ていけば、今まで読んだ論文と違うのであろうが要点は植民地との貿易、関税のあり方。植民地を分離か連合かどのように扱うか、という内容は同じだ。植民が悪いとは書いて…

森総理とナカムラ大統領を動かした話

ジャーナリストの有本香さんが世間の森総理の評価が間違っているとTWされていたので思わず、ミクロネシア3カ国に日本大使館を開設したのは森総理で、それまでは遠いフィジーの日本大使館が管轄。ついでに言うとミクロネシア隣のグアム、サイパンの日本領事…

アダム・スミスの植民論(3)長谷川貞之

筆者の長谷川 貞之氏は民法、信託法が専門で、日本大学法学部教授。 アダム・スミスの植民地論 / 長谷川 貞之 横浜商大論集 13(1), p28-53 (1979-12) 横浜商科大学学術研究会 スミスの「国富論」は税金や貿易のことに関して非常に詳細に書かれているのだ。長…

ソロモン諸島を巡る中台の情報戦!日本は無関心でいいのか?

いよいよソロモン諸島が台湾から中国に鞍替えしそうで、まさに今、情報戦が交わされている。日本は全く関心がない!誰も話題にしていない!それでよくまあ台湾を支援なんて言えますね。 と文句を言っていてもしょうがない。一人でも粛々と情報を収集し発信し…

アダム・スミスの植民論(2)堀切善兵衛

2本目は堀切善兵衛氏の論文。講演会の記録のようである。 アダム、スミスの植民論 / 堀切 善兵衛 三田学会雑誌 5(3), 301(91)-316(106) (1911-04) 三田学会 堀切善兵衛氏、慶応を1904年に卒業。米英独を留学後母校で教授に。この講演をした翌年の1912年から…

アダム・スミスの植民論

アダム・スミスの「国富論」の中にかなり長文の植民を議論した章があることを知っている人に今まで出会ったことがない。みんな、「国富論」を読まないで「ああ、見えざる手ね」と知ったかぶっているのは100%確実である。 日本の植民政策、即ち新渡戸と矢…

『ロシア革命とウィルソン主義」草間秀三郎

大変面白い論文をウェブ上で偶然見つけた。 草間秀三郎著「ロシア革命とウィルソン主義」。 草間秀三郎博士は2002年、愛知県立大学を定年退職されているがウィルソン研究者、のようである。著書に『ウッドロー・ウィルソンの研究 とくに国際連盟構想の発展を…

有本香さんから反論いただきました!

これは嬉しい反論なのです。 まさか私のブログが百田さんに読まれることはないであろう、と下記のブログを書いた。ところが『日本国記』を編集されたジャーナリストの有本香さんから反論をいただいた。 百田さんは併合は植民ではない、とは言っていらっしゃ…

ソロモン諸島は日本の一大水産基地であった。

ロイターがニュースを出して結構話題になっているが、あまりにも現状認識が酷すぎるので一筆。 reut.rs ソロモン諸島がいよいよ台湾から中国へ外交関係を変更とのニュース。まだ決定ではありません。9月8日からソロモン諸島外相が台湾を訪ねています。 ソロ…

米国海洋政策は元海軍少将がトップに

知らなかった。昨年の6月いやもっと前か。海軍出身の海洋学者RDML Timothy Gallaudet がNOAAの、すなわち商務省次官補となり米国の海洋政策を率いる。9月9−13日パラオに入る。どんな海洋政策を示すのか? 下記のビデオを見ているが、科学データを基本とした…

米国沿岸警備隊も認める麻薬で覆われたブルーパシフィック

www.pacificislandtimes.com 記事のタイトルは「青い大陸の白い粉」以前私が書いたブログと同じだ。何がブルーパシフィックだ。権利だけ主張してなんの義務も感じていない。太平洋の海は無法地帯となっている。 記事には米国沿岸警備隊のCommandant Admiral …

東北紀行(水沢篇4)sponsored by 吉野作造

あの頃の日本人はすごい。命がけで生きて来た。高野長英47歳の人生。 水沢の高野長英記念館。小雨が降る中、無理して行った場所だったが、行ってよかった。後藤の人格を形成したのは大叔父、高野だ。 高野長英、横井小楠、渡辺崋山。単なる西洋かぶれではな…

小野寺五典議員の論文とEEZ

元防衛大臣、小野寺五典議員が1996年に発表した下記の論文、意外と知られていない。海上自衛隊元幹部も知らなかったので以前も取り上げたが再度リンクします。 小野寺五典, 廣吉勝治 「日米漁業摩擦の起源とその背景:いわゆる「ブリストル湾事件」に関する素…